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県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑
4 ◯議長(筱岡與次平君)これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。
通告がありますので、順次発言を許します。
鹿熊正一君。
〔14番鹿熊正一君登壇〕
5 ◯14番(鹿熊正一君)おはようございます。最初に、朝日岳・
白馬岳一帯の
自然保護活動について質問いたします。
中部山岳国立公園内の北東部に、北から朝日岳、雪倉岳、白馬岳があります。それらの山々の稜線が仏の座する台座にあるレンゲの花に見えることから、これら一帯を総称して「大きな蓮の華の山」、すなわち「大蓮華山」と古くから称されてきました。私は毎日、この大蓮華山の山々を仰ぎ見ながら育ってまいりました。
大
蓮華山保勝会は、大蓮華山すなわち朝日岳・
白馬岳一帯を保勝する、つまりその自然を保護する目的で、昭和3年に地元有志で設立され、山岳の
自然保護団体としては日本でも有数の古い伝統を有しており、本年、創立70周年を迎えました。私もこの会の一員であります。
この会の主たる活動内容は、朝日小屋や北又小屋といった自然保護や
山岳遭難救助などの活動の基地の建設と管理をすること、登山道の下刈り奉仕や道しるべの設置といった安全登山のための整備をすること、朝日岳・
白馬岳一帯の貴重な動植物を保護するための
パトロール活動をすること、自然保護の大切さを伝えるための
親子自然保護教室の開催など、実に多彩な活動を継続してきております。
さて、本県にとって立山連峰は自他ともに認める県民の財産と言えますが、朝日岳・
白馬岳一帯にも、それに優るとも劣らない貴重な自然があります。聞き及ぶところによりますと、後立山連峰に位置する朝日岳・
白馬岳一帯については、
原生的自然環境が保全されているため、動物、植物、地質学などの分野で多くの研究者たちが訪れ、個々の分野についてはある程度の研究成果が発表されているとのことであります。しかしそれらは、その貴重な自然を適正に保全するために必要な知見としては余りにも散発的なものであり、絶対的に必要と考えられる体系的な調査がなされているとは、残念ながら聞いていない状況であります。
富山県は自然保護の先進県であり、例えば立山周辺においては、
立山黒部アルペンルートの整備に適切に対応するため、
立山黒部地区学術調査といった総合的な学術調査が行われました。大
蓮華山保勝会などが、これからもこの地域の
自然保護活動を継続していくうえで、今後の朝日岳・
白馬岳一帯の自然保護の方針を打ち立てていくためにも、総合的な学術調査がぜひとも必要であると考えております。知事の御所見をお伺いいたします。
さて、朝日岳・
白馬岳一帯は、高山植物の女王ともいわれるコマクサをはじめとする高山植物の宝庫でもあり、山を訪れる人の心を打つものがあります。私も何年か前に朝日岳に登ったときに、ふと、可憐に咲く高山植物の花々を目にし、心が洗われる思いをしたことがあります。
大
蓮華山保勝会では、一人でも多くの人に登ってほしいと思うとともに、いつまでも美しい山で残したいと念願していることから、先ほど話したように、貴重な動植物の保護のためのさまざまな活動を率先して実行し、啓発に努めております。大
蓮華山保勝会といった民間の団体がこのような独自の活動を行って、この地域一帯の自然保護を積極的に推進していますが、県では、この貴重な地域を適切に保全するため、どのような施策を行ってこられたのか。また、今後どう取り組むつもりでおられるのか、お伺いいたします。
さて、本県では、立山連峰や後立山連峰における植生自然度が極めて良好に保存されておりますが、それは、大
蓮華山保勝会や黒部保勝会といった山岳団体や
自然保護団体の先人たちのたゆまぬ努力に負うところが大きいことは言うまでもありません。そして、これらの団体の活動は、黒部峡谷を開拓した登山家の冠松次郎氏や、朝日町出身の
登山家塚本繁松氏の「山岳紀行文」などにその活動の様子が取り上げられているのであります。
私は、かけがえのないこの地球環境を守ろうと叫ばれている今こそ、大
蓮華山保勝会をはじめ関係団体の山岳活動や
自然保護活動の歴史を正確にたどり、明らかにし、広く県民に紹介することの意義を思うのであります。そのための企画展示や
企画イベントを開催してみることを提言いたしますが、所見をお伺いいたします。
次に、
環境保全対策について数点お伺いいたします。
県は、
環日本海地域の海洋環境の保全を国際的に推進するため、その拠点として昨年4月に
環日本海環境協力センターを設立し、去る9月にはこのセンターが環境庁所管の全国法人となり、いよいよ各種の事業が具体的に進められることになりました。このたびセンターでは、法人化の記念事業として中国遼寧省に、環境関連の産業界等で構成された
環境関連産業投資調査団を編成し、環境状況の視察を行うとともに、
環境ビジネス及び合弁事業の可能性等の調査を行ったところでありますが、これに関連して2点お伺いいたします。
まず1点目ですが、この調査団に参加した私の友人は、下水、排水などの状況はまことに芳しくないと言っておりましたが、視察してきた結果、環境保全の実情はどのようなものであったかお伺いいたします。
2点目は、環境の現状やこれまでの交流から、今後どのような
環境協力事業を進めていくのがよいと考えているか。また、これらの交流を通じて
環境ビジネスにつながるテーマが出てくる可能性があるのか、お伺いいたします。
次に、
環境アセスメント条例に関して質問いたします。
昨年6月に
環境影響評価法が制定され、来年6月から施行されることになっております。この法律には、対象事業の拡大や
環境影響評価の実施の前に県、市町村、住民の意見を求めるなど、県の
環境影響評価要綱にはない手続が盛り込まれており、県においても、対象事業の拡大や住民参加の手続が必要との指摘が挙がっているところであります。県では今後
環境アセスメント条例の制定を進めるとのことでありますが、私は、この制度は県民の関心が高いうえに、産業活動にも影響が大きいことから、県民、市町村、事業者など多くの関係者の意見を十分に聞いて、だれしもが納得するよりよい制度にする必要があると考えております。
そこで、
環境アセスメント条例の制定方針と、どのような手法で条例化に取り組むのか知事の御所見をお伺いいたします。
次に、公共工事などから発生する建設廃棄物の
リサイクルの推進について、2点お伺いいたします。
まず最初は、特に
リサイクルの遅れている
建設混合廃棄物についてであります。
本県では、公共工事などから発生する建設副産物の
リサイクル率は、建設廃棄物全体では71%と全国平均の58%を上回っておるのでありますが、住宅などから出る
建設混合廃棄物の
リサイクル率はわずか3%と全国平均の11%よりも低く、建設省の
建設リサイクル・ガイドラインが定める2000年目標値の50%の1割にも満たないのであります。国では
建設廃棄物リサイクル法案──仮称でありますが──を
次期通常国会にも提出する方針とされておりますが、本県においては、この法案を待たず、今から積極的に、特に
建設混合廃棄物の
リサイクル推進方策を検討する必要があると考えます。
そこで、
リサイクルの遅れている
建設混合廃棄物の
リサイクルの推進にどのように取り組むのか、県当局の所見をお伺いいたします。
2点目は、建設廃棄物の
リサイクル推進の
仕組みづくりについてであります。
本県では、公共工事などから発生するアスファルトや
コンクリートなどを骨材に利用するなど、
リサイクルを推進しております。私は、
リサイクルの推進には、再生資材の製造・販売、利用が経営上十分に成り立つ仕組みを整備することが必要であると思うのであります。本県では、県西部地域に、
コンクリート廃材を
リサイクル化した再生品の受注販売を共同化する組合が設立されたところであります。また、福井県では、建設残土の再利用を推進する
建設発生土リサイクル協会が組織されたところであり、今後再利用や技術研究を進めることとされております。
そこで、県工事での再生資材の利用はもとより、市町村工事、民間工事も含め、建設廃材の発生から再生資材の製造・販売、そして利用に至るまでの一貫した対策を、県、市町村、
建設関連業界など関係者が協力して打ち立てるべきと思うのでありますが、県当局の所見をお伺いいたします。
次に、市町村のごみ焼却場の
ダイオキシン対策について質問いたします。
厚生省が平成8年度に行った市町村の
ごみ焼却施設の調査では、全国の114の施設で
ダイオキシンに関する緊急対策の判断値である80ナノグラムを超えていたのが、その後のこれらの施設の調査では、
ダイオキシンの総排出量が大幅に改善されたとのことであります。これらの施設では、完全燃焼するようにごみ質の均質化、定量供給、燃焼管理の徹底などの維持管理の改善のほか、温度計の設置、焼却施設の改造などが実施され、今回の調査でその効果が確認されたところであります。
本県には現在11の焼却施設がありますが、幸いなことに、いずれも80ナノグラムを下回っているところであり、また
ごみ処理広域化計画に沿って
ダイオキシンの抑制対策がとられることになっております。しかしながら、
ダイオキシンの抑制対策は、抜本対策ももちろん大切でありますが、あわせて、現在運転中の施設においても不断の改善努力が必要であることは論をまちません。早速、厚生省の今回の調査による改善点を分析し、11ある現在の施設を最良のコンディションで運転管理するよう、市町村に十分な情報提供や技術指導を実施し、
ダイオキシン発生量を最低限に抑えるべきであります。
そこで、ごみ処理の広域化の達成まで、当面、現在の焼却施設の維持管理の改善や施設の小規模な改善など、今後どのように指導していくのか県当局の所見をお伺いいたします。
次に、
ペットボトルの分別収集の推進について質問いたします。
昨年4月に施行された
容器包装リサイクル法の目玉であり、収集してもかさばることから自治体に厄介者扱いされてきた
ペットボトルですが、施行1年を経過しての厚生省調査によれば、全国ベースでは、自治体が計画した分別収集量を上回る回収量となったところであります。
しかしながら、取り組みが進む自治体とそうでない自治体との間に大きな差が開き、
分別収集対象人口の総人口に占める割合では、東京都23区の100%を最高に、最低は全くしていない県が3県ありました。本県は34.1%と全国平均の41.8%を下回っているところであります。
そこで質問ですが、県では平成9年に、
容器包装リサイクル法に基づく
分別収集促進計画を策定しているところでありますが、この
ペットボトルについて市町村の分別収集の
取り組み状況と今後の見通しはどうか。また、同計画達成に向け県民への啓発など、どのように分別収集を推進するのか県当局の所見をお伺いいたします。
最後に、富山県に住むブラジル人の子供たちへの対策について質問いたします。
昨年末現在、本県には8,200人を超える外国人が居住しています。このうち
ブラジル人は3,500人を超え、全体の43%とトップを占めております。これは、平成2年の改正入管法の施行に伴い、在留資格上、
日系ブラジル人が日本で就労することが比較的容易になったことから、本県だけでなく全国的に見ても、就労を目的とするブラジル人の入国が急増してきた結果であります。こうした
ブラジル人の中には家族、特に日本でいう学齢期の子供たちを連れて来ている人もいるのでありますが、学校に通わず家でぶらぶらしている子供たちや、学校に行っても日本語がわからず授業についていけない、あるいは差別を受けるので、学校へ行かなくなるといった子供たちが増えてきているといわれております。また、親が少しでも給料の高い職場を転々とするために転校の手続もしないケースも多いと聞いておるわけであります。富山に住む私の友人は、そのような子供たちを見るに見かねて、医者の仕事の合間に日本語を教えておるのもおります。300人近くいると思われる学齢期の一体何人が学校へ行っているのでありましょうか。
そこでお尋ねしたいのですが、まず当局では、
日系ブラジル人の子供たちの就学実態についてどの程度把握しておられるのかお伺いいたします。
もとより、義務教育を受ける義務や子供に義務教育を受けさせる親の義務は、外国人の
ブラジル人やその子供たちにはありません。しかし、人道的立場に立って、また国際協力の一環として、さらには、万一非行や犯罪に走った場合の地域社会のマイナスを考えれば、こうした子供たちに対し、言葉や生活習慣の違いを埋める指導の態勢をもっと整えることが必要でありましょう。子供たちの話す
ポルトガル語もできる、そのような指導者を、民間の力も活用してもっと確保することが大事なことではないでしょうか。
そこで、当局として、現在どのような対策をとっておられるのか。また、今後どのような対策を講じていこうとするのかお伺いいたします。
ブラジル人を含む南米からの出稼ぎの人たちとその子供たちの置かれた状況は、不況とも相まって困難が増しているのであります。県や市町村は研修生や
友好親善訪問などには熱心でありますが、この苦労している出稼ぎの親たちやその子供たちの実態にもう少し目を向け、手を差し伸べることができないものでありましょうか。そのことも、「住みたい富山県」への一歩となるものと思います。
以上をもって質問を終わります。どうもありがとうございました。
6 ◯議長(筱岡與次平君)中沖知事。
〔知事中沖 豊君登壇〕
7 ◯知事(中沖 豊君)一般質問の先頭を切られました鹿熊議員の御質問にお答えいたします。
最初の御質問は、朝日岳・
白馬岳一帯の
自然保護活動についてでありますが、今後の朝日岳・
白馬岳一帯の自然保護の方針を打ち立てていくためにも、総合的な学術調査が必要であると考えるがどうかということであります。
立山を中心とする北アルプスは、雄大で美しい景観や貴重な野生生物など、国内はもちろん世界にも誇れるすぐれた自然環境を有しておりまして、かけがえのない財産として後世に引き継いでいかなければならないと考えております。特に、朝日岳・
白馬岳一帯につきましては、鹿熊議員からも説明がありましたが、富山県側から見て雪をいただいた姿が高貴なハスの花、すなわちレンゲに似ていることから、古くから地元では「大蓮華山」と呼ばれて親しまれております。
この大蓮華山と呼ばれる地域は「
白馬連山高山植物帯」として
特別天然記念物に指定されまして、コマクサやウルップソウなどの貴重な植物群落があることで知られております。また、ライチョウの生息北限地としても知られておりまして、国設の
北アルプス鳥獣保護区に設定されておりますほか、レッドデータブックに掲載されております
タカネヒカゲやクモマツマキチョウをはじめ、多くの高山チョウの生息地でも知られておりまして、貴重な動植物の宝庫であります。
このように、貴重な地域であります朝日岳・
白馬岳一帯の自然の保護と安全登山の推進のために、大
蓮華山保勝会が70年の長きにわたりまして地道な活動を続けてきておられますが、この機会に心から敬意を表し、また感謝も申し上げたいと存じます。
御指摘の総合的な学術調査についてでありますが、このような貴重な自然を適切に保全していきますためには、体系づけられた科学的な知見が必要不可欠であります。今後、動植物のみならず地形や地質などを含めた総合的な学術調査を、環境庁など関係機関と協議しながら、実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次の御質問は
環境保全対策についてでありますが、そのうちの、
環境アセスメント条例の制定方針について、その制定手法とあわせて聞きたいという御質問にお答えいたします。
環境影響評価、いわゆる
環境アセスメントにつきましては、本県におきましては、平成2年6月に
環境影響評価要綱を制定いたしまして、環境汚染の未然防止を図ってきたところであります。一方、国におきましては、昨年6月に
環境影響評価法を制定いたしまして、来年の6月の施行に向け、各種の政令などが整備されたところでありまして、対象事業の拡大や
環境影響評価の方法について意見を求める仕組みを導入するなど、これまでの制度を強化したところであります。
このため、本県の
環境影響評価制度につきましても、条例化することにより一層の充実強化を図りたいと考えているのでありまして、去る10月に、
環境影響評価制度のあり方について、県の環境審議会に諮問をしたところであります。現在、この審議会の
企画専門部会におきまして検討が進められておるところでありますが、最終答申に至る中間的な段階で、広く県民や事業者などいろいろな皆さん方の意見を十分に聞きまして、来年度の早い時期に答申をいただきまして、来年の6月県議会に条例案を上程したいと考えております。
今後とも、本県の貴重な財産であります水と緑に囲まれた恵まれた環境を将来の世代に引き継げますように、環境問題にさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
以上であります。
8 ◯議長(筱岡與次平君)
松本生活環境部長。
〔
生活環境部長松本 寛君登壇〕
9
◯生活環境部長(松本 寛君)朝日岳・
白馬岳一帯の
自然保護活動について、これらの地域の自然保護に県ではこれまでどのような施策を実施し、また今後どのように取り組んでいくかのお尋ねについてお答えいたします。
県といたしましては、全国に誇る貴重な動植物の宝庫である朝日岳・
白馬岳一帯については、これまでに登山者など公園利用者の安全性や快適性を図るための登山道や案内標識などの利用施設の整備を実施しており、また、本年には
雪倉岳避難小屋の改修も行ったところでございます。
なお、登山道の整備に当たっては、植生や小動物の踏みつけの防止の観点から、現地に合った木道や階段工などの工法を取り入れるなど、自然保護に配慮しているところでございます。
また、貴重な
タカネヒカゲなどを保護するためのパトロールを毎年実施するとともに、大
蓮華山保勝会の皆様の協力も得まして、
自然公園指導員や
自然保護指導員を配置し、公園利用者の安全指導やこれらの貴重な自然環境の保全に努めているところでございます。
今後、今ほど知事からお答えいたしましたとおり、総合的な学術調査の実施をも踏まえ、この貴重な朝日岳・
白馬岳一帯の
自然環境保全のための諸施策をさらに充実するよう努めてまいりたいと考えております。
同じく朝日岳・
白馬岳一帯の
自然保護活動について、大
蓮華山保勝会をはじめ関係団体の活動等を県民に紹介するための企画展示や
企画イベントの開催の提言についてお答えいたします。
県内には大
蓮華山保勝会や富山県山岳連盟など、
自然保護活動や山岳活動を推進している多くの団体があり、日ごろから自然環境の保全、貴重な動植物の保護、登山者の安全指導などに多大な御尽力、御協力をいただいているところであります。
御提言のこれらの団体の歴史や活動を多くの県民の方に知ってもらうことは、すぐれた自然環境の恵みを授かり、継承する観点からも重要であると認識しております。
今後、教育委員会、関係機関とも協議のうえ、企画展示や
企画イベントなどができるかどうか検討してまいりたいと考えております。
次に
環境保全対策についてでございますが、1番の、
環日本海環境協力センターが実施した遼寧省の
環境関連産業投資調査団に関連いたしまして、中国の環境保全の状況とあわせて、これらの交流を通じた
環境ビジネスの可能性についてのお尋ねにお答えいたします。
今回、遼寧省の瀋陽市、大連市等を訪れた
環境関連産業投資調査団は、排水対策を中心に調査したところでございますが、遼寧省における環境の実情につきましては、議員御指摘のとおり芳しいものではなく、特に河川は生活排水での汚れ、下水のにおいがするなど水質汚濁の進行が確認されているところであり、中国の環境基準を大幅に超えている状況でございます。
また、今回の調査団の目的でありました
環境ビジネスにつきましては、訪問の際に現地で、我が国の安くて機能的な
排水処理技術についての情報提供を依頼されたほか、さらに産業廃棄物の処理技術についても強い関心が示されたところでございます。
排水や産業廃棄物の処理に係る技術移転につきましては、中国側にとっても日本側にとっても非常に有益であり、今後、調査団に参加された各企業において検討が進められるものと考えておりますが、県といたしましても、財団法人
環日本海環境協力センターと連携し、中国側の情報収集・提供、技術的支援など必要な支援を行い、
環日本海地域における環境協力を積極的に推進してまいりたいと考えております。
同じく
環境保全対策のうち、
ダイオキシン対策に関連して、ごみ処理広域化の達成までの間の焼却施設の維持管理の指導についての御質問にお答えいたします。
ごみ処理焼却施設に係る
ダイオキシン類の削減対策につきましては、本年3月に策定した富山県
ごみ処理広域化計画の達成に向けて、現在各広域圏において新たな整備に努力されているところでございます。
これらの施設整備が図られるまでの間、現在稼働中の施設については、平成9年1月に厚生省が示した新ガイドラインに基づいて、まず、ごみの排出規制と
リサイクルを進め、焼却量の減少を図るとともに、
ダイオキシン類の排出濃度が平成14年12月までに、大気1立方メートル当たり1から5ナノグラム以下になるよう指導しているところでございます。
このため、市町村においては、具体的な削減対策として、これまで、完全燃焼するための助燃装置の整備、一酸化炭素計の設置、あるいは活性炭・消石灰処理装置の整備等を図ってきたところでございます。さらに、今後、
ダイオキシン類の測定結果によっては、必要に応じてバグフィルター式高性能集じん機の整備等の対策も講じることとしているところでございます。
県におきましては現在、市町村に対し、
ダイオキシン類の削減が早期に達成できるよう、技術的な指導、助言、あるいは本年度新たに創設した
ダイオキシン対策施設改良費補助制度による財政的な支援、さらに国庫補助の確保、有利な起債の導入等を国に強く働きかけるなど、今後とも、各市町村等の
ダイオキシン類発生削減対策に積極的に支援してまいりたいと考えております。
次に、同じく
環境保全対策のうち、
容器包装リサイクル法に基づく市町村の分別収集の
取り組み状況と今後の見通しについてのお尋ねにお答えいたします。
現在、県内の各市町村では、
容器包装リサイクル法の規定により、県が平成8年11月に策定した富山県
分別収集促進計画に基づきまして、スチール缶、アルミ缶、ガラス瓶、
ペットボトル及び紙パックを対象として、平成9年4月以降、段階的に分別収集を実施しているところでございます。
具体的には、平成9年度から富山市、氷見市の2市が、また本年度は新たに高岡市をはじめ13市町村が分別収集を開始したところであり、他の市町村におきましても、今後、圧縮施設、保管施設の整備や広域的な収集体制の整備によって、
ペットボトルに限らず、缶、ガラス瓶、紙パックについても平成11年度中に県内すべての市町村において分別収集が実施されるものと考えております。
県といたしましては、ごみの
リサイクルには住民の協力が不可欠と考えており、今後とも、テレビや県広報等を利用した県民に対する普及啓発を図るとともに、市町村に対する情報提供や技術的指導、さらに保管施設や中間処理施設等の整備に対する助成を行うなど、ごみの
リサイクルを促進し、環境への負荷が少ない循環型社会の形成に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
10 ◯議長(筱岡與次平君)白井土木部長。
〔土木部長白井芳樹君登壇〕
11 ◯土木部長(白井芳樹君)
環境保全対策についての御質問のうち、まず、
建設混合廃棄物の
リサイクルにどのように取り組むのかという御質問にお答えいたします。
建設混合廃棄物は、ビルや住宅の建てかえ工事などに伴い、鉄くず、木くず、廃プラスチックなど、
リサイクル可能なものと不可能なものが混合した状態で排出されるものであります。
県ではこの
建設混合廃棄物を含めた建設副産物対策が重要でありますことから、国、公団、市町村、建設業協会、建設コンサルタンツ協会、建築士事務所協会などと一体となりまして、北陸地方建設副産物対策連絡協議会を設立いたしまして、北陸地方
建設リサイクル推進計画'97を策定するなど、資源循環型社会の構築を目指しているところでございます。
建設混合廃棄物の
リサイクルを推進するためには分別・解体する必要がありますが、この分別・解体の費用がかさむことや、大部分が民間の建てかえ工事から発生するため分別・解体の費用が発注金額に上乗せされにくいことなどが、この
リサイクルを進めるうえでの課題となっております。
こうしたことから建設省では、民間におけるビルや住宅の建てかえに際して、解体工事で発生する
建設混合廃棄物の分別費用を軽減し、
リサイクルを促進するため、低利融資などの支援措置を含む
建設廃棄物リサイクル法案を検討していると聞いているところでございます。
県におきましては、学校などの公共建築物の建てかえに際しましては、適正な処理費用を計上のうえ、分別・解体処理を業とする専門業者に発注しまして、
リサイクルの推進を図っているところでございます。
また、県内におきましても、富山国際職藝学院が早稲田大学と共同で、
リサイクル率80%以上を目標とし、金具の使用を避けた木造工法などによる住宅建設の実験が進められているところでありまして、県ではこの成果が
建設混合廃棄物の発生が少ない住宅の普及につながっていくものと期待しております。
いずれにいたしましても、
建設混合廃棄物の
リサイクルは大切なことでありまして、北陸地方
建設リサイクル推進計画'97の指針を踏まえまして、建設業協会など関係団体と連携、協力しながら
リサイクルの推進に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、建設廃材の発生から再利用に至るまでの一貫した対策についての御質問にお答えいたします。
建設廃材などの建設副産物の利活用につきましては、限りある資源の有効利用や環境保全の観点から重要なものと考えておりまして、先ほど申し上げました北陸地方
建設リサイクル推進計画'97を策定し、発生の抑制と再利用の促進、そして適正処理の推進を基本に、資源循環型社会の構築を目指しているところでございます。
現在、富山県におきましては、県の工事はもとより市町村や民間の工事から発生するアスファルト塊や
コンクリート塊につきましては、民間の再資源化施設で処理をし、その再利用を図りますとともに、建設発生土につきましても工事間での流用を図るなど、積極的に再資源化と再利用に努めているところでございます。
具体的には、公共工事の実施に当たりましては、経済性にかかわらず、工事現場から発生する副産物はできるだけ再資源化施設に回すこと、また、そこで再生された資源をできるだけ利用するという
リサイクル原則化ルールを徹底することや、再利用にかかる適正な単価を調査し、設定することなどによりまして、資源の
リサイクルがよりスムーズに促進されるよう措置を講じているところでございます。さらに、民間の工事につきましても、協議会を通じて建設副産物対策の講習会やシンポジウム、また現地見学会を開催しておりますほか、パンフレットなどによる広報PR活動にも努めているところでございます。
今後とも、官民一体となった協議会を中心としまして、建設副産物の発生から利用に至るまでの一貫した対策に取り組んでまいります。
以上でございます。
12 ◯議長(筱岡與次平君)飯田教育長。
今年実施された会計実地検査において、県教育委員会に対する文部省委嘱等事業の一部に不適正な会計処理があったという事実が明らかになったことは、県民の教育行政に対する信頼を著しく損なうものであり、心からおわびを申し上げたいと思います。
今回の不適正な会計処理は、文部省委嘱等事業の弾力性に欠ける予算執行制度も一因にあることはあると思いますが、基本的には適正な公費支出に関する法令等の遵守意識の緩み、すなわち教育に携わる公務員としての心構えに欠けるところがあったと考えております。
もとより、教育に携わる公務員は、その職責から強い規範性が求められていると考えております。そうした観点からも、今回の会計検査院からの指摘は大変に申しわけなく、私も当時教育長の職にあった者として管理監督の責任に不行き届きがあったことを深く反省している次第であります。報告を受けたとき、おのれの不明を恥じました。管理監督の立場にあった者として、いかになすべきかということに思い悩みました。今、私としては、今回の事実を厳粛に受けとめて、かかる不祥事が二度と起こらぬよう対策を徹底し、適正な教育行政の推進を図ることによって、教育行政に対する信頼を回復することが目下の急務であり、そのため最大限の努力を払うことが、現在の私のとるべき道であると思い定めたところであります。
信頼は、時には一瞬にして失われます。信頼を築き上げるのは、はるかに遠くかつ困難な道であります。今私は「任重くして道遠し」という言葉をかみしめております。曾子がこの言葉を口にしたとき、その任というのは君子として仁の道を行うことでありました。私は今、自分を君子になぞらえようなどとしているのではありません。ただ、この信頼を回復するという仕事がまことに重いものだと感じているということであります。道はいかにも遠いのでありますが、私といたしましては、この道を今歩まなければならないと考えているところであります。御理解を賜れば幸いに存じます。
次に、教育委員会幹部の人事について改めるべきだという御質問にお答えを申し上げます。
本県においては、校長をはじめとする教職員の配置に当たっては、適材適所を基本に、教員としての教育実績や教科領域についての専門知識、各学校の抱える課題等を総合的に勘案して、それぞれの学校などにとって最もふさわしい資質や能力を備えた者を充てるように心がけてまいりました。一般に人事においては、その時々によって条件が変わってくるのであります。異動の対象となる人材にはそれぞれ個性があり、またその資質・能力というものも変化をいたします。一方、学校などにおいては、共通普遍の課題はもちろんありますが、新たな課題を抱えることもあるのであります。そうした条件、課題を総合的に勘案しなければならないのであります。したがって、在職年数などのルール、そういうものは別として、一定の道筋を定めて人事を行うということは、実際には困難であります。
いずれにいたしましても、教育の成否は人間にあります。したがって、適切な人材の配置ということには格段の留意が必要であり、マンネリズムの印象を与えるような人事は決して好ましいものではありません。現在は教育改革を推進すべき時代であります。そのような状況を踏まえて、人事異動についてはさらに適切・的確なものとなるよう、今後とも十分配意してまいりたいと思っております。
61 ◯副議長(川島久一君)飯田教育長。
〔教育長飯田宗映君登壇〕
62 ◯教育長(飯田宗映君)教育問題についてお答えを申し上げます。
まず最初に、学級崩壊、またはその寸前といったような状況を全県的に掌握しているかどうかというお尋ねでありますが、子供たちが学級担任の注意を聞かない、授業中勝手に教室を歩き回るなど授業が成立しないといった状況が、小学校低学年あたりからあらわれるという状況が全国的に広がっております。この現象が昨今、いわゆる「学級崩壊」と呼ばれ、全国的な問題になりつつあります。本県につきましても、小学校を中心に現在数校あることを掌握しております。
それぞれの学校では、担任教員と他の教員とのチームティーチングによる、いわゆる個に応じたわかる授業などの工夫や、当該の児童生徒との個別懇談、さらには保護者との懇談などきめ細かい指導を継続してきておりまして、おおむねどの学校についても状況は改善されつつあるというふうに聞いております。
次に、高校生の子宮内膜症の実態把握に関する問題でございますが、学校では御承知のとおり、毎年年度初めに定期健康診断を行いまして、児童生徒の健康状態を把握しておりますが、この根拠となる学校保健法の施行規則の検査項目に、この子宮内膜症というのは項目にはございません。そういうことから、現在、統計的には掌握していないというのがまずは実情であります。
しかしながら、議員御指摘のいわゆる環境ホルモンと子宮内膜症との因果関係という問題については、新しい問題ではありますが、県教育委員会としても関心は持っております。しかしながら現在のところ、第1に生徒のプライバシーの確保や保護者の理解、あるいは第2に医療の専門性や検査機器の問題などから、学校での検診は困難であって、直ちに実態を把握するということは難しいというふうに考えております。
先ほど議員が申されたように、養護教諭の指導、助言によって当該の生徒が専門医のほうへ出向いて、そこで診断を受けた結果そういうことが判明してきているというふうにお聞きいたしましたが、そういうことでございますと、まさに保健室における養護教諭の存在の意味ですね、よいお仕事をしていただいたと。それから、生徒が相談に行って、かつ指示どおり従って行動したというふうなあたりが、いわば学校保健の制度が非常にうまく機能したということで、私としてはありがたく思っておりますが、願わくはすべての学校で、当面、そのようにこの問題は機能してくれたらありがたいというふうに思っております。
なお、厚生省に設置された検討会においては、現在のところ子宮内膜症への影響については有意な因果関係を示す知見はないとしながらも、さらに調査研究する必要があるという中間報告がなされていると聞いておりますので、今後とも関係の諸機関の動向に注意してまいりたいというふうに思っております。
それから次に、養護教諭の複数配置に関するお尋ねでございました。お答え申し上げます。
保健室登校の問題をはじめ、児童生徒の心のケアにおける養護教諭の役割はまことに大きいものがあるというふうに考えております。本県におきましては、国の基準を上回って4校の大規模な小中学校に複数配置をするなど、学校や地域の実情等に応じてその配置に努めてきたところであります。
養護教諭をはじめとした教職員の定数の拡充については、都道府県教育長協議会において国に働きかけており、また本県においても同様の働きかけを行ってきているところであります。さらに、養護教諭の複数配置の基準の緩和ができるだけ早く実現されるように、本県の平成11年度の政府等への重要要望の事項に、新たに養護教諭複数配置の促進を柱とした心の教育を推進するための施策を盛り込んだところでありまして、今後とも国に対して強く働きかけを行ってまいりたいというふうに思っております。
次に、心の教育相談活動支援事業の手続を簡略にすべきではないかという御提案でございますが、お答えを申し上げます。
御指摘の心の教育相談活動支援事業は、心の問題を抱える児童生徒に直接かかわる養護教諭等に対し、専門医が適時に適切なアドバイスをするということを目的に、今年度から県下4地区ごとに、開業医である精神科医おのおの1名にお願いをいたしまして開設した制度でございます。養護教諭の方々が心に係る問題があれば、この委嘱した精神科医さんのほうに連絡をとってそのアドバイスを仰ぐという制度でありますが、この申し込み手続については、当分の間、各学校は電話で県の教育委員会に申し込み、県教育委員会がその精神科医と診療日程等を調整のうえ、当該校へその該当日を連絡するというふうなことで、目下対応しております。いかにも確かに、学校から直接開業医さんのほうへ連絡がとれたほうがまさによいのでありますが、これはある意味で多数の学校から開業医さんのほうにしょっちゅう電話が舞い込むという状態になりかねないということもあり、ほかならぬ精神科医さんのほうからの要望もあって、目下、このような形で試行的に行っているということでございます。この点どうか御理解を願いたいと思います。
次は、文部省委嘱等事業の不適正会計処理について、教育長としての、しかも長い間教壇に立って訓辞を垂れてきた者としての責任と反省はどうかと、こういうお尋ねでございます。
今回の該当事業の不適正な会計処理は、まことに県民の皆さんの教育行政に対する信頼を著しく損なうものであり、まさに教育に携わってきた、そして現在も携わる者として、今回の事態を重く受けとめ、教育委員会事務局の責任者として心から申しわけなく思い、おわび申し上げたいと思います。
私も先ほどの教育委員長と同じ認識でありまして、みずからの管理監督に不行き届きがあったその責任を深く反省しております。今回の事実を厳粛に受けとめ、再発の防止対策を徹底し、県民の皆さんの信頼回復を図り、それに努めることが私のとるべき道であるというふうに考えております。努力したいと思っております。
次に、文部省の委嘱等事業の予算システムが実情に合わないという点の改革を要請していくべきではないかという御意見でありますが、今回の不適正な会計処理は、基本的には教育に携わる公務員としての心がけを欠いていたという点に大きな問題がございますが、文部省から都道府県に示達される科目別の示達額が実際の事業執行に見合ったものとなっていないなど、委嘱等事業の弾力性に欠ける予算執行制度になっていた。それが大きな背景であるというふうに思っております。
このため、既に、県教育委員会として文部省に対し、この制度が改善されるように要請を行ったところであり、また、今回この委嘱等事業で会計検査院から同様な指摘を受けた県が多数に上るということから、先般、都道府県教育長協議会から文部省に対し、当該委嘱等事業については地方公共団体が主体的に事業を選択できるように事業内容のメニュー化を図ることや、事業を実施する地方公共団体の歳入歳出予算への計上を可能とすることなど、事業実施形態の改善の要請を行ったところであります。
今後さらに、必要に応じ、都道府県教育長協議会等を通じまして、委嘱等事業の予算執行制度が改善されるように文部省に要請してまいりたいというふうに思っております。
最後に、学閥・門閥等にとらわれない人事ということで、人数をお尋ねでございました。お答えを申し上げます。
過去20年間のうち指導課長経験者は9名であり、そのうちで、御指摘の3校の校長になった者は7名、それから高校長協会長になった者をお尋ねでございましたが、これはもちろん校長間の互選によって会長になるわけですが、これは3名であります。
また次に、指導課の高等学校係とかつての産業教育係の主幹経験者は合わせて18名であり、その後、御指摘の3校の校長になった者は5名、高校長協会長になった者は2名であります。
なお、校長任用をはじめ教職員の配置については、決して学閥や門閥による人事は行っていないところであり、あくまでも私どもとしては、教育行政ないし学校を問わず、適材適所を旨として、今後とも適正かつ効果的にそういう人事配置に努めてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
63 ◯副議長(川島久一君)上江農林水産部長。
〔農林水産部長上江崇春君登壇〕
64 ◯農林水産部長(上江崇春君)農業問題、新産業等についてのうち、まず、大豆の品種改良についての御質問にお答えをいたします。
本年産大豆につきましては、生育量は平年以上に確保されてきたものの、成熟期の台風やその後の長雨、高温という異常気象により、腐敗粒などが多発し、甚大な被害が発生したところでございます。
本県では、大粒で品質のよい品種「エンレイ」を転作の基幹作物として作付を勧めております。このエンレイは、タンパク含量が高く、生産者の努力とも相まって品質も極めてよいことから、これまで煮豆用、豆腐用として実需者からも高い評価を得てきたところでございます。
このような状況におきまして、本県に適する大豆の品種選定については、エンレイ並みの品質・収量の品種であって、気象災害を回避するため成熟期の異なる品種について、鋭意検索を行っているところでございます。しかしながら、現在のところ、タンパク含量や粒の大きさなど品質面で難点があり、エンレイを上回る品種がないのが現状でございます。
今後とも本県に適した大豆の有望品種の検索に努めますが、当面の対策といたしましては、今年度のように収穫時期が集中して一度に大きな被害を受けることがないよう、来年度の新技術対策といたしまして、播種時期を調整し、収穫期に幅を持たせることなどを基本技術に盛り込みまして、栽培農家への指導、普及を図ってまいりたいと考えているところでございます。
次は、大豆共済加入率を高める努力と、加入方法を農家単位から一筆単位加入方式に改められないかとの御質問にお答えをいたします。
大豆共済につきましては、大豆が本県の転作の基幹作物であることから、農業共済団体をはじめ、県といたしましても、これまで、第1に、PR用パンフレットなどを作成いたしまして積極的に加入促進を図ってきたこと。第2に、大豆の共済被害を未然に防止するという観点から病害虫防除に対する助成に取り組んでおり、加入農家の負担軽減に努めてきたことなどから、加入率は84%と全国的にも高い水準を維持してきているところでございます。
大豆共済は任意加入制度でありますことから、ことしの大きな災害を機に共済制度の趣旨やメリットなどの理解を深めていただきますように、今後はさらに制度の普及啓蒙活動を充実いたしまして、栽培農家の共済加入促進に努めてまいりたいと考えております。
次に、大豆共済の引き受け方式でございますが、これは災害補償法におきまして農家単位引き受け方式とされているところでございます。大豆共済に一筆単位引き受け方式が制度化されていない理由といたしましては、第1に、農家の経営安定を図ることを目的とする共済制度の趣旨から、農家単位で収穫量全体の損害補てんを行うことが合理的であること。一筆単位引き受け方式は、共済金の支払い機会が多くなる可能性がある反面、共済掛金が高くなり、農家の負担が大きくなるおそれがあることなどが挙げられます。
国におきましては、一筆単位引き受け方式が主流の稲と麦の農作物共済におきましても、農家単位引き受け方式への誘導を図っているところでございまして、大豆共済への一筆単位引き受け方式の導入は困難というふうに考えております。
いずれにいたしましても、県といたしましては、農家や関係団体にも働きかけながら、大豆共済の加入促進を今後とも図ってまいりたいというふうに考えております。
次は、通い容器を活用した流通システム導入の可能性と県の支援についての御質問にお答えをいたします。
野菜などにおいて、プラスチックコンテナや、いわゆる通い容器を活用した流通システムは、出荷経費の節減など生産コストの低減に結びつくこと、第2に、使用後の段ボール処理が不要となり省資源となること、第3に、予冷などの冷却効果が高く、鮮度保持が容易であることなどの効果が期待されているところでございます。このことから、県におきましては平成9年から10年度に、射水地域の軟弱野菜産地におきまして、通い容器を活用した流通システムの実証事業を実施しているところでございます。その結果、生産コストの低減や消費者への鮮度アピールに効果があったなど、生産者や流通業者から一定の評価を得ているところでございます。
しかしながら、大根など貯蓄性のある野菜ではコンテナの回転率が悪く、コスト低減になりにくいこと、また、契約的な販売以外、すなわち一般市場流通ではコンテナの紛失などのリスクが多いこと、さらに、出荷先が求めております定量継続出荷に対応できる産地が限られていることなどの課題も確認されたところでございます。
本県の野菜産地の育成には、こうした通い容器を利用しまして鮮度・熟度を重視した域内流通システムの確立が有効な手段の一つと考えられております。このため県といたしましては、今回の実証事業の結果を踏まえまして、市町村、農業団体と連携し、諸課題の解決を図りますとともに、生産者と流通業者との話し合いを促進いたしまして両者の合意形成を図るなど、通い容器を活用した流通システムの普及にできるところから取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次は、道下信用農協の債務超過事件に関係して、昭和51年に発覚した際の損失事件では県の監督責任が明確でなかったのではないかとの御質問にお答えをいたします。
道下信用農協の昭和51年当時に発生した問題は、多額の貸し付けを受けていた2社が経済情勢の悪化によりまして倒産したため、約15億7,800万円が回収不能となったものでございます。当時の経緯につきましては定かでない面もございますが、この問題は昭和49年5月におきます県の特別検査に基づき、大口貸し出しの担保不足や不健全債権化などを指摘いたしまして、文書により貸し付けの適正化を求めたところでございます。さらに、回収不能が明確となってからは、当時の組合長ほか役員、参事による賠償などによりまして、約8億200万円の処理がなされたところでございます。また、新組合長の就任によりまして新執行体制の確立を図りますとともに、臨時総会を開催し、組合員の増資をもとに再建9カ年計画を樹立するなど、道下信用農協の存続に対する熱意が高まってきたところでございます。このため、残された約7億7,600万円につきましては、農協中央会に道下信用農協再建整備委員会を組織いたしまして、徹底した経営管理に努め、再建が進められてきたところでございます。
このようなことにつきましては、当時県議会におきましても種々議論されているところでございまして、御理解をいただいていたものというふうに考えております。
次は、営農組織などが大豆コンバインなどの農業機械を購入する場合に、農協系統、商系がそれぞれどのような金額になっているかとの御質問にお答えをいたします。
県といたしましては、補助事業については事業の趣旨に沿って適正に運営されることを主眼といたしまして、その実施計画の審査や実施状況の把握などに努めているところでございまして、農業機械の購入先について特段の指導を行っていないところでございます。
御指摘の営農組織などが補助事業で導入いたしました大豆コンバインの購入割合につきましては、農協系統が約95%、商系が約5%となっておりますし、また、農業改良資金で導入いたしました農業機械等の購入割合につきましては、農協系統が約66%、商系が約34%となっております。
農協系統からの購入割合が比較的高い理由といたしましては、農協はそもそも農業者みずからの拠出による協同組織であり、身近に存在し、アフターサービスも得られやすいということなどが考えられるのではないかというふうに思っております。
最後は、農業機材の購入に当たって、農協系統と商系の公正な競争が行われるように県は指導すべきと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
本県では、例えば稲作生産費調査におきまして生産費の約2割を農機具費が占めているなど、農業の低コスト化を図るうえで農機具費の低減が重要でございます。このため、農業機械の導入に当たりましては、その価格はもとより、地域の営農条件やアフターサービスなどを総合的に勘案いたしまして、農業者みずからが判断し、購入することを基本としながら、県といたしましては経営規模に合った農業機械の導入、過剰装備を排した廉価な農業機械の普及、農業機械の修理・点検による使用年数の延長などの指導を行っているところでございます。
今後とも、これらの指導とあわせまして、農業機械関係団体とも連携をいたしながら、過剰投資の抑制を図るための意識啓発や農業機械の効率的利用を促進いたしまして、農業機械の適正な導入利用が図られるように努めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
65 ◯副議長(川島久一君)高原商工労働部長。
〔商工労働部長高原一郎君登壇〕
66 ◯商工労働部長(高原一郎君)まず、高岡銅器・漆器の産地イメージを全国に広めていく必要があるのではないかという御質問にお答えを申し上げます。
伝統的工芸品産業は日本各地の風土から生まれ、地域ごとの生活習慣とともにはぐくまれ、受け継がれてまいりました。本県では、高岡銅器、高岡漆器、井波彫刻、越中和紙の4品目が伝統的工芸品として、また庄川挽物木地が伝統的工芸材料といたしまして通商産業大臣の指定を受けているところでございます。しかしながら、生活の洋風化の浸透あるいはまた核家族化の進行によりまして、生活習慣が変化をし、伝統的工芸品を日常生活で使用する機会が減少するなど、伝統的工芸品産業は厳しい環境下に置かれており、市場経済のもとで市場の動向を十分把握するといった自主的な努力がより一層必要となっている一方で、需要の掘り起こしというものが大きな課題となっているわけでございます。
このような状況を踏まえまして、これまでも、各産地組合が行う後継者育成事業、需要開拓事業及び新商品開発事業などに対する補助でございますとか、あるいは販路拡大など、伝統的工芸品産業振興のため支援を行ってきておるところでございます。
御質問の産地イメージの定着化につきましては、販路の拡大に重要なものであると認識をしておりまして、PR誌の作成や全国伝統的工芸品まつり、中部の伝統的工芸品まつりなどの伝統的工芸品展示会や、あるいは東京国際家具見本市など各種の見本市、物産展等の参加に支援を行ってきているところでありまして、今後とも、産地イメージが強化されるように関係業界を支援していきたいというふうに考えております。
次に、高岡市で平成8年度から独自にマイスター制度を実施しているけれども、県としても力強く支援をすべきと考えるがどうかという御質問にお答えを申し上げます。
伝統的工芸品は、主要工程が手づくりであり、高度の伝統的技術によるものであるため、その習得には長い年月が必要でございます。また、伝統的工芸品の需要が低迷していることなどによりまして、後継者の確保・育成が難しく、伝統的工芸品関係業界の課題となっておるところでございます。
このため、国におきましては伝統工芸士制度が設けられているところでございまして、伝統工芸士は最高の技能・技術と知識を持つ人で、かつ伝統的技術・技法の向上及び継承に指導的な役割を果たし得る人ということになっております。この伝統工芸士の称号を与えることによりまして、その社会的な地位を高めるとともに、後継者の確保・育成という大きな使命を担っていただいているものというふうに理解をしておりまして、言うならば、伝統工芸士制度は伝統工芸におけるマイスター制度ともいえるものだと考えております。県内では、高岡銅器で38名、高岡漆器で20名など、5産地で117名が認定をされておりまして、高岡市継承者育成事業においても伝統工芸士の方々に多大な御尽力をいただいているところでございます。
なお、県といたしましては、現在のところ市のマイスター制度に対する支援を充実するという考え方はございませんけれども、これまでも伝統工芸高岡銅器振興協同組合、あるいは伝統工芸高岡漆器協同組合など、各産地組合が実施をしております伝統工芸士などを講師とした後継者の確保・育成、あるいはまた技術・技法の向上のための研修会、講習会に助成するなどの支援をしているところでございまして、今後とも伝統的工芸品産業の振興に当たって、各産地組合が実施をいたします事業の支援に努めていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
67 ◯副議長(川島久一君)犬島 肇君。
〔36番犬島 肇君登壇〕
68 ◯36番(犬島 肇君)再質問いたします。
知事に、子宮内膜症の問題と環境ホルモンとの関係などをお尋ねして、加えて早期発見・治療を積極的に推進する必要があるんではないかとお尋ねをし、極めて積極的な答えを願ったんですが──なぜならば、少子化という問題にどう立ち向かうかというときに、つまり人口を増やすという問題になって出てくるわけだから、そうすると子宮内膜症というのは、お産をうんと困難にするとか、お産を遅らせるとか、初産をずっと遅くさせてしまうんだという問題などが指摘されているということから、富山県の少子化を克服していくうえでも大事な問題ではないかと。そういう点もあってお尋ねをしているわけです。この点を踏まえてほしかったと思います。これはお尋ねしておきます。
それから次に、教育委員長並びに教育長のお答えの中身について、私はこれ以上申す部分が少ないのですが、今議会が始まって、極めて異常だなと思ったり、違和感を感じたことを率直に言っておきます。
例えば代表質問の日に、ここに答弁に立った八木教育委員長及び飯田教育長が、「答弁に先立って、まず今回の不祥事をおわびします」と言うものと私は思い込んでおりました。皆さんどうでしょうか。それが全くなかった。こういう感覚ではどうなんだろうかと思いました。なぜそう思うかというと、私の頭にはやけどみたいにケロイドみたいに残っているイメージがあります。全庁調査に進んでいって、その結論が出たときに、知事以下すべての部長がここで、「答弁に先立って一言おわびいたします」ということを、全県民に向かって執拗なほど繰り返し繰り返し続けたのみならず、決算委員会の書面審査のときでも、当該課長は全部そのようにわびて言ったというイメージが私には焼きついています。それならば、特別公務員という役職は仕方がないかな、でも教育長ならば公務員だから、これは知事部局と同じような対話をするのかなと思ったら、それも脱落だ。特別公務員である教育委員長は、元教育長だった。教育の最高のポジションにいたエリートだ。だからその内面的な反省も殊に深く、「まず答弁に先立って」という発言があるかと思ったらそうではなくて、「今度は教育委員長を拝命いたしました」というところから入るんだ。この違和感、この異質な状態というものは一体何だろうと思ったということを率直に申し上げ、私もかつて教員の禄をはんだことがある教師の端くれなので、選挙に出るたんびに「わ、どっだけたっても先生ながか」と、こう言われたその「先生」というのは悪い意味の先生なんだろうと思うんですが、八木教育委員長や飯田教育長には悪い意味の先生を本当にぬぐい去っていただいて、112万県民の心の中にあなた方は生き続けているんだという立場にお立ちいただくように、これは要請をしておきます。生意気なようですけれども、あえて、「恩愛の絆を絶って」というのが仏語にありますが、申し上げた次第であります。
次に、飯田教育長の御答弁を聞いて私がびっくりしたのは、20年の間、指導課長あるいは指導課の主幹になった、要職にあった人たちの、何と9名のうち7名が、中部高校だ高岡高校だ富山高校だといういわゆる御三家の校長になっておるという事実。これは結果として人事そのものの停滞じゃありませんか。今、八木教育委員長がおっしゃったように、教育が大きく変わっていく時期です。こういうときにこそ有名な人物、逸材を一番困難なところに配置していくという思い切った人事をやらなければならないと私は思います。
かつて、八十島喜助という教育者としては非常にすぐれた人という評判の高かった人が、たしか富山県立ろう学校か盲学校の校長になられたという時代が、たしかこれは知事が教育長のときか、もしくは知事が教育長をおやめになった後かもしれませんが、そういうことがあったんですよ。
69 ◯副議長(川島久一君)制限時間です。
70 ◯36番(犬島 肇君)わかりました、もうしばらく。1回だけで終わりますから。
何を言いたいか。最後に、このままだと、いかに教育長が人事について物事を申そうにも、いろいろと年上の人たちがいて「飯田君、そういうことせんでもいいがでないがか」とか、ちゃべちゃべ横から口を出す者がおったりして、「あぁ、そうかなぁ」と言ってなきゃいけないことになるんじゃないかと思いますよ。だから、本当に今、教育の最大の山場、大事な時代に入っていますから、かかる御三家ばかりにだらだらと校長になるような人事はやめてもらいたい。これは明確に御答弁をいただくことにして、質問を終わります。
71 ◯副議長(川島久一君)中沖知事。
〔知事中沖 豊君登壇〕
72 ◯知事(中沖 豊君)再質問にお答えいたします。
環境ホルモンなどと子宮内膜症との相関関係について、少子化を克服するという面からも極めて重要だという御指摘がありました。
これからは、御案内のように少子化・高齢化の時代を迎えるわけであります。特に21世紀になりますと高齢者が非常に増えてまいりますので、やはり元気な高齢者が満ちあふれることが大事だというふうに思いますし、少子化の問題につきましては、もうあまり数のことを言わないで、たくましい若者、子供が育っていくことが私は非常に大事だというように思うわけであります。もちろん、たくさん子供ができるということは非常に望ましいことでありますけれども、大きな傾向として少子化ということがありますので、むしろたくましいすぐれた子供を育成するということが非常に大事ではないかというふうに思います。また、そういうたくましい子供を生み育てますためには、やはり丈夫な母体が大事でありまして、そういう面からこの問題は非常に重要な問題であろうというふうに思います。県では、県立中央病院で母子医療センターなどを全国に先駆けてつくったりしておりますけれども、今御指摘の問題につきましても、今後ひとつ一生懸命に研究をしてまいりたいと思います。
73 ◯副議長(川島久一君)飯田教育長。
〔教育長飯田宗映君登壇〕
74 ◯教育長(飯田宗映君)例えば指導課長が特定の学校の校長になっておるというケースが非常に多いのはよろしくないと、こういう御意見でございますが、これは先ほど申し上げましたとおりでありまして、人事の根本というのはやはり2つの要素があると思います。第1は、その人間の側の問題ですが、その人がいかなる識見やあるいは人格、専門的な力量といったようなものをお持ちであるかということであります。もう一方の、今度はその人を任じようとする学校なりセクションというそのところの特性といいますか、これがどのような人間を必要とするセクションであるか、あるいは現在どのような状況に置かれているのか、こういったような多様な要素の相対的な関係で人事というものは考えられねばならない。その中で、それを考えるべき立場の者は最善を尽くして、その適材を適所に配置することを考える、そういうことであろうと思います。それは余りにも当たり前ではないかと、こうおっしゃるかもしれませんが、そのような最善のことをやってきた結果が、結果としてそうなっているというふうに考えるべきではないかということであります。その原因と結果の関係を逆転して考えますと、私はやはり問題の見方というものがおのずから少し間違ってくるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
それでもう1つ、今、教育改革ということに結びつけて申し上げますと、高等学校教育は、特に職業科教育もいろんな課題を今確かに持っております。これは、例えば技術や時代の進展というものをもろに影響を受け、それと関連させながら新たな育成、展開を図っていくべき学科であるということは明白であります。職業学科の学校の校長も重要な問題でございますが、私の認識するところでは、むしろ普通科が重要であるというふうに思います。いたずらに数は多く、そして子供も親も普通科へ子供を入れて、上の学校へ上げたいという漠然たる志望は強うございますが、本当に、それではその高校3年間、しっかりした目的意識を持って子供らが育っているか、あるいはその受け入れた学校が彼らを育て上げているか。これは非常に問題のあるところというふうに認識しております。私はもっと普通科の教育というものは、しっかりした識見を持って、子供らにまさに前向きの意欲を持って、生きる力を持ったそういう子供らを育てるんだという見識も気概もある、そういう人を普通科校の校長に配置すべきであるというふうに自分としては考えております。
こういったようないろんことを勘案しながら事に当たりたいと思っておりますが、もちろん人事はいろんな考え方がございますので、広く皆様方の御意見は聞かせていただきたい。私は目いっぱい思案して最善を尽くしたいと、このように思っております。
以上でございます。
75 ◯副議長(川島久一君)大上紀美雄君。
〔34番大上紀美雄君登壇〕
76 ◯34番(大上紀美雄君)午前中からの会議で大変お疲れであろうと思いますが、いましばらく、私が最後でございますから、おつき合いをいただきたいと思います。
私は、富山県における高齢社会の諸問題について御質問をいたします。
総務庁が行ったことし1月1日現在の推計人口によれば、我が国の総人口は1億2,606万人でありました。2年前に実施されました国勢調査の総人口と比較すれば、49万人の増加であります。この総人口の増加は、日本の戦後の人口史上最も低い増加率であったといわれております。
そのうち高齢者人口の状況は、ことし1月1日現在で1,993万人であり、総人口に占める割合は15.8%であります。これはおよそ6人に1人が65歳以上の人口であるということであります。昭和25年には4.9%と、20人に1人という水準にあったことから比較すれば、短期間に急速な人口高齢化が進行しているといえます。
〔副議長退席、議長着席〕
将来における人口高齢化の進展を国立社会保障・人口問題研究所が昨年1月に公表した推計によりますと、2000年には17.2%、2025年には27.4%に達した後、2050年には32.3%と、国民の3人に1人が65歳以上になると予測しておるのであります。
ちなみに、我が国の人口は、明治4年に戸籍法が公布されましてから、その翌年明治5年には3,481万人であったということでありますが、昭和20年には7,215万人、昭和30年にはほぼ9,000万人に達して、さきの国勢調査では1億2,557万人に達し、約120年余の間におおむね3倍の人口に膨れ上がったわけであります。
ところで、我が国で今世紀から来世紀にかけて進行する本格的な人口高齢化は、経済、社会、医療、年金、福祉等さまざまな分野へ深刻な影響を及ぼすといわれております。したがって、人口高齢化問題は、それぞれの専門分野で調査研究を進め、総合的な対応策を立てなければならないといわれております。これは、かねてより我が国の人口の1%県といわれている富山県においても、人口の高齢化問題は同じであります。そこで、本県における人口高齢化対策として、医療・福祉、産業あるいは環境問題に関してお尋ねをいたします。
まず、平成12年4月1日から実施される公的介護保険制度に関連してお尋ねをいたします。
なぜ今、公的介護保険制度実施に国は踏み切ったのかということであります。ことしの3月23日に元愛知県副知事の甲斐一政さんが新聞の論壇で言っておるのでありますが、「今、日本全体でねたきり老人が約90万人、この中で特別養護老人ホームに入るのを待っている人は約5、6万人いるといわれている。ところが、特養ホームそのものが足りず、入りたくても1つの施設で大体50人待ちというのが普通らしい。表現はよくないものの、現状のままだとすれば、入所している老人が死んでくれるのを待つしかない。つまり、このような施設収容のやり方が壁に突き当たって、在宅介護を重視せざるを得なくなったというのが、2000年4月から施行される介護保険法といっていいだろう」こう言っておるわけであります。
そこで、既存の老人対象施設に対して、一般病院でも、平成12年から実施される公的介護保険制度の給付対象となる療養型病床群が最近県内でも増加しているようでありますが、その実態と整備目標についてまずお尋ねをいたします。
次に、高齢者が何らかの病気で一般病院に入院していて、環境の変化か何らかの原因で老人性痴呆症を併発して、中には院内を徘回し、転院を迫られるという相談を受けることも多くなってまいりました。老人性痴呆症を併発した患者さんを預かってくれる、そういった施設管理のできる一般病院は少なく、かといって、先ほども言ったように特養はいつもいっぱいであり、大変困ることが多いのであります。
そこで、一般精神病床の一部を老人性痴呆疾患療養病棟に転換する方針であると聞いておりますが、その実態と整備目標についてお尋ねをいたします。
次に、1992年4月より施行されました老人訪問看護ステーションについてお尋ねをいたします。
公的介護保険制度が施行されれば、在宅サービスの大きな柱になるとされております。これは、ホームヘルプサービスが在宅老人の介護を受け持つものであるのに対し、医師の指示を受けた看護婦が在宅老人に適切な医療的看護をするもので、まさに施設介護から在宅介護へ移行させようとしている国の施策の、名実ともに柱となるものと期待されております。いずれ在宅老人の家庭にはパソコンやファックスが置かれ、病院の医師と訪問看護婦との間で適切な連絡・指示が出され、いながらにして病院にいるとほぼ同じような看護が受けられる日が近いのではないかと期待されております。
そのステーションである老人訪問看護ステーションは、平成9年末までに16カ所本県では設置され、富山県高齢者保健福祉計画の目標は達成されたとなっておるのであります。しかしまだまだ、今後ますます必要性が高まってきておるのでありまして、公的介護保険制度の実施を2年後に控え、県は老人訪問看護ステーション整備について、市町村や関係団体に対する今後の指導の考え方、あるいは具体的な設置目標についてどのように考えておられるのかお尋ねをいたします。
次に、県の高齢者保健福祉計画では、各種老人施設の整備目標を平成11年までとしております。このたびの介護保険制度は、現行の施設収容のやり方が壁に突き当たって、在宅介護重視の政策に転換したものといえますが、一方で特別養護老人ホームの入所待機者がいまだに問題になっております。
本定例会の我が党の代表質問に対して知事は、特別養護老人ホームの入所待機者の多いことを深刻に受けとめ、高齢者保健福祉計画では平成11年を最終年度として2,900人分の目標を立てていたが、既にこれを達成して、平成11年度中には3,135人分となると表明されました。しかし、なお今後とも、平成12年度以降も可能な限り特別養護老人ホームの施設の増設をやっていきたいとの御答弁であったように思います。これはぜひ今後とも推進していただきたいと存じます。
ところで、これに対して平成12年4月1日から公的介護保険制度が施行されますと、これは何度か申し上げましたように、施設介護の限界から在宅介護重視の政策転換への方向を示すものとすれば、特別養護老人ホーム等への国の補助政策も大幅に縮小されるのではないかと危惧するものであります。つまり、老人施設整備の進度が相当鈍くなっていくのではないかと思うのであります。
そこで、平成12年度以降の富山県の特別養護老人ホーム等の施設整備の考え方について、この際改めてお尋ねをいたします。
次に、特別養護老人ホームへの入所資格の「ねたきり」か「老人性痴呆症」の人ではなくて、一般病院に入院している老人の患者さんの問題であります。
年をとればだれでも、若いころにどんなに健康で元気であった人でも、体のどこかが痛くなったり病んだりするものであります。そういったお年寄りが一般病院には大勢入院しておられます。そういった人の中で、家族の人から最近よくこのような相談を受けるのであります。特に公的病院に入院している方からのものが多いのでありますが、入院して2カ月もたつかたたないうちに、決して治ったから退院してもよいということではないのでありますが、「病状が安定してきたので他の病院へ転院してほしい」こう言われて、知り合いの病院もなく、途方に暮れているという話を最近よく聞きますし、また相談を受けることも多くなってきたのであります。
関係者に聞いたところ、入院患者1人に対して支払われるいわゆる診療報酬の改正によって、入院して1カ月もするとどんどんと診療報酬、つまり厚生省では入院時医学管理料というそうでありますが、その管理料が下がってきて、病院経営を圧迫するのが原因ということであります。しかし、事情のよくわからないお年寄りの入院患者やその家族にとっては、それによって公的病院に対する不信感、不安感が増幅していくおそれがあるのであります。
そこで、富山県の現状をどのように認識し、把握しておられるのか。今後このようなことが改善されていく見通しがあるのかないのか、当局の対策をお尋ねいたします。
次に、高齢化社会に伴う他の諸問題についてお尋ねをいたします。
通産省の予測では、高齢者を対象とした事業は、2010年には20兆円規模の市場になるだろうといっております。そのうち、介護・福祉機器の市場規模は1兆7,000億円、規制緩和が進めば最大6兆1,000億円に膨らむ見通しともいわれております。しかし、現状では高齢者が安心して使える機器の開発に携わる専門技術者が少なく、特に、製品の安全性を評価したり、普及に欠かせない技術の標準化に当たる研究者の不足が目立つといわれております。
通産省では、このために、昨年12月、産学官の関係者を集めて福祉工学関係学科連絡協議会を設置して、新設学科間で情報交換をしてカリキュラムづくりなどで知恵を集める仕組みをつくったといわれております。それと同時に、全国でも、高齢者が安心して使える介護・福祉機器の開発や専門技術者の育成を目指す「福祉工学科」を設置する大学が増えてきておるわけであります。今年度は新潟大学や秋田大学が学科や専門講座を新設し、99年度以降も福岡県立大学、福井大学などが計画または検討中ということであります。文部省も入学定員抑制方針の例外扱いとして、福祉系学部の定員拡大を後押しする考えのようであります。
本県は他県よりも進んでいる高齢化社会に対応して、富山県立大学に福祉工学科の設置を検討してみてはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
また、県立高校の職業科等においても、このような人材を育成するために、職業科等のあり方について検討してみてはどうかと思うのでありますが、重ねて所見をお伺いします。
次に、本県でも、将来の介護・福祉機器の研究開発、あるいは新しい産業分野である在宅介護機器分野への企業進出を目指して、平成8年3月よりウェルフェアテクノハウス研究会が高岡市内に発足しておるわけであります。これは、在宅介護機器の研究現場としての積極的活用を図ると同時に、学識経験者や地元企業から成る研究部会を組織し、関連企業をはじめ、周辺産業の各企業の産学官による研究部会で新産業創出や新製品の開発を進めるというものであります。
研究会が発足して2年余になりますが、研究会の活動内容とその実績、特に事業目標としている地場産業の振興に具体的にどうかかわってきたのかお尋ねをいたします。
次に、先日の我が党の代表質問の中にもありましたが、本県の産業ビジョンの策定に当たり、産業構造の課題に対して知事は、情報通信分野と医療福祉分野に活路を見出したいとの御答弁がありました。
そこで、平成10年度の予算の中で、創造的中小企業創出支援事業費、また新分野進出等支援事業費、またベンチャー企業等支援事業費、合わせて3億5,400万円余の予算が計上されておりますが、そのうち介護・福祉機器や福祉住宅等の新規事業への進出に対して具体的にどのような支出がなされたのか、また今後の見通しについてお尋ねをいたします。
次に、中心市街地活性化法の施行と少子・高齢化社会の消費者との関連についてお尋ねをいたします。
中心市街地活性化法が施行され、本県では富山市と八尾町が基本計画の補助金が認可され、策定に動き始め、関係者の期待と関心を集めております。本年度だけで1兆円の事業費、150もの有利な支援制度が用意されているといわれております。
活性化法は、大規模店舗立地法、改正都市計画法とともに、「まちづくり3法」と呼ばれております。規制緩和等で、大型店を抑制してみても既存の商店街の衰退に歯どめをかけることにつながらなかったという事情が、活性化法につながったといわれております。商店街を守るという発想ではなく、市街地整備の取り組みの中で商店街の再生を図ろうとするものであります。事業のメニューを見ると多彩にわたっております。福祉施設、卸売市場、鉄道施設の整備にまで及んでおります。
ところで、富山市で認定を受けた中央通りを取り巻く中心市街地は、富山市のほぼ中心にあり、周辺人口は約4万人、そのうち、おおむね4人に1人が高齢者となっております。富山市全体の高齢者率は17%なのに対して、人口においても老若の対比で空洞化が著しい地域といえます。中心市街地から西町ユニー店が来年5月連休後には閉鎖されるなど、中心市街地住民は日常生活の、殊に毎日の食生活の買い物にさえも事欠く現実が目前に迫ってきておるわけであります。まして高齢者の人たちにとっては、車に乗ることもできず、甚だ困っておられるわけであります。
中心市街地活性化の対策としてタウンマネジメント機関、つまりTMOをつくって、地元主体で構想を組み立てていく予定と聞いておりますが、関係者の中から「若者の店だけではなくて、お年寄りも気軽に立ち寄れるお店を」という意見も出たということを聞いております。急速に進む少子・高齢化社会の消費者をこれからの新しい施策にどう結びつけていくのか、大変重要な課題であると思いますが、所見をお伺いいたします。
最後に、県民福祉条例が本年4月に全面的に施行されましたが、お年寄りにやさしい道づくりや福祉住宅など、バリアフリー化の進捗状況は現在どうなっているのか。
また、現在、県内に2,646戸ある県営住宅に入居している高齢者世帯は225世帯で、約10%弱ということであります。この方々の住居は、いわゆる高齢者対応住宅になっているのか、なっていないのか。なっていないとすれば、障害者用の住居とあわせて早急に改善すべきと思うが、現状と見通し、そして対策についてお尋ねをいたします。
またあわせて、これからの県営住宅の建てかえに当たって、他県にも見られるような高層化によるエレベーターの設置を望む声が多いのでありますが、これに対してどのように考えておられるのかお伺いをいたしまして、質問を終わります。
77 ◯議長(筱岡與次平君)中沖知事。
〔知事中沖 豊君登壇〕
78 ◯知事(中沖 豊君)大上議員の御質問にお答えいたします。
最初は富山県における高齢社会の諸問題でありますが、そのうちの、県立大学に福祉工学科を設置すべきと思うがどうか。また、高等学校の職業科等のあり方についても検討すべきと思うがどうかという御質問にお答えいたします。
御提案のありました福祉工学科は、高齢者等が安心して使える介護・福祉機器の開発や専門技術者の育成を目指すものでありますが、これにつきましては、医療・福祉と工学との境界領域にあることなどから、現在、通産省の福祉工学関係学科連絡協議会におきまして、そのあり方などが検討されている段階と聞いております。
県立大学でのこの学科の設置についての御質問でありますが、県立大学につきましては、御案内のように、平成2年に開学いたしまして9年経過したところでありますが、機械システム工学、電子情報工学及び生物工学専攻の大学院を設置するなど、昭和63年の当初の基本構想は完成を見ているというように考えております。
こうしたことから、県立大学における福祉工学科の新設という問題については、現在のところ考えておりませんけれども、急速な高齢化や障害者ニーズに対応するために、機械システム工学科や電子情報工学科におきまして、医療現場などと連携して、屋内電動車いすや電動義手、それから姿勢計測装置などの福祉用具の開発・改良の研究に取り組んでおるところであります。
今後は、このような研究成果を学生の指導にも取り入れ、福祉や介護に貢献できる技術者の育成にも努めてまいりたいと考えております。
次に、県立高等学校におきましては、福祉工学関係を学ぶ学科は特に設置しておりませんが、平成8年度に、福祉マインドを育て、福祉サービスに対応できる人材の育成を目指しまして、八尾、有磯、砺波女子の3つの高等学校におきまして、これまでの家政科を生活福祉科に改編いたしまして、福祉施設での福祉・介護機器の活用などの実習も行われております。
また、富山県高等学校教育課題研究協議会におきましては、職業に関する専門学科のあり方について検討が行われているところでありまして、今後、この協議会の提言のもとに、職業科の充実にも努めてまいりたいと考えております。
なお、来年の11月開館予定の総合福祉会館における福祉機器の展示・普及活動などとあわせまして、医療リハビリの現場や県工業技術センターなどとの連携のもとに、福祉機器の研究、人材の育成等を進めてまいりたいと考えております。
次は、中心市街地活性化と急速に進む少子・高齢化社会の消費者とをどう結びつけていくのかという御質問であります。
御承知のように、中心市街地活性化法が本年の7月に施行されたことを受けまして、本県におきましても幾つかの市町におきまして、中心市街地活性化基本計画の策定などの取り組みが行われております。
今回の中心市街地活性化策は、各市町村がまちづくりの観点から基本計画を定め、それに基づきタウンマネジメント機関などが事業計画を作成し、街路や駐車場の整備など市街地の整備改善と、空き店舗対策など商業の活性化を総合的、一体的に進めようとするものであります。
中心市街地、特に商店街は、地域のにぎわいや人の交流の核であり、まちの顔であります。こうしたことから、多くの人々にとりまして魅力あるものとすることが非常に重要なことであると考えております。特に、御指摘ありましたように、これから本格的な少子・高齢化社会を迎えることから、若者だけでなく、高齢者も気軽に街中に出て、楽しく買い物ができるようなまちづくりが必要であると考えております。
このようなことから、各市町村などにおきましては、高齢化社会を視野に入れた対策を基本計画などに取り入れることが必要であると考えております。具体的に申し上げますと、1つには、道路や店舗などにおけるバリアフリー化など、高齢者にやさしいまちづくりや店づくりを進めること。2つには、商店街では高齢者のニーズにも対応した店舗を配置するなど、多様な店舗構成を図ること。3つには、市内軌道における超低床車両や低床バスなど、高齢者が利用しやすい交通施設を導入することなどが必要ではないかと考えております。
いずれにいたしましても、中心市街地の活性化を進めるに当たりましては、急速に進む少子・高齢化社会への対応策も含めまして、市町村等が地域の実情に応じ創意工夫を凝らしながら、自主的にまちづくりに取り組むことが極めて重要であると考えております。県としましても、このような市町村等の取り組みに対しまして積極的に支援、協力してまいりたいと考えております。
以上であります。
79 ◯議長(筱岡與次平君)原厚生部長。
〔厚生部長原 徳壽君登壇〕
80 ◯厚生部長(原 徳壽君)まず、公的介護保険制度の給付対象となる療養型病床群がどれぐらい整備されているかという御質問についてお答えを申し上げます。
主として長期にわたり療養を必要とする患者が、良好な環境のもとで療養できる療養型病床群の整備につきましては、平成12年度から介護保険法が施行されることにかんがみ、要介護者のための療養型病床群の整備目標を医療計画において定めることとされたところでございます。
本県におきましては、本年の9月、医療審議会の答申に基づきまして、平成12年度当初の要介護者のための療養型病床群の整備目標として4,100床を設定いたしまして、公示したところでございます。この整備目標に対しまして、11月末現在の療養型病床群の許可病床数は4,121床であり、整備目標を若干上回っている状況でございます。
この病床の内訳といたしまして、機能訓練室や食堂、談話室の設置のほか、患者1人当たりの病床面積や廊下幅等の規定を満たしました「完全型」が2,689床、既存の病床を転換して、廊下幅等の規定を満たしておりません「転換型」が1,432床となっております。
なお、療養型病床群につきましては、要介護者ばかりではなく、例えば若年者等の慢性期の医療をも担う医療施設でございまして、療養型病床群全体の整備目標については、急性期病床あるいは慢性期病床の区分が明確化されたところで見直しを行うこととされておりまして、国におきますこれらの検討結果を待って策定していくことになると考えております。
次に、老人性痴呆疾患療養病棟について、その実態と整備目標を問うという御質問にお答えいたします。
高齢化の進展に伴いまして、痴呆性老人の増加が見込まれますことから、精神症状や問題行動が特に著しい痴呆患者に対し、短期・集中的に精神科的治療を行う老人性痴呆疾患治療病棟、また、問題行動などはおさまったものの、精神症状を有する痴呆患者に対し長期的に治療を行います老人性痴呆疾患療養病棟、この2つの種類の病棟の整備が求められております。
本県におきます老人性痴呆疾患病棟につきましては、治療病棟が4病院235床既に整備されておりますが、療養病棟はゼロでございまして、全体として老人性痴呆疾患に対応した病棟は極めて少ない状況にあると考えております。
この老人性痴呆疾患病棟の整備に当たりましては、富山県地域医療計画におきまして、既存の精神病床の枠内での整備を原則とするが、地域的バランスに配慮した整備を図ることとされております。現在、3つの病院から143床の老人性痴呆疾患療養病棟、1病院から45床の老人性痴呆疾患治療病棟の増床・新設計画が出ておりまして、県としましては、先ほど申しましたとおり、療養病棟が未整備であることや、あるいは治療病棟が地域的に偏在していることなどから、去る11月26日に開催されました医療審議会に諮りまして、医療法に基づく特例として、それぞれ増床・新設をしてよいとの答申を受けたところでございます。
なお、今後の老人性痴呆疾患療養病棟の整備目標につきましては、現在のところ国の指針が示されておりませんが、県としましては、老人性痴呆の出現率に入院率などを考慮しながら、現在行っております医療計画の見直しの中で検討してまいりたいと考えております。
次に、老人訪問看護ステーションの整備についてのお尋ねでございます。
老人訪問看護ステーションは、家庭においてねたきりの状態などにある高齢者に対しまして、かかりつけ医の指示に基づき、看護婦等が訪問し、看護サービスなどを提供するものでございます。
高齢化率の上昇に伴いまして、訪問看護ステーションが在宅サービスとして果たす役割は年々大きくなってきておりまして、開設数の増のほか、24時間連絡体制を採用しているステーションが3カ所、看護婦以外にも理学療法士を配置しているステーションが4カ所と、サービスの内容についても逐次充実してきているところでございます。
訪問看護ステーションの開設数としましては、現在までに県高齢者保健福祉計画の目標を3カ所上回る19カ所が設置されているところでございますが、平成11年度末までにはさらに10カ所程度の開設が予定されているところでございます。
平成12年度以降の整備につきましては、11年度中に見直しが行われます高齢者保健福祉計画に基づいて進めることとなりますが、今後とも、介護保険制度の導入を踏まえまして、市町村あるいは関係団体に対しましてより一層の訪問看護ステーション開設を働きかけるとともに、24時間連絡体制の整備や、理学療法士や作業療法士の配置による機能訓練の充実などを指導してまいりたいと考えております。
次に、各種老人施設の平成12年度以降の施設整備の考え方についてのお尋ねでございます。
介護保険制度におきましては、高齢者等が介護が必要となった場合でも、可能な限りその居宅で生活できるよう配慮するとしております一方、施設への入所も含めた介護サービスの選択は、高齢者等がみずからの意思で決定することを基本としております。
このため、平成12年度以降における介護サービス基盤の必要量につきましては、今年度に市町村が実施いたしました高齢者実態調査の結果や厚生省の基本指針を受けまして今後検討されることとなりますが、基本的には、施設サービスに対する県民ニーズは今後も増大するものと考えております。ただ、介護保険制度が導入されました後は、特別養護老人ホームのほか、老人保健施設や、先ほどもお答えいたしました療養型病床群などの施設が、同じく介護保険施設として位置づけられることから、今後はこれらの各施設が持つ機能や特色に留意しながら整備を進める必要があると考えております。
いずれにいたしましても、介護保険制度が導入された際に介護サービスが不足することのないよう、今後とも市町村と密接に連携しながら、在宅、施設の両面にわたるサービス基盤の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
それから、特に公的病院で患者への退院要請があって、非常に患者さんが不信感、不安感を持っているのではないかという御質問についてお答えをいたします。
高齢化の進展や疾病構造の変化などに伴いまして、医療のほうも高度化、専門化が進んでおります。このことから、県民がよりよい医療を効率的に受けるためには、医療機関の機能を明確化して体系化を図る必要がございます。このため国や県におきましては、高度な医療が必要な患者さん、一般急性期の患者さん、長期入院が必要な患者さんなど、患者さんの症状あるいは状態に応じて適切な医療を提供するために、医療機関の機能分担や相互の連携を推進しているところでございます。
県内の公的病院につきましては、地域の中核病院として、主としていわゆる急性期の治療を担っておりまして、そのための整備が進められてきているところでございます。お尋ねの高齢者の転院につきましては、急性期を過ぎて症状がある程度安定した患者さんについて、医療機関の機能分担を図る観点から、患者や家族と十分に相談、協議したうえで、地域における長期入院に適した療養型病床群などへの転院が行われているものと考えております。
県としましては、県民に良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、医療機能の分担や連携、あるいはインフォームドコンセントに基づく医療を推進することによりまして、患者との信頼関係に基づく必要な医療が提供されるように努めますとともに、公的病院に対しましても、富山県公的病院長協議会等を通じまして、適切に対応していただくようお願いしてまいりたいと考えております。
県民福祉条例が4月に全面的に施行されたが、その後、バリアフリー化の進捗状況はどうかという御質問にお答えをいたします。
県民福祉条例は本年4月に全面的に施行されましたが、県では平成9年度に主要県単福祉のまちづくり事業を創設いたしまして、建築物、道路及び公園を対象に、既存県有施設のバリアフリー化を進めているところでございます。また、市町村所有の施設のバリアフリー化に対する補助制度や、民間施設に対する融資制度などを新設・拡充いたしまして、バリアフリー化の促進を図っているところでございます。
既存の県有施設につきましては、福祉のまちづくり事業によりまして、平成9年度からのおおむね3カ年で緊急のバリアフリー化を計画的に進めることとしておりまして、既に100カ所余りで工事完了または着手しているところでございます。
道路につきましては、道路事業や福祉のまちづくり事業によりまして、おおむね平成11年度までに、人口集中地区内の県管理道路のバリアフリー化を計画的に進めることとしております。
また住宅につきましては、基本的には条例の対象施設とはなっておりませんが、住宅金融公庫融資におきましてもバリアフリー型の割合が2割程度を占めるようになるなど、近年伸びていると聞いているところでございます。県といたしましても、高齢者等の住宅改善支援事業によりまして高齢者や障害者の住宅改善に対する助成を行っておりますが、この助成件数も近年順調に伸びてきているところでございます。
以上でございます。
81 ◯議長(筱岡與次平君)この際、申し上げます。会議時間を午後5時30分まで30分間延長いたします。
高原商工労働部長。
〔商工労働部長高原一郎君登壇〕
82 ◯商工労働部長(高原一郎君)富山ウェルフェアテクノハウス研究会の概要等についてまずお答えを申し上げます。
富山ウェルフェアテクノハウス研究会は、平成8年に開設をされましたウェルフェアテクノハウス高岡を活用いたしまして、これからの高齢社会で役立つ先端的な介護機器システムの研究開発と普及啓発を図ることを目的といたしております。
本研究会は、機械、金属、電子、住宅関連の地元企業のほか、県、高岡市及び工業技術センターや大学、病院、老人ホームなど、産学官の関係機関により組織をされておりまして、福祉機器、福祉用具の研究開発とその適用技術や安全性の研究、また在宅介護支援のための運動生理機能の研究、さらには介護機器を導入した新しい住宅環境の研究をテーマにいたしまして、介護・福祉機器に関する産学官共同研究を行ってきているところでございます。
これまでの研究成果といたしましては、歩行用のリハビリ訓練用具、あるいは健康状態の自動計測システム、さらには車いす対応のシステムキッチンなどの開発を行ってきているところでございます。開発された製品につきましては、ウェルフェアテクノハウス高岡において展示をするほか、病院や老人ホームで試験的に使用していただくなど、その実用化に向けて啓発普及に努めているところでございます。
また、これらの研究開発を通しまして、機械、金属、電子、住宅など地場産業の技術力の向上や、これを応用いたしました新製品の開発を支援してきているところでございまして、県としては今後とも本研究会を支援いたしまして、医療福祉関連分野の産業の育成あるいはまた創出といったことに努めていきたいというふうに考えております。
それから次に、介護・福祉機器あるいは福祉住宅の新規事業への進出に関する本年度の創造的中小企業創出支援事業あるいは新分野進出等支援事業等による対応状況と、その見通しはどうかという御質問がございました。
県内企業の介護・福祉機器やあるいは福祉住宅などの福祉関連分野への新たな取り組みというものは、これはまだ緒についたばかりであることから、議員御質問のような福祉関連の新規事業に対する支援は、これまでは利用実績はないという状況にございます。
しかしながら、本年度におきましては果敢な取り組みがなされておりまして、県として支援を行ったところでございます。1つには、高齢者、障害者に対する住宅や介護機器の開発・提供などによる介護支援への取り組みを行うベンチャー企業に対する初の創造法の認定、そして創業者等支援資金による融資を行いました。また2つには、富山県繊維協会の会員企業グループが行っております、要介護者やあるいは高齢者用の介護用品、さらには衣服の研究開発に対しまして助成を行ったところでございます。
この福祉関連分野というものは、今後成長が期待をされる産業の一つでありまして、県といたしましても、高齢化の進展に伴い、今後需要が増大していくものと見込んでおります。県といたしましては、今後とも、新分野進出等支援事業や各種ベンチャー支援事業などを活用いたしまして、福祉関連分野に進出する中小企業への支援に一層努力してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
83 ◯議長(筱岡與次平君)白井土木部長。
〔土木部長白井芳樹君登壇〕