• "タッチ"(/)
ツイート シェア
  1. 富山県議会 1998-12-01
    平成10年12月定例会 一般質問


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前10時15分開議 ◯議長(筱岡與次平君)ただいまから本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          報            告 2 ◯議長(筱岡與次平君)日程に入るに先立ち、報告事項を申し上げます。  去る12月9日、知事から提案されました議案第143号について、地方公務員法第5条第2項の規定に基づき、議会から人事委員会の意見を求めておきましたところ、12月9日付をもって、お手元にお配りしたとおり意見の申し出がありましたので、御報告申し上げます。      ─────────────────────                         富人委第241号                        平成10年12月9日  富山県議会議長  筱 岡 與次平 殿                    富山県人事委員会                    委員長  林   晃 司          議案に係る意見について  平成10年12月9日付け富県議会第121号で意見を求められた次の条例案については、原案を適当と認めます。                記 議案番号 第143号 件  名 富山県一般職の職員等の給与に関する条例一部改正の件      ───────────────────── 3 ◯議長(筱岡與次平君)これより本日の日程に入ります。  日程第1県政一般に対する質問並びに議案第125号から議案第143号まで、報告第15号及び報告第16号を議題といたします。
         ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑 4 ◯議長(筱岡與次平君)これより各議員による県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を行います。  通告がありますので、順次発言を許します。  鹿熊正一君。    〔14番鹿熊正一君登壇〕 5 ◯14番(鹿熊正一君)おはようございます。最初に、朝日岳・白馬岳一帯自然保護活動について質問いたします。  中部山岳国立公園内の北東部に、北から朝日岳、雪倉岳、白馬岳があります。それらの山々の稜線が仏の座する台座にあるレンゲの花に見えることから、これら一帯を総称して「大きな蓮の華の山」、すなわち「大蓮華山」と古くから称されてきました。私は毎日、この大蓮華山の山々を仰ぎ見ながら育ってまいりました。  大蓮華山保勝会は、大蓮華山すなわち朝日岳・白馬岳一帯を保勝する、つまりその自然を保護する目的で、昭和3年に地元有志で設立され、山岳の自然保護団体としては日本でも有数の古い伝統を有しており、本年、創立70周年を迎えました。私もこの会の一員であります。  この会の主たる活動内容は、朝日小屋や北又小屋といった自然保護や山岳遭難救助などの活動の基地の建設と管理をすること、登山道の下刈り奉仕や道しるべの設置といった安全登山のための整備をすること、朝日岳・白馬岳一帯の貴重な動植物を保護するためのパトロール活動をすること、自然保護の大切さを伝えるための親子自然保護教室の開催など、実に多彩な活動を継続してきております。  さて、本県にとって立山連峰は自他ともに認める県民の財産と言えますが、朝日岳・白馬岳一帯にも、それに優るとも劣らない貴重な自然があります。聞き及ぶところによりますと、後立山連峰に位置する朝日岳・白馬岳一帯については、原生的自然環境が保全されているため、動物、植物、地質学などの分野で多くの研究者たちが訪れ、個々の分野についてはある程度の研究成果が発表されているとのことであります。しかしそれらは、その貴重な自然を適正に保全するために必要な知見としては余りにも散発的なものであり、絶対的に必要と考えられる体系的な調査がなされているとは、残念ながら聞いていない状況であります。  富山県は自然保護の先進県であり、例えば立山周辺においては、立山黒部アルペンルートの整備に適切に対応するため、立山黒部地区学術調査といった総合的な学術調査が行われました。大蓮華山保勝会などが、これからもこの地域の自然保護活動を継続していくうえで、今後の朝日岳・白馬岳一帯の自然保護の方針を打ち立てていくためにも、総合的な学術調査がぜひとも必要であると考えております。知事の御所見をお伺いいたします。  さて、朝日岳・白馬岳一帯は、高山植物の女王ともいわれるコマクサをはじめとする高山植物の宝庫でもあり、山を訪れる人の心を打つものがあります。私も何年か前に朝日岳に登ったときに、ふと、可憐に咲く高山植物の花々を目にし、心が洗われる思いをしたことがあります。  大蓮華山保勝会では、一人でも多くの人に登ってほしいと思うとともに、いつまでも美しい山で残したいと念願していることから、先ほど話したように、貴重な動植物の保護のためのさまざまな活動を率先して実行し、啓発に努めております。大蓮華山保勝会といった民間の団体がこのような独自の活動を行って、この地域一帯の自然保護を積極的に推進していますが、県では、この貴重な地域を適切に保全するため、どのような施策を行ってこられたのか。また、今後どう取り組むつもりでおられるのか、お伺いいたします。  さて、本県では、立山連峰や後立山連峰における植生自然度が極めて良好に保存されておりますが、それは、大蓮華山保勝会や黒部保勝会といった山岳団体や自然保護団体の先人たちのたゆまぬ努力に負うところが大きいことは言うまでもありません。そして、これらの団体の活動は、黒部峡谷を開拓した登山家の冠松次郎氏や、朝日町出身の登山家塚本繁松氏の「山岳紀行文」などにその活動の様子が取り上げられているのであります。  私は、かけがえのないこの地球環境を守ろうと叫ばれている今こそ、大蓮華山保勝会をはじめ関係団体の山岳活動や自然保護活動の歴史を正確にたどり、明らかにし、広く県民に紹介することの意義を思うのであります。そのための企画展示や企画イベントを開催してみることを提言いたしますが、所見をお伺いいたします。  次に、環境保全対策について数点お伺いいたします。  県は、環日本海地域の海洋環境の保全を国際的に推進するため、その拠点として昨年4月に環日本海環境協力センターを設立し、去る9月にはこのセンターが環境庁所管の全国法人となり、いよいよ各種の事業が具体的に進められることになりました。このたびセンターでは、法人化の記念事業として中国遼寧省に、環境関連の産業界等で構成された環境関連産業投資調査団を編成し、環境状況の視察を行うとともに、環境ビジネス及び合弁事業の可能性等の調査を行ったところでありますが、これに関連して2点お伺いいたします。  まず1点目ですが、この調査団に参加した私の友人は、下水、排水などの状況はまことに芳しくないと言っておりましたが、視察してきた結果、環境保全の実情はどのようなものであったかお伺いいたします。  2点目は、環境の現状やこれまでの交流から、今後どのような環境協力事業を進めていくのがよいと考えているか。また、これらの交流を通じて環境ビジネスにつながるテーマが出てくる可能性があるのか、お伺いいたします。  次に、環境アセスメント条例に関して質問いたします。  昨年6月に環境影響評価法が制定され、来年6月から施行されることになっております。この法律には、対象事業の拡大や環境影響評価の実施の前に県、市町村、住民の意見を求めるなど、県の環境影響評価要綱にはない手続が盛り込まれており、県においても、対象事業の拡大や住民参加の手続が必要との指摘が挙がっているところであります。県では今後環境アセスメント条例の制定を進めるとのことでありますが、私は、この制度は県民の関心が高いうえに、産業活動にも影響が大きいことから、県民、市町村、事業者など多くの関係者の意見を十分に聞いて、だれしもが納得するよりよい制度にする必要があると考えております。  そこで、環境アセスメント条例の制定方針と、どのような手法で条例化に取り組むのか知事の御所見をお伺いいたします。  次に、公共工事などから発生する建設廃棄物のリサイクルの推進について、2点お伺いいたします。  まず最初は、特にリサイクルの遅れている建設混合廃棄物についてであります。  本県では、公共工事などから発生する建設副産物のリサイクル率は、建設廃棄物全体では71%と全国平均の58%を上回っておるのでありますが、住宅などから出る建設混合廃棄物リサイクル率はわずか3%と全国平均の11%よりも低く、建設省の建設リサイクル・ガイドラインが定める2000年目標値の50%の1割にも満たないのであります。国では建設廃棄物リサイクル法案──仮称でありますが──を次期通常国会にも提出する方針とされておりますが、本県においては、この法案を待たず、今から積極的に、特に建設混合廃棄物リサイクル推進方策を検討する必要があると考えます。  そこで、リサイクルの遅れている建設混合廃棄物リサイクルの推進にどのように取り組むのか、県当局の所見をお伺いいたします。  2点目は、建設廃棄物のリサイクル推進仕組みづくりについてであります。  本県では、公共工事などから発生するアスファルトやコンクリートなどを骨材に利用するなど、リサイクルを推進しております。私は、リサイクルの推進には、再生資材の製造・販売、利用が経営上十分に成り立つ仕組みを整備することが必要であると思うのであります。本県では、県西部地域に、コンクリート廃材リサイクル化した再生品の受注販売を共同化する組合が設立されたところであります。また、福井県では、建設残土の再利用を推進する建設発生土リサイクル協会が組織されたところであり、今後再利用や技術研究を進めることとされております。  そこで、県工事での再生資材の利用はもとより、市町村工事、民間工事も含め、建設廃材の発生から再生資材の製造・販売、そして利用に至るまでの一貫した対策を、県、市町村、建設関連業界など関係者が協力して打ち立てるべきと思うのでありますが、県当局の所見をお伺いいたします。  次に、市町村のごみ焼却場のダイオキシン対策について質問いたします。  厚生省が平成8年度に行った市町村のごみ焼却施設の調査では、全国の114の施設でダイオキシンに関する緊急対策の判断値である80ナノグラムを超えていたのが、その後のこれらの施設の調査では、ダイオキシンの総排出量が大幅に改善されたとのことであります。これらの施設では、完全燃焼するようにごみ質の均質化、定量供給、燃焼管理の徹底などの維持管理の改善のほか、温度計の設置、焼却施設の改造などが実施され、今回の調査でその効果が確認されたところであります。  本県には現在11の焼却施設がありますが、幸いなことに、いずれも80ナノグラムを下回っているところであり、またごみ処理広域化計画に沿ってダイオキシンの抑制対策がとられることになっております。しかしながら、ダイオキシンの抑制対策は、抜本対策ももちろん大切でありますが、あわせて、現在運転中の施設においても不断の改善努力が必要であることは論をまちません。早速、厚生省の今回の調査による改善点を分析し、11ある現在の施設を最良のコンディションで運転管理するよう、市町村に十分な情報提供や技術指導を実施し、ダイオキシン発生量を最低限に抑えるべきであります。  そこで、ごみ処理の広域化の達成まで、当面、現在の焼却施設の維持管理の改善や施設の小規模な改善など、今後どのように指導していくのか県当局の所見をお伺いいたします。  次に、ペットボトルの分別収集の推進について質問いたします。  昨年4月に施行された容器包装リサイクル法の目玉であり、収集してもかさばることから自治体に厄介者扱いされてきたペットボトルですが、施行1年を経過しての厚生省調査によれば、全国ベースでは、自治体が計画した分別収集量を上回る回収量となったところであります。  しかしながら、取り組みが進む自治体とそうでない自治体との間に大きな差が開き、分別収集対象人口の総人口に占める割合では、東京都23区の100%を最高に、最低は全くしていない県が3県ありました。本県は34.1%と全国平均の41.8%を下回っているところであります。  そこで質問ですが、県では平成9年に、容器包装リサイクル法に基づく分別収集促進計画を策定しているところでありますが、このペットボトルについて市町村の分別収集の取り組み状況と今後の見通しはどうか。また、同計画達成に向け県民への啓発など、どのように分別収集を推進するのか県当局の所見をお伺いいたします。  最後に、富山県に住むブラジル人の子供たちへの対策について質問いたします。  昨年末現在、本県には8,200人を超える外国人が居住しています。このうちブラジル人は3,500人を超え、全体の43%とトップを占めております。これは、平成2年の改正入管法の施行に伴い、在留資格上、日系ブラジル人が日本で就労することが比較的容易になったことから、本県だけでなく全国的に見ても、就労を目的とするブラジル人の入国が急増してきた結果であります。こうしたブラジル人の中には家族、特に日本でいう学齢期の子供たちを連れて来ている人もいるのでありますが、学校に通わず家でぶらぶらしている子供たちや、学校に行っても日本語がわからず授業についていけない、あるいは差別を受けるので、学校へ行かなくなるといった子供たちが増えてきているといわれております。また、親が少しでも給料の高い職場を転々とするために転校の手続もしないケースも多いと聞いておるわけであります。富山に住む私の友人は、そのような子供たちを見るに見かねて、医者の仕事の合間に日本語を教えておるのもおります。300人近くいると思われる学齢期の一体何人が学校へ行っているのでありましょうか。  そこでお尋ねしたいのですが、まず当局では、日系ブラジル人の子供たちの就学実態についてどの程度把握しておられるのかお伺いいたします。  もとより、義務教育を受ける義務や子供に義務教育を受けさせる親の義務は、外国人のブラジル人やその子供たちにはありません。しかし、人道的立場に立って、また国際協力の一環として、さらには、万一非行や犯罪に走った場合の地域社会のマイナスを考えれば、こうした子供たちに対し、言葉や生活習慣の違いを埋める指導の態勢をもっと整えることが必要でありましょう。子供たちの話すポルトガル語もできる、そのような指導者を、民間の力も活用してもっと確保することが大事なことではないでしょうか。  そこで、当局として、現在どのような対策をとっておられるのか。また、今後どのような対策を講じていこうとするのかお伺いいたします。  ブラジル人を含む南米からの出稼ぎの人たちとその子供たちの置かれた状況は、不況とも相まって困難が増しているのであります。県や市町村は研修生や友好親善訪問などには熱心でありますが、この苦労している出稼ぎの親たちやその子供たちの実態にもう少し目を向け、手を差し伸べることができないものでありましょうか。そのことも、「住みたい富山県」への一歩となるものと思います。  以上をもって質問を終わります。どうもありがとうございました。 6 ◯議長(筱岡與次平君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 7 ◯知事(中沖 豊君)一般質問の先頭を切られました鹿熊議員の御質問にお答えいたします。  最初の御質問は、朝日岳・白馬岳一帯自然保護活動についてでありますが、今後の朝日岳・白馬岳一帯の自然保護の方針を打ち立てていくためにも、総合的な学術調査が必要であると考えるがどうかということであります。  立山を中心とする北アルプスは、雄大で美しい景観や貴重な野生生物など、国内はもちろん世界にも誇れるすぐれた自然環境を有しておりまして、かけがえのない財産として後世に引き継いでいかなければならないと考えております。特に、朝日岳・白馬岳一帯につきましては、鹿熊議員からも説明がありましたが、富山県側から見て雪をいただいた姿が高貴なハスの花、すなわちレンゲに似ていることから、古くから地元では「大蓮華山」と呼ばれて親しまれております。  この大蓮華山と呼ばれる地域は「白馬連山高山植物帯」として特別天然記念物に指定されまして、コマクサやウルップソウなどの貴重な植物群落があることで知られております。また、ライチョウの生息北限地としても知られておりまして、国設の北アルプス鳥獣保護区に設定されておりますほか、レッドデータブックに掲載されておりますタカネヒカゲやクモマツマキチョウをはじめ、多くの高山チョウの生息地でも知られておりまして、貴重な動植物の宝庫であります。  このように、貴重な地域であります朝日岳・白馬岳一帯の自然の保護と安全登山の推進のために、大蓮華山保勝会が70年の長きにわたりまして地道な活動を続けてきておられますが、この機会に心から敬意を表し、また感謝も申し上げたいと存じます。  御指摘の総合的な学術調査についてでありますが、このような貴重な自然を適切に保全していきますためには、体系づけられた科学的な知見が必要不可欠であります。今後、動植物のみならず地形や地質などを含めた総合的な学術調査を、環境庁など関係機関と協議しながら、実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  次の御質問は環境保全対策についてでありますが、そのうちの、環境アセスメント条例の制定方針について、その制定手法とあわせて聞きたいという御質問にお答えいたします。  環境影響評価、いわゆる環境アセスメントにつきましては、本県におきましては、平成2年6月に環境影響評価要綱を制定いたしまして、環境汚染の未然防止を図ってきたところであります。一方、国におきましては、昨年6月に環境影響評価法を制定いたしまして、来年の6月の施行に向け、各種の政令などが整備されたところでありまして、対象事業の拡大や環境影響評価の方法について意見を求める仕組みを導入するなど、これまでの制度を強化したところであります。  このため、本県の環境影響評価制度につきましても、条例化することにより一層の充実強化を図りたいと考えているのでありまして、去る10月に、環境影響評価制度のあり方について、県の環境審議会に諮問をしたところであります。現在、この審議会の企画専門部会におきまして検討が進められておるところでありますが、最終答申に至る中間的な段階で、広く県民や事業者などいろいろな皆さん方の意見を十分に聞きまして、来年度の早い時期に答申をいただきまして、来年の6月県議会に条例案を上程したいと考えております。  今後とも、本県の貴重な財産であります水と緑に囲まれた恵まれた環境を将来の世代に引き継げますように、環境問題にさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上であります。 8 ◯議長(筱岡與次平君)松本生活環境部長。    〔生活環境部長松本 寛君登壇〕 9 ◯生活環境部長(松本 寛君)朝日岳・白馬岳一帯自然保護活動について、これらの地域の自然保護に県ではこれまでどのような施策を実施し、また今後どのように取り組んでいくかのお尋ねについてお答えいたします。  県といたしましては、全国に誇る貴重な動植物の宝庫である朝日岳・白馬岳一帯については、これまでに登山者など公園利用者の安全性や快適性を図るための登山道や案内標識などの利用施設の整備を実施しており、また、本年には雪倉岳避難小屋の改修も行ったところでございます。  なお、登山道の整備に当たっては、植生や小動物の踏みつけの防止の観点から、現地に合った木道や階段工などの工法を取り入れるなど、自然保護に配慮しているところでございます。  また、貴重なタカネヒカゲなどを保護するためのパトロールを毎年実施するとともに、大蓮華山保勝会の皆様の協力も得まして、自然公園指導員自然保護指導員を配置し、公園利用者の安全指導やこれらの貴重な自然環境の保全に努めているところでございます。  今後、今ほど知事からお答えいたしましたとおり、総合的な学術調査の実施をも踏まえ、この貴重な朝日岳・白馬岳一帯自然環境保全のための諸施策をさらに充実するよう努めてまいりたいと考えております。  同じく朝日岳・白馬岳一帯自然保護活動について、大蓮華山保勝会をはじめ関係団体の活動等を県民に紹介するための企画展示や企画イベントの開催の提言についてお答えいたします。  県内には大蓮華山保勝会や富山県山岳連盟など、自然保護活動や山岳活動を推進している多くの団体があり、日ごろから自然環境の保全、貴重な動植物の保護、登山者の安全指導などに多大な御尽力、御協力をいただいているところであります。  御提言のこれらの団体の歴史や活動を多くの県民の方に知ってもらうことは、すぐれた自然環境の恵みを授かり、継承する観点からも重要であると認識しております。  今後、教育委員会、関係機関とも協議のうえ、企画展示や企画イベントなどができるかどうか検討してまいりたいと考えております。  次に環境保全対策についてでございますが、1番の、環日本海環境協力センターが実施した遼寧省の環境関連産業投資調査団に関連いたしまして、中国の環境保全の状況とあわせて、これらの交流を通じた環境ビジネスの可能性についてのお尋ねにお答えいたします。  今回、遼寧省の瀋陽市、大連市等を訪れた環境関連産業投資調査団は、排水対策を中心に調査したところでございますが、遼寧省における環境の実情につきましては、議員御指摘のとおり芳しいものではなく、特に河川は生活排水での汚れ、下水のにおいがするなど水質汚濁の進行が確認されているところであり、中国の環境基準を大幅に超えている状況でございます。  また、今回の調査団の目的でありました環境ビジネスにつきましては、訪問の際に現地で、我が国の安くて機能的な排水処理技術についての情報提供を依頼されたほか、さらに産業廃棄物の処理技術についても強い関心が示されたところでございます。  排水や産業廃棄物の処理に係る技術移転につきましては、中国側にとっても日本側にとっても非常に有益であり、今後、調査団に参加された各企業において検討が進められるものと考えておりますが、県といたしましても、財団法人環日本海環境協力センターと連携し、中国側の情報収集・提供、技術的支援など必要な支援を行い、環日本海地域における環境協力を積極的に推進してまいりたいと考えております。  同じく環境保全対策のうち、ダイオキシン対策に関連して、ごみ処理広域化の達成までの間の焼却施設の維持管理の指導についての御質問にお答えいたします。  ごみ処理焼却施設に係るダイオキシン類の削減対策につきましては、本年3月に策定した富山県ごみ処理広域化計画の達成に向けて、現在各広域圏において新たな整備に努力されているところでございます。  これらの施設整備が図られるまでの間、現在稼働中の施設については、平成9年1月に厚生省が示した新ガイドラインに基づいて、まず、ごみの排出規制とリサイクルを進め、焼却量の減少を図るとともに、ダイオキシン類の排出濃度が平成14年12月までに、大気1立方メートル当たり1から5ナノグラム以下になるよう指導しているところでございます。  このため、市町村においては、具体的な削減対策として、これまで、完全燃焼するための助燃装置の整備、一酸化炭素計の設置、あるいは活性炭・消石灰処理装置の整備等を図ってきたところでございます。さらに、今後、ダイオキシン類の測定結果によっては、必要に応じてバグフィルター式高性能集じん機の整備等の対策も講じることとしているところでございます。  県におきましては現在、市町村に対し、ダイオキシン類の削減が早期に達成できるよう、技術的な指導、助言、あるいは本年度新たに創設したダイオキシン対策施設改良費補助制度による財政的な支援、さらに国庫補助の確保、有利な起債の導入等を国に強く働きかけるなど、今後とも、各市町村等のダイオキシン類発生削減対策に積極的に支援してまいりたいと考えております。  次に、同じく環境保全対策のうち、容器包装リサイクル法に基づく市町村の分別収集の取り組み状況と今後の見通しについてのお尋ねにお答えいたします。  現在、県内の各市町村では、容器包装リサイクル法の規定により、県が平成8年11月に策定した富山県分別収集促進計画に基づきまして、スチール缶、アルミ缶、ガラス瓶、ペットボトル及び紙パックを対象として、平成9年4月以降、段階的に分別収集を実施しているところでございます。  具体的には、平成9年度から富山市、氷見市の2市が、また本年度は新たに高岡市をはじめ13市町村が分別収集を開始したところであり、他の市町村におきましても、今後、圧縮施設、保管施設の整備や広域的な収集体制の整備によって、ペットボトルに限らず、缶、ガラス瓶、紙パックについても平成11年度中に県内すべての市町村において分別収集が実施されるものと考えております。  県といたしましては、ごみのリサイクルには住民の協力が不可欠と考えており、今後とも、テレビや県広報等を利用した県民に対する普及啓発を図るとともに、市町村に対する情報提供や技術的指導、さらに保管施設や中間処理施設等の整備に対する助成を行うなど、ごみのリサイクルを促進し、環境への負荷が少ない循環型社会の形成に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。 10 ◯議長(筱岡與次平君)白井土木部長。    〔土木部長白井芳樹君登壇〕 11 ◯土木部長(白井芳樹君)環境保全対策についての御質問のうち、まず、建設混合廃棄物リサイクルにどのように取り組むのかという御質問にお答えいたします。  建設混合廃棄物は、ビルや住宅の建てかえ工事などに伴い、鉄くず、木くず、廃プラスチックなど、リサイクル可能なものと不可能なものが混合した状態で排出されるものであります。  県ではこの建設混合廃棄物を含めた建設副産物対策が重要でありますことから、国、公団、市町村、建設業協会、建設コンサルタンツ協会、建築士事務所協会などと一体となりまして、北陸地方建設副産物対策連絡協議会を設立いたしまして、北陸地方建設リサイクル推進計画'97を策定するなど、資源循環型社会の構築を目指しているところでございます。  建設混合廃棄物リサイクルを推進するためには分別・解体する必要がありますが、この分別・解体の費用がかさむことや、大部分が民間の建てかえ工事から発生するため分別・解体の費用が発注金額に上乗せされにくいことなどが、このリサイクルを進めるうえでの課題となっております。  こうしたことから建設省では、民間におけるビルや住宅の建てかえに際して、解体工事で発生する建設混合廃棄物の分別費用を軽減し、リサイクルを促進するため、低利融資などの支援措置を含む建設廃棄物リサイクル法案を検討していると聞いているところでございます。  県におきましては、学校などの公共建築物の建てかえに際しましては、適正な処理費用を計上のうえ、分別・解体処理を業とする専門業者に発注しまして、リサイクルの推進を図っているところでございます。  また、県内におきましても、富山国際職藝学院が早稲田大学と共同で、リサイクル率80%以上を目標とし、金具の使用を避けた木造工法などによる住宅建設の実験が進められているところでありまして、県ではこの成果が建設混合廃棄物の発生が少ない住宅の普及につながっていくものと期待しております。  いずれにいたしましても、建設混合廃棄物リサイクルは大切なことでありまして、北陸地方建設リサイクル推進計画'97の指針を踏まえまして、建設業協会など関係団体と連携、協力しながらリサイクルの推進に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、建設廃材の発生から再利用に至るまでの一貫した対策についての御質問にお答えいたします。  建設廃材などの建設副産物の利活用につきましては、限りある資源の有効利用や環境保全の観点から重要なものと考えておりまして、先ほど申し上げました北陸地方建設リサイクル推進計画'97を策定し、発生の抑制と再利用の促進、そして適正処理の推進を基本に、資源循環型社会の構築を目指しているところでございます。  現在、富山県におきましては、県の工事はもとより市町村や民間の工事から発生するアスファルト塊やコンクリート塊につきましては、民間の再資源化施設で処理をし、その再利用を図りますとともに、建設発生土につきましても工事間での流用を図るなど、積極的に再資源化と再利用に努めているところでございます。  具体的には、公共工事の実施に当たりましては、経済性にかかわらず、工事現場から発生する副産物はできるだけ再資源化施設に回すこと、また、そこで再生された資源をできるだけ利用するというリサイクル原則化ルールを徹底することや、再利用にかかる適正な単価を調査し、設定することなどによりまして、資源のリサイクルがよりスムーズに促進されるよう措置を講じているところでございます。さらに、民間の工事につきましても、協議会を通じて建設副産物対策の講習会やシンポジウム、また現地見学会を開催しておりますほか、パンフレットなどによる広報PR活動にも努めているところでございます。  今後とも、官民一体となった協議会を中心としまして、建設副産物の発生から利用に至るまでの一貫した対策に取り組んでまいります。  以上でございます。 12 ◯議長(筱岡與次平君)飯田教育長。
       〔教育長飯田宗映君登壇〕 13 ◯教育長(飯田宗映君)県内在住ブラジル人の子女対策についてお答えをいたします。  まず第1に、県内在住の日系ブラジル人子女の就学実態についてお答えを申し上げます。  議員御指摘のとおり、近年、ブラジル人は本県においても大幅に増加しており、中には学齢期の子供を連れて来県するケースも多くございます。外国人子女には就学義務はございませんが、希望する場合には日本人の子女と同様に就学の機会を保障することになっております。  市町村では、住民登録を行う時点で保護者に対して就学の意思を確認し、意思がある者についてはすべての外国人子女を就学させております。しかし、在留期間が短いとか、住所がしばしば変動することとか、あるいは家庭の経済事情、さらには母国の教育普及の状況等の関係から、就学の意思が示されない場合もあって、時々における正確な実態把握は大変難しいというのが実情でございます。  県内の公立小中学校に在籍する外国人子女は、本年5月に行った学校基本調査によりますと275名であり、3年前と比較して100名近く増加しております。ただ、この4月末の住民登録の面から見た16歳未満、学齢期のブラジル人の子女の数は、約300名近いというふうな数字がございまして、相当数の未就学の子女がいることが推測されるわけでございます。  県教育委員会としては、平成3年以降、日本語指導が必要な外国人子女の人数を母国語別、学校種別に調査してまいりました。最も新しいこの11月の時点での調査によりますと、日本語指導が必要な児童生徒は小学校で97名、中学校で45名、合わせて142名ということで、そのうちブラジル人子女を含むポルトガル語を母国語とする子女は84%で、その最も多いのは高岡市であり、さらには砺波、富山、黒部等がこれに次ぐというふうな状況でございます。  次に、このようなブラジル人子女に対する県教委としての対策、今後の対策、これについてお答えを申し上げます。  県教育委員会としては、小中学校に在籍する外国人子女の教育を充実するために、第1に、外国人児童生徒の教育の手引やポルトガル語ガイドブックなど、教師の指導に必要な資料の作成や配布を行うとともに、第2には、日本語指導を必要とする児童生徒の多い学校に日本語指導教員を22名配置し、それからさらに、各教育事務所管内にポルトガル語が話せる外国人相談員をおのおの1名配置するなどの対策を講じております。  また、外国語を話すことのできる外国在住経験者の協力を得て子供の指導に当たり、効果を上げている学校もあるというふうに聞いております。  今後、こうしたいわゆるボランティアの方など地域の教育力も十分に活用した外国人子女の語学指導、さらには生活指導等の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。  なお、小中学校に就学していない外国人子女については、今後、関係機関とも協力しまして保護者の勤務先にも働きかけるなど、あらゆる機会を通じて就学の意義等の啓発や指導に努力していきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、教育委員会としては、すべての外国人子女が健やかな成長ができるように、学校や地域社会が一体となって取り組んでいくよう、関係各方面に働きかけてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 14 ◯議長(筱岡與次平君)中島 司君。    〔1番中島 司君登壇〕 15 ◯1番(中島 司君)まず、農業問題についてお伺いをいたします。  11月17日、政府は突然、米の関税化、それも来年4月に前倒し実施する方針を明らかにしました。これについて政府は、WTO農業協定に基づく選択肢の一つだとして、関税化をとるのか、現行どおり関税化の特例をとるのか、そしてその結論を農業団体に判断をゆだねるとしたのであります。しかも12月15日までに態度を決めるよう迫るなど、十分な検討時間すら与えないやり方は、明らかに来年4月実施に必要な12月末WTO通告に間に合わせようとする思惑であり、このようなやり方は極めて問題だと言わざるを得ません。  問題の第1は、通告後わずか3カ月の間に、食糧法、食管特別会計法、関税定率法やガット関連条約改定の国会承認を得ようとするのですから、国会軽視も甚だしいと言わざるを得ません。  問題の第2は、関税化移行の最大のメリットとして、国内米価の3、4倍に相当する1000%から1200%の高率関税を課すことができると説明されていますが、さらなる米の自由化を求めるアメリカの要求だけ見ても、WTO農業協定期限切れの2001年以降も高率関税が設定できる見通しは、全くないことは明らかであります。  第3は、関税化によって輸入義務量の一部を一時的に抑制できたとしても、長期的に見れば関税率引き下げの圧力が強まることは必至であります。主食である米の重要性からすれば、関税率の障壁を越えて輸入される可能性が極めて大きいと見なければなりません。  1年間にわずか4万トンの輸入抑制と引きかえに、国民の命の糧である米の生産を危うくし、日本の農業・農村の将来を左右する米の関税化をこのような安易なやり方で実施しようとする政府の関税化移行方針は、断じて容認できるものではありません。とりわけ良質米の生産県として、関税化のあり方によって富山県全体の農業に与える影響も大きいだけに、重大な関心を持たざるを得ないと思います。知事の所見をお伺いいたします。  次に、農業委員会についてお尋ねいたします。  昨年7月、地方分権推進委員会の第2次勧告で、農地主事の廃止や農業委員の定数見直し、農業委員会の必置基準の緩和などとともに、地方分権の観点から農業委員会の見直しについて勧告がありました。この勧告に従って、ことし5月に農業委員会等に関する法律施行令の改正があり、農業委員会の必置基準の引き上げや農業委員の定数区分の見直しが行われました。  本県の農業委員の定数は、各市町村とも現定数区分よりも少なく設定されていますが、新たな農業基本法の制定やWTO農業交渉の課題なども多く、また農地集積流動化事業など、農業委員会の果たす役割も重要となっています。来年7月には全県的に農業委員の選挙も行われることでもあり、今回の法改正に伴う農業委員会のあり方について見解をお伺いいたします。  次に、保安林整備について伺います。  本県の森林面積は、国有林、民有林合わせて28万5,092ヘクタールと多く、林野率も67%となっています。また、全般的に地形が急峻であるうえ、主要河川も急流がすべてであるなどとなっています。それだけに山林の保全管理は、県民生活の安全と自然環境を保全する立場からも大切なことです。本県においても、こうしたことからさまざまな治山事業や造林事業が行われ、保安林の指定率も68%と全国第1位になっています。  そこでまず、現在行われている事業について伺いますが、第5期保安林整備計画の概要についてです。目的ごとの目標や整備手法等について伺います。  次に、この第5期保安林整備計画に基づいて行われている事業についてですが、現在県が建設している久婦須川ダム周辺のことです。これは国の森林開発公団が行っているのですが、この手法には大変問題があると言わざるを得ません。民有林を保安林に指定し、その指定した保安林を全部伐採し、植林をし直しています。そして、保安林の木を伐採するために作業道をつくったわけでありますが、この工事の原因によって周辺地区の上水道が汚染されるということまで起こっています。このような形でこれからも保安林の管理が行われるとすれば、富山県の森林は荒廃するばかりか、保安林が保安林でなく、災害の原因をつくっていくようになってしまいます。このような手法について県の見解を伺います。  次に、小矢部川流域下水道に関する件について伺います。  私は、この小矢部川流域下水道に関する件について、とりわけ財政計画や建設促進について、昨年2月定例会予算特別委員会、ことし2月定例会一般質問で取り上げてまいりました。それは主として、快適な生活環境の維持のためには下水道の建設促進が県民の強い要望であること、そしてそのためには、その基盤となる財政計画が適正に、しかも関係者の合意のもとに運営されることなどについてでありました。そして、昭和62年から平成9年度までの小矢部川流域下水道第1期財政計画については、初めてのことでもあり、また時代の変化などから、必ずしも計画どおりとはいかなかったのではないかと思いますし、そのことも指摘してまいりました。  そこで質問の第1は、大変困難をきわめた第1期財政計画から第2期財政計画に至る市町村との交渉経過と処理についてです。本来ならば、第1期財政計画は昭和62年から平成9年度まででありましたから、ことしの3月までに第2期財政計画に関する協定が締結されている予定でありましたが、負担金単価や剰余金処分をめぐって交渉が難航し、つい先日やっと話し合いがまとまったようであります。交渉の経過で問題となった点について明らかにしていただきたいと思います。  新しい協定では、流入水量当たりの負担金単価は1立方メートル当たり63円と変わっていませんが、従来どおりの計算からすれば58円で済むわけであります。つまり、第1期財政計画では全額県が負担していた資本費の半分を市町村の負担に上乗せしたからであります。今日の財政難の折、知事の立場からすれば「よくやった」となるわけでありましょうが、結果としては、それは受益者の負担となるわけであります。市町村の言い分は何だったのかについて明らかにしておく必要があると思いますので、お伺いをいたします。  次に、第1期財政計画で生じた約13億円の剰余金の取り扱いについてです。剰余金は原則として、平成10年度から平成14年度に分割して市町村に還付するとのことであります。一部金額の少ない市町村には一括して支払うようでありますが、いずれにしても、私はこの処理方法は極めて妥当なことであり、それなりに評価したいと思います。  しかし、なぜ分割しなければならないのかという疑問が残りますし、問題は市町村がこれをどのように処理するかであります。市町村に還付すれば、それは市町村のことで、県は関与すべきことではないという論理もわからないわけではありません。私は昨年2月の予算特別委員会で、この剰余金のことについて、平成7年度で当初計画に対して流入水量が約150%も上回っている、これは県も市町村も流域に住む人たちもみんなで努力してきた結果だから、そのことも勘案して、みんなが享受できるよう努力すべきではないかという指摘をしてきました。県として一定の見解が必要なのではないかと思いますが、考えをお聞きします。  次に、第1期財政計画の問題点や反省に立って第2期財政計画をつくられたと思いますが、予測流入水量について、その算定の根拠について伺いたいと思います。  この第2期財政計画に基づいて下水道建設計画が進められたとすれば、総合計画の全県域下水道化の推進の中でいう小矢部川流域下水道の整備、計画処理面積1万2,200ヘクタール、計画処理人口31万5,000人に対して、どの程度の整備状況となるのかについてお伺いいたします。  小矢部川流域下水道第2期財政計画は、平成10年に始まり平成19年までの計画となっています。全県域下水道化構想は平成12年までであり、いずれにしても平成13年度以降の次期計画との関連も出てくると思われますが、どのように生かされるのかについてもお伺いをいたします。  次に、環日本海交流についてお伺いをいたします。  昭和59年5月9日に富山県と遼寧省との間に友好県省が締結されて、来年で15年になります。この間、友好代表団の派遣・受け入れ、技術研究員や自治体職員の相互派遣、留学生の受け入れなどの交流事業が取り組まれてきました。また経済訪問団や経済セミナーの開催などの経済協力、そして伏木富山港と大連港、県立中央病院と遼寧省人民医院との友好提携など、各分野にわたって実施されてきました。そして、近年、環日本海交流事業は、環日本海環境協力センターの設立など環境協力や、企業研修や留学生の受け入れなどの人材育成協力などに力点が置かれています。このような環境協力や人材育成協力などは、今日の社会状況のもとで極めて重要なことではあります。  ただ、最近の状況を見ると、中国、ロシアなどは経済協力を最も重要視しているように思われます。相手側の希望にこたえ得るような経済協力や経済交流分野での取り組みが大切なのではないかと思いますが、考えについて伺います。  県としても、ことしに入って中国東北地方投資環境調査団の派遣、遼寧省企業家代表団の受け入れや、ウラジオストク市で開催された国際投資ビジネスフォーラムへの参加や韓国慶州市で開催された北東アジアビジネス促進会議への参加など、具体的な取り組みもなされていますが、より一層の経済交流の促進を図る必要があるのではないかと思いますが、考えを伺います。  また、これからの課題として、例えば交流の核となる国際便のことなどがあります。現在、富山空港からソウル便、ウラジオストク便、大連便などが運航されていますが、いずれも搭乗率が低迷をしています。交流の拠点としてこれらの路線の維持は重要なことであり、その対策が求められています。  とりわけ大連便は、就航してまだ日は浅いとはいうものの、搭乗率が上向くという気配は全く見受けられません。聞けば、搭乗者のほとんどは日本人、搭乗率を向上させる対策のほとんどは中国に向けての観光PRとなっています。つまり大連便のほとんどが日本からの一方通行となってしまっているわけであります。これは、日本政府が中国人に対して観光ビザを認めていないということも仄聞しているのですが、このような問題を解決せずして大連便の搭乗率の向上はあり得ませんし、いつまでたっても一方通行の交流でしかあり得ません。真の交流にはならないのではないかと思います。  そこで、このような現状を踏まえ、この間の取り組みについてどのように評価し、また、15周年を機に今後の友好事業をどのように進めるのかについてお伺いをいたします。  次に、在日外国人の件についてお伺いをいたします。  在日外国人は、今や人数も多く、すっかり日本の社会の一部として定着してきました。それだけに、地域社会の一員として、また社会生活を営むうえで、共存できるようにしなければなりません。  まず、国民健康保険などの加入促進についてであります。現在、在日外国人の国民健康保険の加入率は約20%程度といわれています。加入の悪い原因の一つとして、市町村の窓口では国民健康保険と年金のセット加入を原則としています。そのため国民健康保険加入をあきらめるといった例もあると聞いています。  年金は、主要先進国とは通算する協定が結ばれていますから、日本でも外国人は年金を掛けると思いますが、多くの外国人、とりわけブラジル人は、日本でどれだけ年金を掛けても、帰国してしまえば全額掛け捨てになってしまいます。絶対にもらえる見込みのない年金なんか掛ける人はいるわけがありません。国民健康保険と年金を分離し、加入を促進することも一案ではないかと思います。  次に、雇用問題についてですが、近年の不況による雇用情勢の悪化から厳しいものとなっています。例えば、高岡職業安定所での状況は特にひどく、第1、第2・四半期で、外国人雇用サービスコーナーでの相談件数344件に対して、就職件数はわずか4件でしかありません。加えて、外国人労働者の雇用保険や給付状況などの実態は、全くわからないという状況になっています。相談窓口では、雇用問題だけでなく、日常生活に関することなども多くなっていると聞きます。相談窓口を富山、高岡だけでなく各職業安定所に設置するなど、また、多岐にわたる相談に対応できるよう拡充すべきだと思いますが、考えをお聞きします。  次に、最近一部マスコミで問題になっている富山福祉短期大学のことについてお伺いいたします。  これは、平成9年4月に開学した富山福祉短期大学を経営する学校法人浦山学園が、大学設置許可申請の際、虚偽の設置財源書類を提出していたのではないかという疑惑についてであります。まず、このマスコミ報道の真偽について県の見解を伺います。  知事所管の専修学校、各種学校の短大への設置許可申請は、組織変更の許可申請となり、富山県知事を経由して申請することとなっています。いわゆる知事進達事項であります。ですから、この申請に至る経過の中で県が深くかかわっていたことは、当然のこととして受けとめなければなりません。例えば、この申請には、異例の校舎の建設はなく、既設の専門学校の校舎2棟を転用し、短大校舎に転用することに同意しています。また、そのために専門学校校舎1棟を建設することにも県は同意をしています。また、富山県が管轄する専門学校などの既設校の図書や教具、備品を短大設置のために転用することも認めています。  いずれにしても、県は浦山学園より毎年、生徒数や学校法人会計基準による決算書類などの報告を受けていたわけでありますから、今回の虚偽申請についても十分に把握できる状況にあったわけであります。  富山福祉短期大学の文部省に対する虚偽申請の内容は3点です。  まず1つは、既設の専門学校・予備校生徒数903人しか在籍していないのに、267人を水増しして報告をしていること。  第2は、決算書類の前受金──これは来年度の生徒の納入金のことですが──を、2億4,000万円であったのに3億3,000万円と改ざんし、過大報告をし、あたかも資金が多くあったかのように見せかけ、設置許可を受けようとしたこと。  第3に、短期大学体育館建設費用と専門学校転用校舎の建設費用の違法契約と、学園の理事会、評議員会に諮らずに行ったことなどであります。  県はこうした事実を知り得る状況にあったわけですから、虚偽申請事項についてなぜ確認をしなかったのかについて伺います。  浦山学園は学校法人であり、公益性の高い法人であります。それだけに社会的責任は極めて大きく、文部省も事実を認め、行政指導をするとしています。この浦山学園問題全体について県の見解をお伺いし、質問を終わります。 16 ◯議長(筱岡與次平君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 17 ◯知事(中沖 豊君)中島議員の御質問にお答えいたします。  私からは、最初の農業問題についての御質問のうち、米の関税化のあり方によっては良質米生産県としての富山県農業に与える影響も大きいと考えるが、所見はどうかという御質問にお答えいたします。  現在、農協系統組織で議論されております米の関税化問題につきましては、去る11月26日に開催されましたJAグループの農業対策推進中央本部委員会におきまして、4つの選択肢を挙げて議論をしておるところであります。1つは1999年4月から関税化へ移行する方法、2つは2000年4月から関税化へ移行する方法、3つは2001年4月から関税化へ移行する方法、4つは2001年4月以降も特例措置を堅持するための交渉を行う方法であります。それぞれの問題点につきましては、JAグループとして正確な理解を深め、生産者側として最善の方向を探ろうとしているものと考えております。  仮に1999年4月から関税化へ移行するとすれば、WTO事務局への通報が3カ月前までとされていることから、12月中に態度を決定する必要がありまして、さきの中央本部委員会での意見集約が今月15日までとされたのではないかというようにも思ったりしておるわけであります。  この問題につきましては、WTO次期農業交渉に向け、いろいろの議論がなされていくものと考えております。県としましては、米は国民の主食でありまして、稲作を主体とする本県農業に与える影響も極めて大きいのでありますから、国内自給を基本に、新たなルールづくりを行ってもらいたいと考えております。  いずれにいたしましても、国や農協系統組織などで早急に、そして十分議論を尽くしてもらいたいと考えております。  以上であります。 18 ◯議長(筱岡與次平君)上江農林水産部長。    〔農林水産部長上江崇春君登壇〕 19 ◯農林水産部長(上江崇春君)農業問題についてのうち、今後の農業委員会のあり方についてどのように考えているのかとの御質問からお答えをいたします。  農業委員会は、従来から、優良農地の保全・確保、権利関係の調整など多様な役割を担っているところでございますが、新たな農政の枠組みの構築が求められる今日、その果たすべき役割はますます重要になってきております。  今回の農業委員会法の改正は、地域の特性に応じた農業を確立し、自主的かつ弾力的な農業委員会の運営に資するため、第1に、農業委員会の設置を不要とする場合の農地面積基準を引き上げたこと、第2に、農業委員会の選挙による委員の定数基準が緩和されたことなどを主な内容といたしております。  新たな農業基本法の策定の動きを踏まえまして、今後期待される農業委員会の役割といたしましては、第1に、農用地の確保と担い手への農地の利用集積、その効率的利用の促進などによる地域農業の確立。第2に、経営の改善や組織化の指導など、認定農業者を中心とした地域の担い手への支援。第3に、地域の世話役としてのきめ細かな活動などが挙げられ、農業委員会におきましては、地域の実情に応じた課題に対しまして、農業関係機関や団体との役割分担や連携を図りながら、重点的に取り組むことが必要であるというふうに考えております。  このため県といたしましては、今後市町村において、今回の法改正を踏まえた農業委員会のあり方についての検討が十分になされるよう指導いたしますとともに、農業委員会に対する研修や農業委員会事業などへの助成を通じまして、今後とも農業委員会の一層の活性化、機能強化に努めてまいりたいと考えております。  次は、第5期保安林整備計画の目標及びその整備手法についての御質問でございます。  保安林は、水源の涵養や災害の防止など、県民生活及び県土の保全に大きな役割を果たしており、その適正な配置を図るため、現在、平成15年度までの第5期保安林整備計画に基づき、指定等の整備を行っているところでございます。  まず、本県におきます保安林の指定目標につきましては、災害の多発に対応する土砂流出防備保安林としては467ヘクタール、水資源確保のための水源涵養保安林としては2,514ヘクタール、環境の保全を図る保健保安林として6,546ヘクタールなど、新たに約9,500ヘクタールが計画されており、全体の保安林面積として、これが整備されますと実面積で19万4,966ヘクタール、延べ面積で21万8,410ヘクタールの指定になるものと考え、そのことを目指しておるところでございます。なお、この結果、保安林整備率は、現行の平成5年度の基準値の68%から68.6%と、0.6%向上いたします。  また、整備に当たりましては、森林所有者や市町村などの協力を得て計画的な保安林の適正配置を行うこと、また、指定目的に即して機能していない保安林に対して、治山事業による保安林改良事業や森林開発公団の水源林造成事業を積極的に実施すること、さらに、保安林の機能を高める施業方法として、全体を伐採する皆伐、抜き切りをする択伐などの施業要件の見直しを行うことなどによりまして推進していくこととされておるところでございます。  今後とも、この整備計画に基づき、保安林の適正な配置と機能の高度発揮に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、森林開発公団が保安林に指定された民有林を全部伐採し、植林をやり直しているが、このような手法は大変問題があると思うが、県としてどのように考えているかとの御質問にお答えをいたします。  森林開発公団が実施しております水源林造成事業は、水源を涵養するため森林の造成を行っているものであり、本県ではこれまで約9,000ヘクタールを整備されているところでございます。事業の実施方法といたしましては、低質な広葉樹を一斉に伐採する皆伐方法が一般的にとられているところでございますが、高木の広葉樹や人工的に植栽されている杉など針葉樹を保存し、林地の保全に十分留意しながら進められていると聞いております。  御指摘の久婦須川ダム周辺の作業道整備工事による問題につきましては、作業を受託していた森林組合が地元との調整により復旧工事を実施したと聞いておりますが、県では今回のような事態が再び生じないよう、公団に対し改善を要請したところでございます。  さらに、公団においては、水源涵養機能を維持させながら森林を造成していくための整備手法といたしまして、今まで以上に前に生えている樹木を残すこと、針葉樹だけでなく有用広葉樹を植栽することなどに取り組んでいくこととされたと聞いております。県といたしましても、地元の意向を踏まえ、これらを積極的に進めていただくように要請してまいりたいと考えております。  以上でございます。 20 ◯議長(筱岡與次平君)白井土木部長。    〔土木部長白井芳樹君登壇〕 21 ◯土木部長(白井芳樹君)小矢部川流域下水道第2期財政計画についての3つの御質問のうち、まず、第2期財政計画におきます市町村の負担金に関する御質問にお答えいたします。  小矢部川流域下水道の第2期財政計画につきましては、平成9年度中に策定すべく、関連市町村と協議、調整を行っていたところでありますが、流入水量や維持管理費の見込みなどにつきましては合意に達したものの、起債元利償還費の取り扱い、いわゆる資本費の算入については、平成9年度中に合意に至らなかったものであります。このため、第1期の財政計画における負担金の単価、1立方メートル当たり63円で暫定的に覚書を締結したうえで、引き続き関連市町村と協議を重ねた結果、資本費の算入についても合意に達し、ことし9月末に新たな覚書を締結したところでございます。  今回の維持管理財政計画の見直しの主な内容は、受益者負担を導入する観点から、起債元利償還費いわゆる資本費も負担金の対象としたことであります。  当初の財政計画──これは昭和62年度から平成9年度まででありますが──におきましては、資本費を負担金の対象に含めますと、供用開始当初は流入水量が少ないため、負担金の単価が割高となることなどから、関連市町村の財政状況などを考慮し、維持管理費のみを負担金の対象としていたものであります。しかしながら、供用開始から10年を経過し流入水量が増加したこと、流域下水道の区域に入らず、単独で公共下水道事業を実施している市町村との財政負担の公平を図ること、また流域下水道事業経営の健全化を図ることなどから、資本費の一部についても関連市町村の負担とすることとしたものでございます。  この負担金の対象とする資本費の範囲につきましては、下水道事業経営の原則であります雨水は公費、汚水は私費という考え方に基づき算定したものであります。小矢部川流域下水道の処理対象は全量が汚水ではありますが、今回の見直しに当たりましては、関連市町村の財政状況などを考慮し、地方財政計画において汚水にかかわる費用として受益者の負担とされております資本費全体の3割に相当する額を、負担金の対象とする資本費として算出したものであります。  この結果、資本費は1立方メートル当たり10円と算出されたのでありますが、さらに関連市町村の財政状況などを考慮し、協議した結果、今回の見直しに当たりましては、資本費の全額ではなく、2分の1に相当する1立方メートル当たり5円を負担金の対象とし、維持管理費の負担金58円と合わせまして、負担金の単価が1立方メートル当たり63円となったものでございます。  次に、剰余金の還付、そして市町村における剰余金の処理についての御質問にお答えいたします。  当初の財政計画の期間中に、結果として維持管理費にかかわる剰余金が生じましたのは、県が幹線管渠の整備に、また市町村が関連公共下水道の整備に努めた結果、計画以上に整備が進んだことにより流入水量が計画を大幅に上回ったこと、そして県が効率的な維持管理に努めたことによるものであります。  他方、市町村におきましては、地方公営企業としての公共下水道事業の経営基盤がいまだ安定していないこともあり、その経営基盤を今後一層強化することが自治省から要請されているところであります。  こうした点を考慮し、市町村からの要望を踏まえて、剰余金は5年分割で市町村に還付することとしているものでありまして、市町村におきましては、それぞれの実情に応じ、下水道事業の経営の健全化を図るなど、有効に活用されるものと考えております。  次に、予測流入水量の算定根拠、また将来の整備状況の見通し、そして全県域下水道化構想の見直しにも反映させるべきと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。  まず、第2期財政計画におきます流入水量の予測は、県の幹線管渠の整備見込みに基づき、各市町村が流域関連公共下水道の整備見込みを設定しまして、処理区域の面積や水洗化の人口などを予測し算出した流入水量を積み上げたものであります。
     次に、小矢部川流域下水道計画区域内の下水道普及率でありますが、平成9年度末では56%となっております。そして第2期財政計画の最終年度である平成19年度末では70%台の後半となる見込みであります。また、全体計画における処理面積であります1万2,200ヘクタールに対する進捗率ですが、平成9年度末では35%となっておりまして、平成19年度末には50%台後半となる見込みであります。  次に、全県域下水道化構想の見直しにつきましては、今年度から2カ年で、市町村とともに整備手法などの再検討や将来目標の見直しなどを行うこととしております。この見直しに当たりましては、小矢部川流域下水道の第2期財政計画などを踏まえますとともに、市町村の整備目標を十分聞きながら取りまとめてまいりたいと考えております。  今後とも、より効率的な整備に努めることによりまして、全県域下水道化構想の実現に向け、市町村と一体となって取り組んでまいります。  以上でございます。 22 ◯議長(筱岡與次平君)橋本企画部長。    〔企画部長橋本 清君登壇〕 23 ◯企画部長(橋本 清君)環日本海交流についての質問のうち、経済協力分野にも重点を置いた取り組みを進めるべきであると思うがどうかとの御質問にお答えいたします。  本県は、国際立県を重要な政策の柱に掲げまして、世界に開かれ貢献する富山県の創造を目指しております。その中でも環日本海交流は最も重要な分野であると考えておりまして、環日本海地域の人材育成、学術・文化・スポーツの交流、交通・情報ネットワークの形成、環境協力など、多方面において積極的な施策を展開してきているところであります。  経済交流分野につきましては、これまで投資環境調査団の派遣、富山空港や伏木富山港の整備、国際航空路定期航路の拡充といった交流基盤の充実や、環日本海貿易交流センター事業の推進などに積極的に取り組んできたところであります。  また、この経済交流につきましては、先般本県で開催いたしました北東アジア地域自治体会議におきましても、対岸諸国を含めまして20の自治体から各種の見本市・商談会の開催、具体的な投資案件に関する提案などが出されているなど、非常に関心の高いものがございました。また、来年秋に富山県で開催を予定しております北東アジア・メッセinとやまにつきましても、対岸諸国の自治体からは好意的な反響がございました。  いずれにいたしましても、北東アジア地域は豊富な資源、労働力、高度な技術力等に恵まれ、21世紀において高い経済発展の可能性を秘めた地域でございます。富山県が来るべき環日本海時代の中核拠点として発展していくためには、経済交流分野についても積極的な交流を展開する必要があろうかと思っております。  以上であります。 24 ◯議長(筱岡與次平君)高原商工労働部長。    〔商工労働部長高原一郎君登壇〕 25 ◯商工労働部長(高原一郎君)環日本海交流についての御質問のうち、これまでの投資環境調査団等の評価、そして今後どのようにして一層の経済交流を促進していこうとするのかという御質問にお答えを申し上げます。  今日、経済のグローバル化、ボーダーレス化が進展をし、県内企業の海外進出、海外企業との連携・協力関係の構築など、海外諸国との貿易や海外への投資の機会が増えており、企業が効果的に事業展開ができるよう、必要な支援が求められているところでございます。このため県といたしましては、環日本海の貿易・投資を促進するため環日本海貿易交流センター事業を実施しておりまして、情報提供誌の発行、各種セミナーの開催などに加えまして、貿易・投資アドバイザーを設置し、企業のニーズに応じたきめの細かな相談業務に取り組んでいるところでございます。  友好提携を行っております中国遼寧省及びロシア沿海地方については、中国東北地方と本県との経済交流を一層促進させるため、中国東北地方投資環境調査団及び遼寧省企業家代表団の派遣・受け入れを相互に行っているところでございます。また、ロシアにおける市場経済システムへの移行を支援し、経済交流を活発化するため、ロシア市場経済実務セミナーを開催しているほか、国際投資ビジネスフォーラムなどに参加し、タイムリーな情報の収集・提供に努めているところでございまして、これらの事業を通じて経済面での交流は、技術提携や合弁企業の設立など着実に深まっているものと考えております。  今後とも、これらの事業を充実させるとともに、新たに来年秋に開催予定の北東アジア・メッセinとやまの諸準備を進めまして、環日本海地域における経済交流の一層の促進に全力を挙げていきたいというふうに考えているところでございます。  次に、在日外国人に関する御質問のうち、各職業安定所に外国人雇用サービスコーナーを設置するとともに、多岐にわたる相談に対応できるよう拡充を図るべきでないかという御質問がございました。  外国人労働者の方々につきましては、言葉や生活習慣の違い、あるいは我が国の雇用慣行にふなれであることから、雇用面でさまざまな問題を抱えている方が少なくない状況にございます。そのため、就職のあっせんや雇用に関する相談を通訳を配置して専門に行う場所として、平成6年に高岡公共職業安定所内に、また平成10年には富山の公共職業安定所内に、外国人雇用サービスコーナーが設置されているところでございます。  外国人雇用サービスコーナーには、今申し上げましたとおりポルトガル語の通訳がおりますが、その相談内容については、第一義的には賃金、労働条件、あるいは職場不適応等の雇用に関する相談を行うこととしておりますけれども、議員御指摘のとおり、時として日常生活上の相談に及ぶことが見受けられることもございます。  また、外国人労働者の方々の雇用相談に当たっては、事業所を訪問いたしまして相談を行う外国人雇用管理アドバイザー──雇用管理及び職業生活担当おのおの1名でございますけれども──を委嘱いたしまして、その活用を図っているところでございます。  外国人雇用サービスコーナーを直ちに拡充することについては、今のところ考えてはおりませんが、御指摘を踏まえまして、外国人労働者の方々に対しまして、富山、高岡以外の職業安定所においてもサービスコーナーの周知に努めるよういろいろな工夫を行うことによりまして、サービスコーナーの一層の活用促進を図り、雇用相談の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 26 ◯議長(筱岡與次平君)江畑総務部長。    〔総務部長江畑賢治君登壇〕 27 ◯総務部長(江畑賢治君)環日本海交流についての御質問のうち、中国遼寧省との友好事業につきまして御答弁申し上げます。  中国遼寧省とは昭和59年に友好県省を締結して以来14年を経過し、締結当初の行政が主体となる交流から、各種団体や企業等民間レベルの交流まで、すそ野が大きく広がってきております。また交流の内容も、当初の儀礼的、形式的なものから、教育・文化・スポーツ交流、農業、港湾等の技術交流、企業進出等の経済交流、人材育成、環境保全等の協力など、幅広い分野において互いにメリットのある実質的なものへと充実してきているところでございます。  来年には友好県省締結15周年の節目を迎えますが、今や両県省の友好関係は揺るぎのないものになっていると考えているところでございます。本年6月には待望の富山・大連便が就航したところであり、これを機会に、今後ますますより幅広い分野で多岐にわたる交流が活発に行われるものと期待しているところでございます。  県といたしましては、経済交流など民間、市民レベルでの交流を促進するため、引き続きその基盤づくりに努めるとともに、今後さらに両県省にとってメリットのある実質的な交流・協力事業を進めることから、特に将来を担う人材の育成のための事業や、環日本海地域における環境協力、経済交流などに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、御質問にございました中国人に対する観光目的の短期滞在ビザの発給につきましては、外務省に問い合わせたところ、日本側ではビザの発給の制限をしているという事実はなく、中国からの観光客が少ないとすれば、むしろ中国側の出国政策に関係があるのではないかという見解でございました。  いずれにしましても、本県としては、中国からの観光客がさらに増え、大連便が大いに利用されることによりまして、日本と中国、富山県と遼寧省との友好交流が一層促進されるよう期待しているところでございます。  続きまして、富山福祉短大の設立申請に関する質問にお答え申し上げます。  学校法人浦山学園の短期大学設置に係りまして、私立学校法施行令によりまして、短期大学設置に伴います浦山学園の寄附行為の変更の許可申請を、都道府県知事を経由して文部大臣に提出するということになっているところでございまして、この規定に基づきまして県が平成7年に文部大臣に進達したところでございまして、県が関係したのはこの時点まででございます。  本年10月の新聞報道を受けまして、事実関係を文部省に確かめたところ、県から進達を受けました申請書提出時の申請書及びその添付資料には、虚偽記述やその他の問題となるようなことは一切なかったという確認を受けているところでございます。しかし、その後文部省が学校法人に直接求めた追加資料にこうした虚偽の記述があったかどうか、それについて現在調査中であるということも聞いておるところでございまして、県といたしましては、文部省が直接学校法人にどのような追加資料を求めたのか、あるいはどういう資料を直接学校法人が文部省に提出したのか知り得る立場になく、今回の新聞報道につきまして、県としては関係する立場にないということを御理解いただきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、本富山福祉短期大学は高齢社会に必要な人材を育てる高等教育機関として本県に設置されたものでございまして、しっかりした体制のもとに、県民の期待にこたえるべく、本県における福祉のための人材育成に寄与していただくことを県としても期待しているところでございます。  以上でございます。 28 ◯議長(筱岡與次平君)原厚生部長。    〔厚生部長原 徳壽君登壇〕 29 ◯厚生部長(原 徳壽君)在日外国人についての御質問のうち、国民年金に加入せず、国民健康保険だけでも加入できるようにして、医療給付が受けられるようにすることが望ましいと考えるがどうかという御質問にお答えいたします。  我が国の医療保険及び年金制度につきましては、御承知のとおり皆保険、皆年金制度となっております。制度発足当時は日本国民を対象としていたところでございますが、昭和57年に難民条約等の批准が求められる中で、内外人平等ということが要請されまして、同年4月から、難民の方に限らず、日本に住所を有する外国人すべてについて日本人と同様の取り扱いがなされるようになってきたところでございます。  具体的には、健康保険が適用されている事業所に就労されている方の場合は、健康保険と厚生年金に同時に加入することとされております。また、個人商店等健康保険が適用されていない事業所等に就労している方、あるいは留学、研修などの目的で来日している方につきましては、1年以上滞在すると認められる場合は国民健康保険に加入することになっておりまして、この場合には当然に国民年金にも加入することとなっております。したがって、国民健康保険のみに加入し、国民年金に加入しないという取り扱いは、現行法上できないこととなっております。  なお、世界的に年金の通算協定が結ばれていない現状でございますので、当面、母国での老齢年金に結びつかない場合には、保険料納付済み期間に応じた脱退一時金が支給されることになっておりますし、また、年金の保障は老齢年金だけでなく、障害や死亡事故に対する保障もございますので、年金の加入について御理解を一層深めていただきたいと考えております。 30 ◯議長(筱岡與次平君)中島 司君。    〔1番中島 司君登壇〕 31 ◯1番(中島 司君)総務部長に2点ほど再質問をいたしたいと思います。  1つは福祉短期大学のことについてです。  マスコミ報道の真偽についてはどうかというふうなことについてはお答えになりませんでしたが、答弁を聞いていますと、知事の進達の段階までは県が関与をしとる、それ以降は学園と文部省の間のことだから県はあずかり知らないと、このような答弁だったというふうに思います。間違いないですね。新聞報道は、申請の書類に虚偽があったというのがマスコミの報道なんですね。ですから、部長の答弁を聞いていますと、マスコミ報道は間違いだというふうに私は理解をしましたが、この点について、マスコミの皆さんもおいでますけれど、大変疑惑を感じます。新聞報道は全部間違うとったということですから。  仮に、私は百歩譲って、新聞報道が間違いであって──部長は、進達の終わった後の追加資料に疑問点、疑惑といいますか、あったようだと。だから県は知らないんで、それは文部省と学園との間のことだというふうにおっしゃられました。しかし、仮に今言うたように百歩譲ってそうだったとしても、どうして県は浦山学園の全体の状況をもうちょっと把握しようとしなかったのかという疑問が残るんです。  それはなぜかというと、1つは、平成8年度の県から国への重点要望事項の一つに、この短大をぜひつくってほしいというのがあるんですね。これは平成8年の話ですよ。県が8年に重点要望事項で挙げるということになれば、当然、その学園の状況や富山県の中で福祉関係の学校が必要だということ、あるいはその学園の内容や熱意といいますか、そういったことなんかも十分に調査をされる、あるいは勘案をされたからこそ重点要望事項で挙げられたんじゃないですか。そうすれば、そのことについて設置以降も関心を持っていくというのは当然のことだというふうに思うんです。  それからもう1つ。これも平成8年、浦山学園が体育館をつくりました。このとき県は3,500万円補助金を出しているんです。補助金を出しているんですよ、県民の血税で。それがどう使われて、その学校がどう運営されているのかということを、その後も引き続いて調査をしていくというのは当然のことじゃないですか。そんなこともやらないで、補助金は出したら出しっぱなし、後は全然県は知らないと、こんなやり方は私はないと思います。  そういう意味で、申請の先であろうがなかろうが、当然このことについて県は状況をきちっと把握しておく必要があるんではないかというふうに思うんです。そういう意味では極めて職務怠慢だと言わざるを得ませんし、真偽のほどはまだまだわからないという状況ですから、そのへんについて部長の答弁をお願いをしたいと思います。私は、それ以降のことで仮にあったとしても、当然県はいろいろ調べておかんなんがでなかったがでないかということについて御答弁をお願いします。これが1つ。  もう1つは大連便のことなんですが、総務部長、外務省に聞いてみたら日本でビザを制限していることはないと、こういうふうにおっしゃっておりました。外務省は当然そんなことを言うんでしょうけど、ちょっと数字を見てみますと、10億の民を擁する中国から日本への観光客というのは、年間わずか──富山県だけじゃないんですよ、年間わずか1万2,000人なんです、中国から日本へ来る観光客というのは。驚くべき少ない数字なんですね。そして中国から日本へ来るビジネス客、ビジネスのお客さんだけでは6万4,000人もおいでるんですよ。ビジネス客よりも観光客がものすごい低いなんていうことは、ちょっと考えられないことなんですね。これは日本の政府が何らかのそういう制限をしているということだけではないと思いますよ、確かに。中国側にもあまり外国へ出したくないという意図があるんではないかというふうにも思うんですが、これは国家間の問題ですから、政府間の問題ですから、これ以上言及してもしょうがないと思いますが、いずれにしても、日本と中国の関係というのはまだまだそういう状況だということですね。  私は、環日本海の交流を進めるといううえで、今中国と日本は近い関係にあるように見えますが、観光客一つを見ても、わずか1万2,000人しか向こうからこっちへ来ていないという実情を見たときに、まだまだ中国と日本の距離というのは遠いんだなということを思うんです。そういう意味では、そういう実態を見ながら、これからの交流のあり方を考えていく必要があるのではないかということを申し上げたいと思うんです。  これは確かに、今ほど言いましたように、中国政府と日本政府との関係の問題があります。中国もいろんな事情があってあまり出したくないということもあるようであります。日本の政府にしてみれば、観光ビザで50人が入ってきたら、帰るときは30人しかおらんだ、20人は不法就労や不法滞在になったらこれは困るというような状況に、今ないでもないわけですから、そういったお互いの心配もあるようですけれど、いずれにしてもそういう状況を乗り越えて、これからの交流事業が必要なんではないかというふうに思いますので、一歩進んだ考え方を示していただきたいと思います。 32 ◯議長(筱岡與次平君)江畑総務部長。    〔総務部長江畑賢治君登壇〕 33 ◯総務部長(江畑賢治君)再質問にお答え申し上げます。  富山福祉短期大学の問題でございますが、新聞報道の事実関係について答えがなかったということでございましたが、先ほどお答え申し上げましたように、県が進達した申請時の申請書、添付資料には、虚偽記述やその他の問題となるようなことは一切なかったということを文部省から確認を受けております。あわせまして、その後文部省が直接学校法人から求めた追加資料の中にそういった虚偽記述があったかどうか、この問題について現在文部省で調査をしているということを聞いているとお答えしたところでございます。  御質問にございましたように、県といたしましては、この浦山学園に対しまして施設設備の助成等を行いまして、そういう助成を行った事業につきましては、しかるべき補助目的に沿った形での事業が実施されるようにということは、もちろん県としては十分関心を持つところではございます。ただ、今回の短期大学申請に当たりまして、先ほども申し上げましたように、県としては、進達時に提出された添付資料、これは認可申請に当たりまして必要とされている資料がすべてそろっておったわけでございまして、これについて申請書とともに進達したということでございますので、その後認可に至るまでに、文部省と学校法人の間で直接どういうやりとりがなされているか、やりとりがあったのかどうか、そういうことについて制度上全く知り得る立場になかったということは、御理解いただきたいというふうに考えているところでございます。  続きまして、中国と日本、富山県と遼寧省との交流に関してでございますが、御質問にございましたように、それぞれの国家間の政策の問題もございまして、県として申し上げる立場にあるかどうかは、なかなか難しいところでございますが、私どもとしては、富山県、遼寧省の15年にわたりますこうした交流の実績といいますか、あるいは民間、市民のレベルまで大きくすそ野が広がっているこういった交流の実績が、今後中国と日本とのより一層の相互交流といいますか、そういったものにつながっていくというふうに考えておりますので、私どもとしては一層この遼寧省との友好交流を進めることによりまして、中国側あるいは日本側それぞれが、相互に今後ますます交流を進めるための一つの糸口といいますか、大きなステップとなるということを期待しているところでございます。 34 ◯議長(筱岡與次平君)中島 司君。    〔1番中島 司君登壇〕 35 ◯1番(中島 司君)短期大学の問題なんですが、どうしてそういうふうな答弁になるのかなと思うんですが、申請時に問題なかったから問題なかった──同じこと繰り返していると時間ありませんからなんですが、後で問題が出たから、それは文部省……文部省、どんなやりとりやっとるのかなあなんて、他人事のようにおっしゃってるでしょう。だから私は問題だと言ってるんですよ。  現に平成8年に重点要望事項でもあったし、浦山学園には3,500万円も出しているんですよ。そういうところがそういう疑惑が持たれたということになれば、県は調査をするというのは当たり前でしょう、こんなことは。そして疑惑や真相は解明せんなんと思うんですが、問題は、どの時点に虚偽があったかなかったとかいうことではなくて、県として一つの事業をやってきたわけですから、そのことについては引き続き、いずれの時点でも調査をしていく必要があると思うし、まして今度のような問題が起きれば、県はきちっと調査すべきですよ、そのことについて。それを、文部省と学園の間のことで、県は知らないんだなんていうことは、通る話じゃないと思います。そのことについて答弁をいただきたいと思います。  もともと県は、この進達書の中身の時点で、進達をする時点でちょっと、という状況があったんではないかと思うんですね。私もちょっと聞いてみたんですが、一般的に知事の進達の文書というのは、いろいろその必要性を書いて、最後に「格段の御配慮を賜りたい」というふうに書くというのが一般的だそうであります。しかし、この学園の場合の進達書には「十分に御審議をください」と、こう書いてあるそうです。これは極めて異例なことだそうであります。私も専門家ではありませんけれども、関係者の皆さんに聞いてみると。審議をしてくれという進達書というのは、これ一体何なんでしょうか。私は、その時点で、県もこの問題についてはちょっと首をかしげた部分があるんではないかという疑問もここに残っているんです。そういう意味で、真相をきちっと調査をして、明らかにしていただきたいというふうに思います。 36 ◯議長(筱岡與次平君)江畑総務部長。    〔総務部長江畑賢治君登壇〕 37 ◯総務部長(江畑賢治君)御質問にお答え申し上げます。  まず1点目は、進達という行為でございますが、御存じのように、あくまでも知事は文部省から機関委任を受けた経由機関として、学校法人が文部省から事前に審査を受けて適当と判断されたものを、経由して文部省に提出する役割を担っているということで、その役割を進達という形で提出したということでございます。あわせて、先ほど御質問にございましたように、進達の際に知事が意見を付すということになっておりまして、その意見に、先ほど御指摘もございました「富山福祉短期大学の設置について十分御審議くださるようお願いします」という意見を付して申請しているというところでございます。その「御審議くださるようお願いします」という申請にあわせまして、「本県におきましては、県内の高等教育機関の整備は十分な状況といえず、社会のニーズに合った魅力ある高等教育機関の整備は県政の重要な課題となっております」という意見を述べているところでございます。  それから、先ほどのまた繰り返しになりますが、県が進達した申請書、あるいはその添付書類といったものは、文部省から指定されたというか、申請に必要な書類すべてがそろっていたわけでございまして、その内容につきましては全く虚偽がなかったということで、私どもとしては、その後認可に至るまでに、直接それに付随するといいますか、それに追加する書類につきまして、どういったものが求められて、その求められた書類の内容がどういったものであったのか、それが虚偽であったのか、それを把握する立場には全くなかったということを御理解いただきたいというふうに思います。 38 ◯議長(筱岡與次平君)暫時休憩いたします。  午後0時14分休憩      ─────────────────────  午後1時31分開議 39 ◯副議長(川島久一君)休憩前に引き続き会議を開きます。  山辺美嗣君。    〔3番山辺美嗣君登壇〕 40 ◯3番(山辺美嗣君)最初に、少年の健全育成に関連して質問いたします。  近年の子供に関連する現象は、いじめ、不登校、校内暴力、家庭内暴力、非行や犯罪と、まことに残念なことではありますが、問題の件数が増加の傾向にあります。個々の案件にはそれぞれの背景や事情があるのだと思われますが、これほどに頻度が高まり、社会現象化してきた原因として、子供たちの心のありようが指摘され、心の教育が家庭、学校、地域社会の課題とされてきたのであります。  この見方が間違っているとは決して思いませんが、問題のありかを子供たちの心だけに焦点を当てることは、本質を見誤ることになるのではないかと考えます。社会の規範、ルールやモラルについて責任を持つのは大人でありますが、その大人が、あるいは社会がと言いかえてもよいかもしれませんが、子供たちの人権を十分に保護していない。そのことが今日の子供をめぐる社会現象の原因となっているのではないか、そのように考えるものであります。  子供の人権の保護に関して、今日その基本となっているのは、1989年に国連で採択された「子どもの権利条約」であります。我が国は4年前の1994年にこの条約を批准し、国内についても適用されることになりました。この条約の基本的な考え方は、社会的な弱者である子供が束縛されることのないように広範に権利を付与していこうということ、それと同時に、社会一般に認められる権利であっても、子供の保護の観点からその権利は制約することができるという理念に立っています。  1996年、2年前でございますが、条約加盟国など世界の122カ国が参加して国際会議がスウェーデンで開催されましたが、この会議で、子供──この条約では18歳未満を子供と定義していますが、子供を性行為の対象として買った者、売るほうの売春と区別するために「買春」と最近は呼称されていますが、その児童買春者に対する処罰、そして子供を被写体としたポルノ、一般に児童ポルノと呼ばれていますが、その規制が我が国は不十分であるとして、子供の保護の法整備の遅れが非難されたのであります。特に、日本人男性の海外での児童買春が国内法では全く取り締まられていないこと、また、日本で作製された児童ポルノが雑誌、ビデオ、インターネット映像として海外にまで広く流通していることは、日本だけの問題ではなく、世界的な問題であるとの非難がなされました。また、本年6月には条約に基づいて法的な措置を求める正式な勧告となりまして、我が国は5年後の2003年に改善状況の審査を受けることになります。  そこで、警察本部長に確認をいたしたいのでありますが、現行の法律、条例のもとで、少年を対象とした買春及びポルノはどのように規制されているのか。また、警察はどのような対応をとっているのか、お答え願います。そして、買春やポルノを含め、少年にかかわる非行や犯罪等の事件の数はどのように推移しているのか、あわせて伺います。  こうした国際的な批判に対応するため、現在、国会において法律が、自民党女性議員を中心として超党派で議員提案されているところでありますが、その内容はどのようなものでありましょうか、御承知の範囲で説明を願います。  次に、県の青少年保護育成条例に関連して質問をいたします。  近年の県条例の改正により、テレクラ等を媒介とする少女売春の抑制が効果を上げてきたことは評価できると思います。また、今回の児童買春・ポルノ法案が成立すれば、子供を対象とした性虐待の排除に大きな効果を上げることができると考えられます。しかしながら、大人を被写体としたポルノについては引き続き問題であるとせねばなりません。  県条例では、いわゆる有害図書を指定し、少年への販売を規制しているのですが、現実には学校近くのコンビニエンスストアなど、子供の入手しやすいところで有害な図書が販売されているのが実態であります。露骨な性描写を内容とする雑誌などについては、子供から遠ざけるため、販売箇所の教育施設からの距離規制など、一層の規制の強化を図るべきと考えますが、条例を所管している生活環境部長の所見を伺います。  いずれにいたしましても、今問われているのは保護者、大人の姿勢であると考えます。先日、広島県三原署は、子供に家庭で喫煙を許していた親を未成年者喫煙禁止法違反で書類送検されました。この親は、外で吸われると世間体にかかわるとして、家で吸ってくれと言ったのであります。すなわち、子供を保護するよりも、自分の立場を保護するほうを選んだのでありますが、この事件のように大人の保護責任を問う姿勢を本県警察にも求めたいと思います。警察本部長の所見を伺います。  さて、テレビにつきましても、性描写や暴力描写の面で子供にとって問題と思われるシーンが大変多いように思われます。こうした問題場面を機械的に映らなくするVチップの導入の問題を検討していた郵政省の研究会が、テレビ局側による番組内容の自主規制を軸とした報告を最近まとめたと聞きますが、法律による規制が必要と考えておりました私としては残念に思います。しかしながら、自主規制の方向が出てきたことは一歩前進とせねばなりません。  このように、法律や条例による対策をまつ前に自主規制によって措置された例としては、たばこ、酒類の自動販売機の夜間停止、航空機やJRグリーン車の車内からヘアヌードが載った雑誌が排除されたところでありますが、加えて、医療機関や金融機関など公衆が集まるような場所においても、こうした雑誌について同様の対応を求めるべきではないかと考えます。社会全体に対して、子供に有害な雑誌等の自主規制を求める運動が必要であると思いますが、知事の所見を伺います。  次に、高等学校教育課題研究協議会の中間まとめなどについて質問をいたします。  昨年秋に設置され、高校をめぐる諸問題を検討していた本協議会は、このたび中間まとめを行いました。この中で、県立高校と私立高校の全日制生徒受け入れ比率を、平成13年度まで県立72.5%程度、私立23%程度とする富山県公私高等学校連絡会議の合意については、平成14年度以降も継続するとしていますが、再考が必要ではないでしょうか。  本県の生徒の急減状況は並大抵ではありません。この10年間で中学卒業者数は、全国平均で約15%の減少ですが、本県は1万9,000人から1万3,000人へと、30%もの減少となっています。近県の石川、福井、新潟がいずれも10%以内の減少にとどまっていることから見ても、かなり異常な数字であります。ちなみに順位をいえば、減少率は全国一であります。こうした状況の中で入学者の受け入れ比率を固定することは、経営という前提を持つ私立にとって問題ではないかと考えます。私立の募集定員の方針を尊重する公私比率に見直すべきでないか、所見を総務部長に伺います。  私学に関連して、助成の問題について伺います。  本県の私立高校が、多様な教育機会の提供、また教育水準の向上の面でも、その果たしてきた役割は大きなものがあり、今後とも重要な地位を占めることは改めて言うまでもありません。本県の私学助成は全国中位の水準にありますが、北陸の近県の中では最も低い値となっています。さきに述べました入学定員の公私比率の見直しを考慮しても、急激な生徒減少は私学の経営に大きな影響を与えるところとなります。私学助成の水準を相当程度引き上げることが必要でないかと考えますが、総務部長の見解を伺います。  また、現在、私立と公立の授業料格差について税制上の措置が検討されています。文部省は、私立高校の保護者について、最高で年額21万円の所得控除を要求しているやに聞いておりますが、どのような内容となっているのか、詳細がわかれば御説明願います。何らかの減税措置が講ぜられれば、保護者の授業料負担の軽減となるので歓迎したいと思いますが、このことはあくまでも保護者のメリットであり、私立学校経営の改善には直接には結びつかないものであることを確認いたしたく、あわせて伺います。  高等学校教育課題研究協議会の中間まとめで注目すべきは、中高一貫教育について、平成11年度来年度から中学校、高校から成る実践協力校を設け、実践的な研究を進めるとしているところであります。どのような地域でどのような中高一貫の形態を実践するのか、計画の内容を教育長に伺います。
     介護保険制度について何点か質問をいたします。  介護保険制度が、市町村が保険者となって実施されるスキームが定まったとき、多くの関係者が次の点を心配いたしました。まず第1に、小規模の市町村が保険者となる人的、財政的能力があるのかということ。第2に、介護サービスの水準に相当の差が出てくるのではないか。所によっては「保険あって介護なし」の危険性があるのではないかということ。第3に、保険者の規模の差や高齢者比率の差によって、保険料の水準に地域の差が出てくるのではないかということであります。  本県について見ますと、第1の点は、広域化が相当進み、小規模保険者ということは回避されたのではないかと思いますが、県として事務処理の広域化にどのような考えで臨んできたのか。また、現在のところ広域的な取り組みはどこまで進んだのか、厚生部長に伺います。  全国的に見ますと、福岡県のように町村が全県域での一元的共同化に取り組んでいるところもあれば、全く広域化が進展していない県もあると聞いていますが、こうした全国の状況に照らして、本県の広域的対応はどのように評価してよいのか、あわせて伺います。  また、知事は先日の県内35市町村長との会議の場で、広域的な取り組みへの支援について前向きな姿勢を示されたと聞いておりますが、どのような見地から支援を行うのか伺います。  次に、第2の懸念であったサービスの供給については、県、市町村とも優先順位を置いて施設の整備やヘルパーの養成に努力しており、また民間においてもその動きが出てきていることから、引き続き対応を進める必要がありますが、ある程度めどが立ってきているものと見ております。  私としていまだに納得がいかないのは第3の問題であります。すなわち、全国共通に定まる40歳から64歳までの被保険者の支払う2号保険料、これが月額約2,500円といわれておりますが、それに対して65歳以上の被保険者が支払う1号保険料は市町村ごとに定めるところとなっており、やはり人口規模や高齢化率によって保険料に差ができるのではないか。そのことが不公平感を生じさせるのではないか。保険料が安い地域ほど被保険者にとってよいというような考えになるのではないかということです。そうでないとすれば、何が保険料の水準に影響を及ぼすと考えればよいのか。保険料が高いとか低いとかということはどういうことを意味するのか、厚生部長の明快な答弁を願います。  最後に、行財政改革と第三セクター問題について質問いたします。  公社、公団、財団などを含めて第三セクターと呼ぶことといたしまして、この三セクについては、その性格上、3種類に分類できるのではないかと思います。  第1は、本来的に行政が行う事業であるけれども、独立させて専門性を高めていくほうが効率的であることから設置されるもの。この場合は、赤字、黒字という概念ではなく、その効率が問題になると考えます。  第2には、専売のような事例であり、歴史的、技術的に行政部門が独占していた分野を行政から分離することで自立させ、独立採算を原則とするものであります。この場合については、JR、NTT、JTのように、国では規制緩和及び行政改革の中で順次、民間株式会社化を図ってきたことは御承知のとおりであります。  第3は、事業の性格としては民間が担うべきものであるけれども、民間事業が脆弱なために、公的資本を注入することによって住民へのサービスを提供しようとするものであります。この場合は、民間事業が育ってきた段階で役割を終えていくものと考えられます。国においてもそのような対応がこれまでとられてきました。  このような観点から、現在県が50%以上出資等を行っている法人について、幾つかの質問をいたします。  まず自遊館、正式には富山勤労者総合福祉センターというのでしょうか、この施設については、その提供するサービスはフィットネスクラブ、ホテル、レストランであり、いずれも民間でもなし得る事業ばかりであります。本来三セクになじまない事業に思えますし、独立採算が建前であると聞いていますので、民間に任せることが可能なのではないでしょうか。自遊館はどのような観点から運営を三セクとしているのか、商工労働部長にお聞きいたします。  次に、現在、総合福祉会館、国際健康プラザが建設されておりますが、この2つの施設はいずれもいわゆる第三セクターによって運営されるものと承知しておりますけれども、この施設の建設費が大変大きい、そのこともさることながら、維持管理費が運営の考え方次第で増嵩していくのではないかという懸念を持っております。特に国際健康プラザは、研究、啓発、実践という多様な目的を持つ複合施設であり、それぞれの機能分野ごとに明確な運営方針が必要だと考えます。この2施設について、完成後はどの程度の年間運営費助成が必要となる見込みなのか。現時点で試算あるいは計画している数値を厚生部長に伺います。  さて、本県においては、行財政改革に占める第三セクターの取り扱いは大きな課題であると認識するものであります。県が50%以上出資等を行っている法人は40余りでありますが、これらについて、過去の経緯にとらわれることなく、現在及び将来の存在意義を見きわめて、類似業務を行う団体の整理統合や役割を終えた業務の廃止などを大胆に進めることが必要であり、このことについての総論は、知事も異論はお持ちでないと思います。困難なのは、目標を定め、各論を詰めることではないでしょうか。この際、公社や財団の数を半減するなどの目標について、期限を定めて取り組むことについての知事の御決断を求めて、質問を終わります。 41 ◯副議長(川島久一君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 42 ◯知事(中沖 豊君)山辺議員の御質問にお答えいたします。  最初は、少年の健全育成のための法整備等についての御質問でありますが、そのうちの、法律や条例による対策をまつばかりでなく、社会全体に対して自主規制を求める運動が必要であると思うがどうかという御質問にお答えいたします。  県としましては、これまでも、青少年保護育成条例によりまして、有害環境等に対して監視や規制を行ってきたところでありまして、テレホンクラブ等の営業規制の改正などにも取り組んだところであります。しかし、青少年の健全育成につきましては、御指摘ありましたように、法的な規制だけではなく、大人自身の反省と自覚のもとに、家庭、学校、地域社会が一体となって、県民総ぐるみで推進していくことが必要であると思います。  このために、具体的な取り組みといたしまして、有害な図書やビデオ等の販売の自粛要請を行うこと、またキャラバン隊などによる普及啓発活動を行うこと、さらに有害環境に関する関係業界との懇談会を開催することなどを実施してきているところであります。また、青少年育成富山県民会議、市町村民会議などにおきましても、関係者の皆さん方の御協力によりまして、有害環境の浄化活動などの県民運動に取り組んでもらっているところであります。  このように、法的な規制ばかりでなく、県民総ぐるみの自主的な県民運動が進められているところでありまして、今後とも関係団体等と連携、協力をしながら、さらに積極的に有害環境対策などに取り組んでまいりたいと考えております。  次は、介護保険制度の広域的対応等についての御質問のうち、知事は、先日の市町村長との会議の場で、広域的な取り組みへの支援について前向きな姿勢を示したと聞くが、どのような見地から支援を行うのかという御質問であります。  介護保険制度の広域的な取り組みにつきましては、まず、訪問調査員や介護認定審査会委員の専門性の向上により、より公平な介護認定が可能となること、次に保険財政が安定的に運営できること、さらに人件費や物件費等の経費が節減できること、またサービス供給の体制づくりが図りやすいことなどから、積極的に推進すべきであると考えております。このため、これまでも市町村に対しまして、広域的取り組みのメリットなど必要な情報を適時適切に提供してきたところであります。  また、県としましては、市町村の広域的な取り組みの動きにこたえまして、それぞれの準備組織に対しまして事務的経費等の補助を行うということにいたしておりますし、また、事務処理システムの広域化により必要となるセキュリティーデータ交換システムの開発への補助なども行うことにしております。  いずれにいたしましても、今後とも適切な運営が図られまして、住民福祉の推進が進むことを心から願っているところであります。  次は、行財政改革と第三セクター問題についての御質問のうち、県としてもこの際、公社や財団等の数を半減するなどの目標について、期限を定めて取り組むべきではないかと思うがどうかという御質問にお答えいたします。  新行政改革大綱におきましては、公社等の外郭団体につきまして、その設立の目的、業務の性格、内容、活動の実態等について検討し、類似の業務を行うものや既に目的を達成したと思われるものの統廃合や、業務運営の効率化など、必要な改善を進めることとしているところであります。  これまでも、平成7年度には農業関係財団を富山県農業公社に、平成8年度には中小企業関係財団を富山県中小企業振興財団に、平成10年度には水産関係財団を富山県水産公社にそれぞれ統合したのでありまして、関係団体の統合・改組に積極的に取り組んできたことを御報告申し上げたいと思います。さらに、現在、来年度に開館する国際健康プラザの運営につきましても、新しい管理財団を設立するのではなくて、既存財団の再編で対応するように鋭意検討をいたしております。  外郭団体の削減の目標について、期限を定めて取り組むべきではないかという御意見でありますが、それぞれの団体は特定の目的のもとに計画的に業務を進めてきておることなどもありまして、削減の目標を置いて期限を定めて取り組むということは、やはり困難であろうかというふうに思っております。  いずれにしましても、県としましては、各団体が設立の目的を達成するために効率的な運営を行うよう、さらに適切に指導、監督をしてまいりたいと考えておりますし、また、新行政改革大綱などに沿いまして、団体の整理統合につきましても積極的に検討を進め、可能なものにつきましてはその統廃合を行ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、行財政改革につきましては、県庁のみならず、外郭団体につきましても積極的に取り組んでいくという考えで、これからも努力したいと思っております。  以上であります。 43 ◯副議長(川島久一君)金高警察本部長。    〔警察本部長金高雅仁君登壇〕 44 ◯警察本部長(金高雅仁君)少年の健全育成のための法整備等につきまして、3点お答え申し上げます。  まず、現行の法律、条例のもとでの子供を対象とする買春及びポルノに対する規制、さらに警察の対応、また少年にかかわる犯罪の数の推移についてお答え申し上げます。  現在、県警察では、18歳未満の者を対象とする買春──いわゆる何らかの代償を供与して性行為等を行うそういう行為でございますが──については、児童福祉法上の児童に淫行させる行為の規定、あるいは県青少年保護育成条例上のみだらな性行為の禁止規定を適用し、またポルノにつきましては、刑法上のわいせつ物頒布罪等に問えるものについて、これらを適用して取り締まりを行っているところでございまして、本年は11月末現在で、児童買春などの行為をした者60人を検挙いたしております。  また、少年にかかわる事件の数の推移についてでございますが、本年検挙・補導いたしました非行少年の総数は、11月末現在で1,778人となっておりまして、既に昨年1年間の1,676人を102人上回り、また一昨年の1,723人を55人それぞれ上回っておりまして、過去5年間では最悪の状況というふうになっております。  一方、本年県警察が検挙いたしました事件のうち、少年が被害に遭ったものについて見てみますと、強姦、強制わいせつ、売春等の性暴力被害を受けた少年は72人で、うち児童買春の被害者となった少年は49人となっておりまして、この推移については、ここ数年はおおむね横ばいの状況ということでございます。  県警察といたしましては、現在、少年非行が戦後第4の上昇期を迎え大きな社会問題となっており、また、児童買春や児童ポルノを許さない社会づくりの機運が国内外に高まっていることなどを踏まえまして、少年問題対策を強化するために、県教育委員会、少年警察ボランティア等の関係機関・団体と連携した一層強固な少年サポート体制を確立することといたしております。また取り締まり面におきましても、引き続き、少年に性的被害を与える事犯については関係法令を積極的に活用し、これに当たることといたしております。  続きまして、現在国会で審議されております児童買春や児童ポルノ等を規制する法律の内容について簡単にお答え申し上げます。  「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律案」については、本年5月22日、議員提出議案として第142回通常国会に提案されまして、現在、継続審議になっていると承知しております。  その法律案は、18歳未満の児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰し、少年の権利等を擁護することを目的としておりまして、児童買春、児童買春の周旋・勧誘、児童ポルノの頒布及び児童買春等を目的とした人身売買などの行為を、直接法律をもって規制し、あわせてこれらの行為の国外犯も処罰対象とするなどの内容となっております。  次に、先日広島県で、子供に家庭で喫煙を許していた親が未成年者喫煙禁止法違反で書類送検されたことに関しまして、こうした大人の責任を問う姿勢を本県警察にも求めたいがどうかというお尋ねについてお答え申し上げます。  飲酒、喫煙経験を持つ少年の非行率が高いことから、県警察では街頭補導活動等を強化し、現場での注意、助言を行うとともに、必要に応じて継続補導を実施しているところであります。  この少年の飲酒、喫煙の問題については、議員御指摘のように、少年のみでなく、大人側の姿勢が大変重要であるというふうに考えております。このようなことから県警察におきましては、少年が飲酒または喫煙することを知りながら酒やたばこを販売、供与した事案につきましては、未成年者飲酒禁止法あるいは未成年者喫煙禁止法違反により、過去5年間に保護者や販売業者など34人を検挙いたしております。また、酒類及びたばこの販売業者等に対しまして、対面販売の徹底など少年の健全育成に配意した販売等をするように働きかけを行うほか、少年の飲酒及び喫煙の防止について、関係機関・団体と連携して広報啓発活動を推進し、広く大人社会の注意を喚起しているところでございます。  以上でございます。 45 ◯副議長(川島久一君)松本生活環境部長。    〔生活環境部長松本 寛君登壇〕 46 ◯生活環境部長(松本 寛君)少年の健全育成のための法整備等のうち、有害図書等について県として一層の規制強化を図るべきでないかというお尋ねにお答えいたします。  議員御指摘のとおり、近年、いわゆるポルノ雑誌やビデオ等がはんらんし、その内容も過激さを増しております。このような現状については県としても非常に憂慮しているところでございます。このため、これまでも青少年保護育成条例により、有害環境等に対し監視や規制を行ってきたところであります。  具体的な取り組みとしましては、青少年育成富山県民会議など関係団体と連携し、1つには書店やコンビニエンスストア等への立入調査の実施、2つ目に有害な図書やビデオ等の販売の自粛要請、3つ目に、自動販売機設置に係る地域住民への協力などを実施してきたところでございます。  なお、今後は、有害基準や有害指定方法の見直しなど効果的な規制のあり方について、県警とも協議しながら、青少年保護育成審議会の意見をお聞きし、検討していきたいと考えております。  いずれにしましても、青少年の健全育成については、法的な規制だけではなく、大人自身の自覚と反省のもとに、家庭、学校、地域社会が一体となって、県民総ぐるみで取り組んでいかなければならない問題だと考えております。  以上であります。 47 ◯副議長(川島久一君)江畑総務部長。    〔総務部長江畑賢治君登壇〕 48 ◯総務部長(江畑賢治君)高等学校教育課題研究協議会の中間まとめ等についての質問のうち、私学関係の3問につきまして答弁申し上げます。  まず、公私比率についてでございますが、県立高校と私立高校の入学定員の割合いわゆる公私比率につきましては、私立高校関係者と教育委員会、総務部で構成いたします富山県公私立高等学校連絡会議において、平成13年度までについて公私間の合意により決定されておりまして、その内容は、私立高校についていえば、高等学校等進学予定者の23%を私立高校9校が受け入れることになっているところでございます。  公私比率の決定に当たりましては、中学校卒業予定者の将来的な推移を踏まえ、私学経営に及ぼす影響に配慮する一方、県民の県立高校や私立高校に対する入学希望についても十分に考慮されているものでございます。  平成14年度以降の公私比率につきましては、これまでの経緯を基本としながら、社会情勢も踏まえ、今後公私連絡会議の中で十分協議してまいりたいと考えております。  続きまして、私学助成についての御質問にお答え申し上げます。  私学を取り巻く環境は、生徒減少期の中で非常に厳しい状況にあると考えております。このため県といたしましては、保護者負担の軽減を図るとともに、私学経営の安定を維持するために、経常費補助金をはじめとする各種助成策の充実に努めてきたところでございます。特に経常費助成につきましては、国庫補助金や地方交付税により国から財源が措置されているものをベースとしながら、さらに県単独で上乗せ補助を実施しており、この結果、平成10年度の私立高校生徒1人当たり経常費補助単価は、当初予算時点では28万8,979円と、全国第16位となっているところでございます。  私学助成につきましては、余りに大幅な公費助成は私学の自主性を損なうのではないかという見方もあるところではございますが、一方では、私学の自主的な収入である授業料、すなわち保護者負担の増額には限界もあるところでございまして、県としましては、本県私学の厳しい経営状況を踏まえつつ、こうした点を十分考慮に入れながら私学教育を支援してまいりたいと考えております。  続きまして、私立の授業料につきましての税制上の措置についての御質問にお答え申し上げます。  御質問の税制改正は、文部省が平成11年度の私学関係税制改正要望の中で、私学教育費減税として新たに打ち出しているものでございます。現在国において検討が進められているところであり、詳細な内容は明らかではございませんが、その概要は、所得控除の項目に新たに私学教育費を設け、国公立学校の平均授業料と私立学校の平均授業料の差額を上限として、私立学校に通う学生、生徒、園児の保護者の所得税、住民税の軽減を図るというものでございます。  県が取り組みます私学助成は、補助金交付や低利融資といった財政面からの施策でありまして、税制上の優遇措置となる私学教育費減税とは異なる施策ではございますが、私学教育の支援という観点からは、いずれも保護者負担の軽減を念頭に置いており、その意味では軌を一にするものとは考えております。  ただ、私学助成に関しましては、保護者の負担の軽減に加えまして、特色ある学校づくりなど教育条件の向上や、学校経営の安定という視点からも充実を図ってきているところでございまして、今後ともこうした点を踏まえ、引き続き充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。 49 ◯副議長(川島久一君)飯田教育長。    〔教育長飯田宗映君登壇〕 50 ◯教育長(飯田宗映君)中高一貫教育実践協力校についての御質問にお答えいたします。  平成11年度に設置する実践協力校については、将来の中高一貫校に直ちにつながるものではなく、現在の教育制度の中で、中学校と高校の間の円滑で望ましい連携のあり方を探ろうとするものであります。  対象とする地域については、中学校と高校の間に教育活動や生徒の進路などのうえである程度のつながりがある、そういう地域が望ましいと考えております。  それからまた、具体的な研究の内容としては、中学校と高校の教員が互いに相手校で授業を行うこと、生徒のほうも互いに相手校の学校行事に参加すること、さらには合同でボランティア活動を行うことなどの交流の形態を考えております。  県教育委員会といたしましては、これら実践協力校における研究の成果を踏まえて、本県における中高一貫教育の望ましいあり方について慎重に検討してまいりたいと、このように考えております。  以上であります。 51 ◯副議長(川島久一君)原厚生部長。    〔厚生部長原 徳壽君登壇〕 52 ◯厚生部長(原 徳壽君)介護保険制度の広域対応等についての御質問のうち、まず、広域的取り組みの現状とその評価についての御質問にお答えいたします。  介護保険制度におきまして広域化の取り組みは非常に重要でございまして、積極的に推進すべきという考えのもと、市町村に指導、助言を行ってまいりましたが、現在次のような状況になっております。  1つ目に、まず砺波高齢者保健福祉圏域12市町村、2つ目に新湊市と射水郡3町1村、3つ目に上新川郡と婦負郡の4町2村、4番目に中新川郡3町村、5番目に黒部市と下新川郡3町、この5つの地域が広域保険者として、保険料の賦課をはじめとする事務を広域で処理することで合意しております。このうち4つの地域につきましては既に準備組織を発足させておりまして、残る1つの地域につきましても年内に準備組織を発足させるという見通しでございます。これをもって本県の広域化はすべて決定いたしまして、5つの広域保険者を加えまして、合計10の保険者により介護保険制度が運営されることとなっております。  また、広域的な取り組みに対する評価についてでございますが、広域化の対応にはさまざまな形態があるわけですが、全国的には介護認定審査会の共同設置にとどまる地域が多い現状から見ますと、本県の広域化の状況は、1つに、すべてのブロックにおいて保険料の賦課徴収までを共同処理する広域保険者という形態となったこと。2つに、広域保険者が合わせまして4市26町村、県下の人口の5割近くをカバーする状況であること。また3つには、各広域保険者の規模が、保険制度の安定的な運営に必要な規模を確保しつつも、住民に密着した介護サービスの提供の観点からも望ましい規模となったこと。これらなどから、市町村の積極的な取り組みによりまして十分評価できるものとなったと考えております。  続きまして、介護保険1号保険料の水準に影響を及ぼす要因はどのようなものがあるのかという御質問でございます。  65歳以上の保険料、これが1号保険料でございますが、これにつきましては、代表質問でもお答えいたしましたが、大まかに言いますと、保険者の算定する保険事業費の17%を65歳以上人口で割って定めることとなっております。言いかえますと、分子に事業費、分母に人口という分数で決まってくることになります。また、今の分子の事業費といいますのは、提供される介護サービスの費用と言いかえることもできようかと思います。  したがいまして、御指摘がありました、まず人口規模についてでございますが、人口が多くなりますと分子の介護サービス量も増加しますけれども、分母の人口も増加するということから、保険料水準には影響しないということになろうかと思います。  次に、同じ高齢者の人口でありましても、高齢化率が異なりますと変わるのではないかということですが、この高齢化率については、特に要介護者の発生率が高い75歳以上人口比率、これを後期高齢者率といっておりますが、これを中心に国のほうで財政調整をかけるということになっておりまして、高齢化率の差では保険料水準には影響が出ないシステムになっております。  あわせますと、高齢者人口の量、あるいはその高齢者人口の中での年齢構成だけでは、保険料水準には影響が出ないということでございます。  また、施設サービスの基盤量につきましては、サービスの利用の形態が従来の措置制度から契約へと変化いたしまして、施設サービスの利用が平均化されますことから、保険者間の保険料水準に大きな影響を及ぼすとは考えられないところでございます。  そうしますと、逆に保険料水準に影響が及んでくる要因につきましては、次のような場合が考えられます。  まず、介護サービスの必要量が全国平均と異なる場合。この場合は、全国平均と異なる率で要介護者が発生する場合、あるいは、介護の中での介護度の高い低いの分布が、非常に重い要介護者が多いのか軽い要介護者が多いのかというその偏りの度合い、このようなところが影響をしてまいります。例えば、ふだんから健康づくりに熱心で、ねたきりの方がごく少ない地域、あるいはその逆のケースでは、保険料が安くなったり高くなったりするということでございます。  次に、要介護者のサービスの利用意向や利用実態が偏っておりまして、介護サービスの種類による影響が考えられます。例えば、在宅サービスと施設サービスでは、施設サービスのほうが介護報酬が高く設定されておりますので、施設サービスニーズが高い地域のほうが保険料は高くなる。また同じ施設サービスでも、特別養護老人ホーム、老人保健施設、また療養型病床群等ではそれぞれ介護報酬に差がございますので、その利用構成比によって保険料が安くなったり高くなったりするという、このような場合。  さらに、在宅サービスの基盤の整備水準が低い場合。この場合は介護サービス量が制限されることになりますから、保険料は安くなるということになろうかと思います。  したがいまして、保険料水準がこれらの要因の組み合わせによって決まってきますことから、保険料が高い安いをもって、直ちに被保険者にとってよい悪いとは一概にはいえないと考えているところでございます。  なお、基本的な介護サービスの給付水準につきましては、保険者間で大きな格差が生じることは望ましくないと考えておりまして、本県におきましては、広域保険者を含む10の保険者が制度運営を行うこととなっておりますため、県下の保険料水準は相当程度平準化されるものと期待しておりますし、さらに、保険者の策定いたします保険事業計画への助言、指導、あるいは計画的な基盤整備の推進によりまして、より一層給付水準が平準化されるのではないかと考えているところでございます。  続きまして、行財政改革と第三セクター問題についてのうち、総合福祉会館と国際健康プラザについての年間運営費助成がどの程度かという御質問でございます。  まず、仮称でございますが、総合福祉会館につきましては、住民と行政が一体となって地域総合福祉を推進するため、1つにボランティア活動などの推進、2つに福祉マンパワーの養成・確保、3つに福祉機器情報、介護知識等の福祉情報の受発信を行う中核施設として整備しているところでございまして、平成11年の秋の完成を目指しております。  この総合福祉会館の中には、福祉総合相談センター、福祉カレッジ、ボランティアセンターなどを設置しますほか、福祉機器モデルルーム、福祉図書館、福祉情報システムなどの施設や、県民に対してふれあいの場を提供する観点から、県民福祉ホールや県民サロンなども設置することとしております。さらに、富山県社会福祉協議会をはじめといたしまして、福祉関係団体も多数入居することにしておりまして、相互に連携を図りながら県民に対する福祉行政の一層の推進を図ることとしております。  この総合福祉会館の年間運営費につきましては、一定の維持管理費はかかる一方で、収益面では、会館の性格上、多くは見込めないものと考えております。
     また、仮称でございますが、国際健康プラザにつきましては、1つに、健康づくりの大切さを展示や機器を通して学習する生命科学館、2つに、個々人の健康状態に応じた健康づくりを支援し実践する健康スタジアム、3つに、世界の伝統医学を健康づくりに活用する調査研究を行う国際伝統医学センター、この3つの施設から成る複合施設でございます。そのため、建物の延べ面積や外の緑地広場等、管理面積も相当な規模となっております。  このため年間運営費も多額になることが予想されますが、健康づくりに対する県民サービスの低下を来さないように、運営面において創意工夫を凝らし、経費節減に努めてまいりたいと考えております。  両施設の管理運営に要する経費につきましては、いろいろ工夫しながら経費節減のために知恵を絞っているところでございますが、例えば開館時間を変更することで随分と経費も変動がございまして、現時点では金額を申し上げる段階ではないので、御了解をお願いいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、それぞれの施設の特色を最大限に生かしながら、最少の経費で最大の効果が上がるように努めてまいりたいと考えております。 53 ◯副議長(川島久一君)高原商工労働部長。    〔商工労働部長高原一郎君登壇〕 54 ◯商工労働部長(高原一郎君)行財政改革と第三セクター問題の御質問の中で、自遊館について、いわば民業圧迫ではないかという御質問がございましたけど、お答えを申し上げます。  とやま自遊館は、国の労働福祉政策の一環といたしまして、勤労者のための職業相談など各種の相談、あるいはまた職業情報の提供をはじめ、教養・文化、研修並びにスポーツ、健康増進の場を提供することにより、福祉の充実と勤労意欲の向上を図り、雇用の促進と職業の安定を図るということを目的に、県と富山市の設置要望に基づきまして設置をされたものでございます。  また、自遊館は公共的な要素が多いということから、その管理運営につきましては、国の勤労者総合福祉センター設置計画基本方針などによりまして、法人などに委託をするものというふうになっておりまして、これに基づきまして、既に設置されている、勤労者の福祉増進を目的とする第三セクターの財団法人富山勤労総合福祉センターへ運営委託をしているものでございます。  なお、宿泊施設、レストランなどにつきまして御指摘がございましたけれども、民間とのかかわりにつきましては、勤労者福祉という公共施策的な趣旨、目的を踏まえつつ、設置決定後、運営開始に至るまでの間、施設内容あるいは利用料金などにつきまして、周辺の類似施設との均衡を考慮しまして、また、旅館組合あるいは観光協会など各関係機関とも十分に協議を重ね、現在に至ったところでございます。  なお、自遊館は、駅北地区の活性化やあるいはにぎわいにも一役買っているんではないかというふうに考えておるところでございます。  ただ、しかしながら、一般論としては、産業振興あるいは行財政改革などのため、行政サービスについて、民と官との役割分担というものにつきまして検討が必要なところだと考えておりまして、今後は、県あるいは広く公共セクターの事業は民間が行わない活動に制限するなど、民間活動を補完をするものに限っていくという方向での見直しが必要なものと考えておりまして、さらに考え方の整理というものを十分行っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。 55 ◯副議長(川島久一君)犬島 肇君。    〔36番犬島 肇君登壇〕 56 ◯36番(犬島 肇君)最初に教育について伺います。  いじめ・不登校など義務教育における生徒児童のいわば反乱は、全国各地で小学校の「学級崩壊」という、いわば究極の発現形態となっております。児童たちが突然キレてしまい、担任の指導を受け入れなくなって授業が成立しないというまさにホームの崩壊が、高岡市教育委員会では2例が確認されたといいます。県教委はこの学級崩壊を全県的に把握しているか、あるいは学級崩壊寸前の兆候を具体的に把握しているか、お尋ねをします。  教育委員会はこのような困難に直面すると、親も悪い、地域も悪いなどと、家庭や地域に責任を転嫁します。いつの時代も家庭や地域に問題がありました。戦前は、貧困や、父親が戦地へ出征する、その他の困難がありました。敗戦後には食糧難や世界観の大動転などがありました。しかし、教育に責任を負う最高の権威者たちが家庭や地域に責任を転嫁する浅ましい時代、教育行政機関にある者が評論家風に世間の風潮のせいにして積極的な改革・改善の努力を怠るような時代はかつてあったでしょうか。学級崩壊などという最大の困難に直面して、改めて義務教育における30人学級の実現が緊要な課題であることを強調したいと思います。せめて、環境が変わって落ちつかない小学校1年、中学1年だけでも30人学級が急がれます。必要な予算はおよそ19億円余にすぎません。それが教育行政の要路にある者の責任ではないでしょうか。  ところで、若い生命体としての生徒児童を取り巻く環境も恐るべき状況になっています。ダイオキシンが、女性にあっては子宮内膜症を、男性にあっては精子の著しい減少を惹起すると報告されておりますが、富山市内のある県立学校の養護教諭の報告によれば、著しい生理痛を訴える女生徒に専門医の診断を受けるように勧めたところ、子宮内膜症との診断が確定した者が4名、その疑いがある者を加えると7名に及び、ダイオキシンなど環境ホルモンの深刻な影響を考えざるを得ないといいます。  県教委は、富山県内の高校女生徒の子宮内膜症の発症を統計的に掌握しているのでしょうか。また、今後この実態調査に乗り出す意思があるか。加えて、中沖知事は、富山県が目指すロマンとして健康日本一を掲げるだけではなく、環境分野で環日本海地域に貢献する富山県を目指しているのであるから、環境ホルモン、ダイオキシンと子宮内膜症などとの相関関係を科学的にたどるのみならず、早期発見と適切な治療など積極的に推進する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。  学校の保健室は生徒たちの駆け込み寺となって、その積極的な役割が認識され始めて久しいのであります。また、中学生、高校生たちの生活に昼夜逆転の傾向が発生するなど、生活形態が変貌し始め、保健室が生徒児童みずからの命と健康などに関する学習の場、教室に勝るとも劣らない役割を認める必要が出始めていることを強調します。養護教諭の複数配置は、したがって緊急課題であります。県教委の計画、意思を尋ねます。  加えて、今年度から開始した心の健康相談活動支援事業は、現場の教師たちにとっては手続が煩雑なために極めて使い勝手が悪い、つまり官僚的なのであります。手続を簡略化し、生き生きとした人間の血が通う仕組みにしなければ予算が死蔵されることを指摘しておきたいと思います。  ところで、県教委が発表した「文部省委嘱等事業の不適正会計処理について」という一連の文書は、県民の常識からすれば極めて奇怪な文書であります。あらかたの県民は、先生たちの中でも一番偉い立派な人たちでもこのような不正な公金の使い方をするのかと怒っています。カラ出張などになれて県民は怒りを示さなくなったと考えたり、頭を下げてこの嵐を通り過ぎれば何とかなるという事態ではないのです。事は教育者の責任のとり方が問われているのであります。県民の子弟の教育をつかさどる富山県教育委員長や教育長は、県民の負託に対しては知事以上に重大な責任を負っております。県教育委員長や教育長は県民の内面、精神、心に至るまで、いわゆる指導力を発揮するからであります。特別公務員である八木教育委員長は通り一遍の談話を発表し、関係職員を処分し、公務員である教育長は「公務員倫理の徹底等について」の通達を発したことで一件落着とすることは、全く許されません。  お尋ねするが、八木教育委員長も飯田教育長も長い間教壇に立ち、生徒たちに対して訓辞を垂れてきた者としてはどのような責任を感じ、反省をしているのか。このたびの事件はガット・ウルグァイ対策予算のカラ出張事件から全庁調査に及んでいった期間のものも含まれているではないか。全庁調査では県教委4課に処分が及んだといいますが、伝統的に教師が課長となっている指導課は、知事部局が事件解明から全体への奉仕者として再生する苦悩に満ちた真剣な取り組みを歩んでいったのに、それを対岸の火事と見ていたのではないか。教育にかかわる者は、だれよりも、どの部局よりも内面的な退廃は許されないとの緊張が求められたはずであります。しかも、このたびの調査では現金が隠されていたことがわかり、ある種の裏帳簿の存在が推定できる結果もはっきりしました。お札がぞろぞろ出てくるずさんさは目を覆うばかりのものがあります。まるでへそくりのようじゃありませんか。まして教育委員会指導課は、学校現場の教職員から見るならエリート中のエリート集団であって、エリートたる者の責任と倫理は他のだれよりも鋭く問われるはずであります。私は、八木教育委員長並びに飯田教育長が潔く引責辞任するように求めるものであります。(「この前就任したばっかりじゃないか」と呼ぶ者あり)今そういう冗談は、真剣なときに言うもんじゃありません。  今、「潔い」という言葉も死語になりました。この日本人の古典的なモラルは教育界によって復活させられるべきであります。学校現場などに通達を出すに至っては、中国のことわざにいう「顧みて他を言う」「左右を見て他を言う」のたぐいであります。百遍の通達よりも潔い行動のほうが、よほど現場の教師たちに深い感動を呼ぶのではありませんか。もちろん文部省の予算システムが地方の実情に合わないといった点などの改革は、これを強く文部省に要請していく必要がありますが、この点はどのように考えているのか伺っておきます。  今、富山県立水産高校が新たに学科を再編成しなければならないように、時代の変化に対応して教育も変革を迫られています。このときに当たり、大物校長などと世評のある人物は、このような水産高校や盲学校・ろう学校などへ思い切って配置して、長きにわたって「御三家」などへ転勤するルーチン、陳腐化した人事を改めるべきと思います。かつて教育長だった知事はどう考えておられますか。教育委員長はどう考えておられますか。  この際試しに教育長に聞きますが、指導課長や指導課主幹などを経て校長になった人物は過去20年に何人いるか。また、その中で御三家の校長、高校長協会の会長などになった人間は何人いるか。このような学閥・官僚支配的人事が現場に大きな閉塞感をもたらしていることは言うまでもありません。この際、学閥・門閥などにとらわれない人事を行うように強く求めたいと思うのであります。  次に、農業に入ります。  ことしの異常気象は都市部に大水害を引き起こし、農業ではホウレンソウ、白菜など葉ものに壊滅的な打撃を与え、転作大豆も壊滅的な被害を受けました。殊に大豆については平成2年、3年に次ぐ大被害でありましたが、知事及び農水部長が関係被害農家に温かい配慮をされたことを称賛したいと思います。  大豆はエンレイを植えているわけでありますが、かつて大豆生産県としては全国に知られた富山県ではあるが、米輸入自由化と米余りの中で減反転作が30%にも及んで、農家の苦悩は深刻であり、ことしの被害が厭農気分を助長しないか心配されます。富山県は米にかわり得る唯一の作物として大豆を奨励しているのでありますが、こう幾度も異常気象の被害に遭うと、エンレイ品種が富山県に合うのか合わないのか改めて疑問を感じます。また、エンレイがよいとしても、品種改良によって多少雨風が強くても耐え得る品種が開発できないものか、県の努力を求めたいと思います。  本県は大豆の共済加入率が84%と高く、農水省も富山県の努力を評価しておりますが、さらに共済に加入する仕組みの努力はできないか。また、共済の加入に当たっては、農家単位ではなく一筆ごとに加入できないか、積極的な検討を求めたいと思います。  次に、農業のコスト低減は、まず何よりも農家の生産コスト低減効果を目指す必要があります。野菜などの出荷に際して農家は品物を一々段ボール箱に詰めなければなりませんが、その段ボール費用は農家の負担となり、その後始末にも厄介なありさまであります。  そこで、この段ボール箱詰めをやめて強化プラスチックなどの通い容器に変えられないか。そうすれば、農家の生産コストにも、環境へ与える影響の点でも大きなメリットがあります。この通い容器の使用について県が市町村、農業団体と協力して費用負担すれば、農家にも大いなる支援になると思われます。積極的な御回答をいただきます。  農協の不祥事件は、ほとんど毎年吹き出物のように発生しており、新聞に報道されたものだけでも、中沖知事就任の1980年11月以来20件以上に及びます。JA道下信用農協の債務超過事件はその最たるものであります。事道下に関しては、昭和51年に不正融資によって13億円余の損失を発生させ、県がこのときJA富山信連に5億円預託して、富山信連が10億円低利融資し、その利ざやで再建を図りました。しかし平成元年、農協法が改定され株取引が可能になるや、平成2年6月までに道下は株取引で3億6,900万円の損失を生じさせていました。昨年6月県が検査を行った際、証券の評価損は7億8,200万円となっていることが発覚しました。  そもそも、農業協同組合法によれば、農協が有価証券取引業務を行う場合には行政庁の認可を受けなければならないと定められているのでありますから、今回の道下信用農協の超過債務事件については、監督官庁である富山県の責任も免れないのであります。また、昭和51年に発覚した際の損失事件では、富山県の監督責任が明確ではなかったのではないか。今回の事態は、信連へ10億円程度の低利融資を行うことで、農協系統の信頼性確保のための相互援助制度に積み立てさせるものであるといいますが、間接的とはいえ県財政が危機的な状況の中で10億円余の予算を執行するのでありますから、事は重要であります。  監督行政庁としての富山県の責任をまず明確にされたいのであります。また、検査・監督業務の改善が急がれるが、どのように対策を講ずるのか示されたいのであります。  さて、日本農業がWTO体制に組み込まれ、食管制度が解体されてから、富山県農業はさまざまな困難に直面するに至りました。特に大型経営農家にその矛盾が象徴的にあらわれています。耕作を委託される田んぼは行政区を越えて飛び飛びになっていて、しかもそれらを合計すると50町歩に及ぶという農家もあり、過労死した農家もあると聞きます。また、大型農家はコスト低減に必死に取り組まなければ、米価の下落や転作作物の拡大に対応し切れなくなります。ことしのように大豆転作が拡大されると、政府も県も大豆コンバインの導入のために補助金をつけるのでありますが、この大型機械もほぼ農協系統を通じて購入することとなります。商系も同じ機械を取り扱っていてもなかなか落札できない現状があるため、コスト低減につながらないとの悩みが農家にはあります。  そこで、過去5年間、政府や県の補助金がついている農機具などで、農協などから落札したものと商系から落札したものとを金額で比較するとどのようなデータとなるか、明らかにされたいのであります。  また、公正な競争原理が働いてこそ、大型農家や営農組合などが機械の購入でもコストを下げることができるのでありますから、県としては農協と商系との間の公平な競争原理を働かせる努力がどうしても必要であります。どのように今後指導されるか方針を示されたいのであります。  次に不況問題であります。  今次の不況は戦後未曾有のもので、富山県の財政出動もかつて例のない大規模なものになったわけであります。しかし、公共事業中心の不況対策が地域経済に有効かとなれば、我が党も首をかしげざるを得ないと思っています。  ともあれ、不況列島日本の中で、北海道が最も深刻な不況地域といわれてきましたが、ここへきて北陸が最も深刻な不況をかこつ地域となりました。殊に高岡地域は、巨大な産地を形成しているアルミ関連産業と銅器・漆器などの伝統産業が不況の直撃を受けています。しかし、この不況を乗り越える努力が、同時に新しい時代を用意するものにならなければならないことは言うまでもありません。この見地から具体的に提言をいたします。  公共事業による道路、河川、港湾等々の工事も一定の効果をもたらすことは言うまでもないとして、アルミ製品の消費という視点に立つ不況対策を重視するべきであろうと思います。学校の修築などいろいろと知恵を働かして、公共施設の改修などでアルミを積極的に使うことを意図的に計画するべきではないでしょうか。  次に、高岡銅器・漆器業界を調査しますと、その不況が実に惨たんたるものであることを痛感します。この時期にこそ、これまで実現しなかった課題に向かって全力を挙げるべきであろうと思います。  高岡は銅器・漆器の産地としてイメージがどうかといえば、全国的に見てみると弱いと思います。80年代、通産省の地場産業・中小企業対策が大きな変化を見せました。個々の企業に対する金融・制度融資一本やりだった政策が、地場産業の地域化、産地イメージ形成にシフトしたのであります。その結果、各地に地場産業センターなどがつくられていきました。  例えば岩手県は南部鉄器の産地でありますが、盛岡市へ行くと、何と小岩井農場の隣に「盛岡手づくり村」と名づけられたゾーンがあります。これは高岡市の地場産センターと同じ予算を使ってつくられたものであります。富山県の場合はその名前も「地場産センター」と、芸のないことおびただしいものであります。かくして高岡市の伝統・地場産業は強力な産地イメージを必ずしも十分に形成することなく、個々の企業が個々に取引を続けていく流れを変革することができなかったのであります。  今、銅器・漆器業界は、何としても強力な産地イメージを発信したいと切望しております。しかし、これは民間だけではできないことであって、行政の積極的な支援が必要であります。例えば、富山といえばチューリップというあいさつが返ってくるほどチューリップに力を投入したように、高岡銅器・漆器に産地としてのイメージを形成する努力をされたいのであります。  次に、この伝統産業を振興するうえで最も大事なことはデザインです。故ケネディ大統領の経済顧問として有名なガルブレイズがイタリアのボローニャのデザイン産業の隆盛に注目して、「デザイン産業こそは第四次産業だ」とさえ言っております。テクノポリス政策の理念にデザインを掲げたことは正しい方向性を目指したものだったといえます。IDCを高岡に置いたのも正しい選択であったと思います。このたび高岡にとやま総合デザインセンターを建設するのも期待されます。そこで、以下2点お尋ねします。  第1に、高岡市が銅器・漆器職人を育成するために、独自にマイスター制度を導入する努力を開始しましたが、これは予算の面でちょっと不足な感じがします。富山県がもっと力強く支援するべきではないかと思います。それがまた「人材育成」を掲げる富山県としてはとても大切な課題だと思います。  第2に、とやま総合デザインセンターを建設・運営するに当たり、富山市のガラス工芸、八尾の和紙など、異業種のデザイン感性との交流などを盛んに進めることや、こうした一見全く異業と思われるような分野との交流を進めることによって、ハイテク、ハイタッチ産業の中心地として高岡が、新時代に飛躍できる確実な基礎を切り開くようにお願いをしたいと思います。そして、国立高岡短期大学、高岡工芸高校などとも交流が進むように、カリキュラムを編成してもらいたいと思います。  最後に財政問題です。  富山県財政では、政府系高利の借り入れが財政の桎梏の一因となっております。例えば、7%超ものという高金利のものが191億円に達しております。この点では我が党も微力ながら全力を尽くして取り組みを行っておりますし、知事の奮闘も率直に歓迎したいと思います。  私は今月2日、我が党の市町村議員と一緒に自治省へ行き、高利の政府資金の低利への借り換えを認めてほしいと要望してまいりました。自治省の担当官は、「まだ内部での検討の段階であって、結論は言えません。原資は郵貯、年金であることを考えてください。しかしながら個々の自治体によって検討します」と答え、手ごたえを感じて帰ってきました。この問題は、単に県だけではなく市町村なども深刻で、加えて公営企業金融公庫の借り換え条件も緩和する課題があります。  これまでの知事の努力を多としながら、市町村の財政危機打開をも視野に入れ、引き続いて知事の御奮闘をいただきたいと思います。  以上をもって質問を終わります。 57 ◯副議長(川島久一君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 58 ◯知事(中沖 豊君)犬島議員の御質問にお答えいたします。  最初は教育問題についてでありますが、まず、学級崩壊という最大の困難に直面して、改めて義務教育における30人学級の実現が緊要な課題であると考えるがどうかという御質問からお答えいたします。  これからの教育におきましては、やはり児童生徒一人一人の個性を生かした教育を展開することが極めて重要であると考えております。この観点からいえば、教師1人当たりの児童生徒数は少ないほうが望ましいと考えます。  こうしたことから、本県の小中学校におきましては、複数の教師で授業を行うチームティーチングなどの新しい指導方法を取り入れまして、ゆとりあるきめ細かな指導に努めてきておるところであります。また、平成10年度におきましては、1学級当たりの児童生徒数は、小学校では26人、中学校では33人、小中学校合計では28人となっているということをこの際強く申し添えておきます。  学級定員の改善につきましては、国において教職員配置改善計画が平成12年度まで2年間延長されまして、さらに平成13年度以降の新たな教職員配置改善計画が明らかになっておりません。こうしたことから現時点におきましては、30人学級を実現することは、相当な財政負担を要することでもありまして、極めて困難なことであると考えております。  なお、先般、文部省が設置しました調査研究協力者会議におきまして、これからの望ましい教職員配置のあり方やその財源確保などについて検討が進められているところであります。こうした国の動きなども十分注視しながら、一人一人の児童生徒に一層行き届いた指導ができますように、引き続き国に対しまして教職員定数の拡充などについて働きかけてまいりたいと考えております。  次は、環境ホルモンやダイオキシンと子宮内膜症などとの相関関係を科学的に研究するとともに、子宮内膜症の早期発見・治療を積極的に推進する必要があると考えるがどうかという御質問にお答えいたします。  内分泌攪乱化学物質いわゆる環境ホルモンが人体にもたらす子宮内膜症等の健康影響につきましては、厚生省に設置されました「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」におきまして中間報告が取りまとめられているところであります。この報告書によりますと、子宮内膜症患者でダイオキシン検出率が高いとの報告がある一方、血漿中濃度に差がないという報告もありまして、現時点におきましては、子宮内膜症と内分泌攪乱化学物質を関連づけるのに十分な知見が集積されていないとしているところであります。  一方、ダイオキシン類の汚染状況及び子宮内膜症等健康影響に関する研究をはじめといたしまして、内分泌攪乱化学物質の健康影響に関する各種の調査研究が開始されているところでありまして、その成果を注意深く見守っていきたいと考えております。  子宮内膜症の早期発見や治療につきましては、まずは月経痛や月経過多等の症状を有する女性が医療機関で早期に御相談いただくことが大切であると考えます。ぜひ産婦人科等の検査を受けていただきますことをお願い申し上げる次第でありまして、いずれにしましても健康で頑張っていただかなきゃならんというふうに思っております。  これは本当は厚生部長から答弁する予定だったんですけれども、御指名がありましたので、急遽、勉強してお答えを申し上げた次第でありますので、御了承をいただきたいと思います。  次は、時代の変化に対応して教育も変革を迫られているが、教育委員会幹部の人事についても思い切って改めるべきと考えるがどうかという御質問であります。  「教育は人なり」といわれますが、教師には、未来を託す子供たちを育てていくうえで、単に知識を与えるというのではなくて、一人一人の子供の長所を引き出し、人間形成にかかわっていくという極めて大切な役割があるものと考えているわけであります。いわゆるソクラテスの「産婆」というのが教師の非常に大きな性格であるということを私も感じております。したがいまして、すぐれた教師を確保・養成すること、また教師が情熱と生きがいを持って子供を教育することが重要であると思っておりまして、そういう面からは教員の人事が根本であるというように考えます。  こうしたことからも、校長をはじめ教職員の任用に当たりましては、やはり適材適所を基本に、教育行政や各学校にとって最もふさわしい資質と能力を備えた者を充てるように努めなければならないことは言うまでもないところでありまして、特に、やはり優秀で熱意のある教職員を思い切って抜てきし、処遇するということなども大変重要ではないかと思います。  教育委員会としましても、教職員の人事につきましてはこれまで十分留意され、大変努力もされてきておると思っております。今後とも、今日の教育が抱えるさまざまな課題に的確に対応できますように、人事に一層尽力もしていただきたいと思っておりますし、いろんな知恵も汗も出していただくことが大事であるということを感じております。  また、教職員の皆さんにおかれましても、これまで富山県の教師の皆さん方は本当に一生懸命に、あるときは命がけで頑張ってきてもらっておるという感じを私は持っておりまして、今後さらに、21世紀を担うたくましい心豊かな児童生徒の育成のために全力も尽くしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  次は、農業問題、新産業等についての御質問でありますが、道下信用農協の債務超過事件について10億円もの予算を執行するということになれば、監督行政としての県の責任を明確にすべきと考えるがどうか。また、検査・監督業務の改善が急がれるが、どのような対策を講じるのかという御質問にお答えいたします。  道下信用農協に対しましては、昭和60年からの自主再建以降、県と農協中央会は毎年交互に検査・監査を行ってきたところでありますが、投資信託受益証券の取得状況につきましては、平成3年1月の常例検査におきまして、県は初めてその詳細な取引内容を把握したところであります。県としましては、この検査におきまして、投資信託受益証券の取得や投機的な運用姿勢、脆弱な運用体制などについて指摘しまして、その改善策を理事会に諮ったうえで回答するように指導したところであります。しかしながら、道下信用農協の前組合長をはじめとして、役員には危機意識が欠け、積極的に改善に取り組む具体策が講じられなかったために今日のような状態に立ち至ったものでありまして、私としても本当に残念に思っております。  その際に、それでは県として道下信用農協に対しさらに強い行政命令を発するということも可能ではあったと思いますが、道下信用農協への取りつけ騒ぎの問題や他の農協への信用不安の誘因など社会的な混乱を招くおそれがあったために、当時としては命令を発することは困難でありまして、行政指導による対応を行ったものであります。このことを十分御理解いただきたいと思います。  また、この県の検査は国の機関委任事務でありますから、県としましては、県のこの対応につきまして農林水産省とも十分協議をしたのであります。このようなことから、こうした県の検査・指導は、私は適切なものであったと考えております。  今回の道下信用農協の問題の処理につきましては、代表質問でもお答え申し上げましたが、役員の経営責任を含めた最大限の自主努力を前提に、県内農協系統及び全国支援により債務超過額を解消することとなっております。その際、農協が拠出し信連に積み立てております信用事業相互援助制度積立金の全額2億8,200万円の取り崩しが必要となったところであります。  県としましては、信用不安の発生を未然に防止し、農協経営が健全に発展することが必要であるという観点から、相互援助制度がその機能を引き続き果たしますように信連に貸付金を融資いたしまして、信連がその運用益をもって相互援助制度の資金を積み立てるという仕組みを考えまして、取り崩されました額の2分の1に当たる1億4,000万円程度の支援を考えているのであります。このように、信用事業の信頼感を確保するという観点から相互援助制度の支援をするものでありまして、道下信用農協を支援するものではないということも御理解いただきたいと存じます。  次に、農協に対する検査の問題でありますが、これにつきましては、平成7年に、県が所掌する各種の団体の金融検査の強化を図りますために、出納事務局検査室に金融検査担当職員を配置いたしまして、出納事務局と所管部局とが共同で検査を実施するという体制整備を行ったところであります。また、平成9年には、農協、漁協、森林組合に対する検査の一元化を図ることにいたしまして、検査体制の強化が図られております。今後は、有価証券運用など項目を絞ったパトロール検査や事後確認検査などの強化を図り、検査の一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、農協は自己責任原則に基づく適正な経営管理をみずから行ってもらいたいというふうに思いますし、県としましても厳正な農協検査の実施に努めてまいりたいと考えております。  次は、不況対策と地場・伝統産業についての御質問でありますが、まず、不況の直撃を受けている本県アルミ産業の活性化を図るため、県としてどのような施策に取り組んでいくのかという御質問からお答えいたします。  本県アルミ産業は本県経済の基幹産業となっておりますが、現在、住宅やビルの需要が停滞していることなどから大変厳しい状況にあります。このため県としましては、アルミ関連企業の経営・雇用の安定化や新たな事業展開を図る各種の施策に積極的に取り組んでおるところであります。  具体的に申し上げますと、まず第1に、アルミ関連業種が信用保証協会の保証枠が倍増となる業種に指定されており、この制度の活用と地域産業対策資金の融資限度額の引き上げなどにより資金面の支援を行っております。また、雇用調整助成金の対象業種にアルミ関連業種が指定されており、この制度を活用し、雇用の安定を図っております。さらに、県工業技術センターにおきまして、アルミ関連技術の高度化や新製品の開発のため、研究開発や技術指導を行っているところであります。また、県立学校等の公共施設の建設・改修におきまして、気密性等にすぐれているアルミ製品を採用するほか、景気対策に効果の高い住宅建設の促進に努めるなど、アルミ関連製品の需要の拡大を図っているところであります。  今後とも、県内アルミ関連市場の状況を的確に把握しながら、資金面、雇用面からの支援を図りますとともに、引き続きアルミ製品の活用などの需要拡大に努めまして、厳しい状況にある県内アルミ産業の活性化を支援してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、大変厳しい経済情勢であるとは思いますけれども、県も公共事業その他いろいろな施策の面で積極的に対策を講じておるところでありまして、ぜひアルミ関係の皆さん方もこれから一生懸命に、歯を食いしばってでも頑張っていただきたい。県としては積極的に支援もしてまいりたいと思っております。  次は、来年夏に設置予定のとやま総合デザインセンターが中心となって、デザイナーと地場産業とのデザイン交流を図ることなどにより、県内産業のデザイン開発を促進すべきであると考えるがどうかという御質問であります。  近年、消費者ニーズやライフスタイルが多様化、個性化してきておることから、商品に感性や快適性が求められておりまして、ものづくりにとりましてデザインの果たす役割は大変重要なものになってきております。このため、現在、富山インダストリアル・デザインセンターを拡充いたしまして、総合的なデザインの支援を行う、仮称でありますがとやま総合デザインセンターの整備を進めております。  このデザインセンターは、県内企業に対しましてすぐれたデザインによる新製品づくりを支援すること、それから製品の企画からデザイン開発、商品化までができるデザイナーを育てることなどを目的としておるものであります。具体的に申し上げますと、まず、デザイン工房やモックアップ工房、つまり高度精密のモデルづくり工房を活用したデザインの専門実技研修を実施すること。次に、アルミ製品やプラスチック製品、ガラス工芸などの県内産業とデザイナーをコーディネートし、つまり結びつけを行いまして、共同で新しいデザイン開発を実施すること。さらに、県内企業やデザイン関係の大学、専門学校、高等学校などの関係機関と連携を図り、デザインセミナーやデザインワークショップを開催し、デザイナーなどの人材を育成することなどを行うことにしております。  こうした事業を通じまして、地場産業とのデザイン交流による新製品の開発、デザイン関係教育機関との連携による若い人材の育成などを図り、県内産業のデザイン開発の促進に努めてまいりたいと考えております。  次の御質問は財政についてであります。  公債費対策として、高金利の政府資金の繰り上げ償還について国に対し積極的に働きかけるべきと考えるがどうかという御質問であります。  県債には政府資金と銀行等の縁故資金がありまして、政府資金はその原資が郵便貯金や年金などとなっております。大蔵省におきましては、この政府資金の繰り上げ償還がされますと予定運用益が減少いたしまして、財政投融資制度全体の問題にもなるということで、繰り上げ償還や借り換えは現在のところ認めていないわけであります。つまり、貸し付け金利と預託金利とを同一にしまして、利ざやを取らずに長期固定の貸し付けを行いながら収支相償うように財政投融資制度が運営されておりますので、高金利であるから繰り上げ償還をするというようなことになると財政投融資制度全体の運営に響くというわけで、大蔵省は強く反対をいたしております。  しかし、県としましては、公債費の増嵩に対処し、財政の健全化を進めることが必要であると強く思っておりまして、これまでも全国知事会等を通じまして、国に対し高金利の政府資金の繰り上げ償還などを強く要望してまいりました。また、県議会におかれましても「高金利の政府資金地方債の借換え等を求める意見書」を提出していただいたところでありまして、この点につきましても厚くお礼を申し上げます。  こうしたことなどから、自治省と大蔵省の間で、全国地方団体が極めて厳しい財政状況にあることなどを考慮して、政府資金の繰り上げ償還などについて協議が始められていると聞いております。  県としましては、この措置がぜひ実現されることを期待しているのでありまして、今後とも国に対しまして積極的に働きかけてまいりたいというように考えております。県議会におかれましても今後一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。  以上であります。 59 ◯副議長(川島久一君)八木教育委員長。    〔教育委員長八木近直君登壇〕 60 ◯教育委員長(八木近直君)教育問題についてのお尋ねのうち、文部省委嘱等事業の不適正会計処理についての責任、反省についての御質問にお答え申し上げます。
     今年実施された会計実地検査において、県教育委員会に対する文部省委嘱等事業の一部に不適正な会計処理があったという事実が明らかになったことは、県民の教育行政に対する信頼を著しく損なうものであり、心からおわびを申し上げたいと思います。  今回の不適正な会計処理は、文部省委嘱等事業の弾力性に欠ける予算執行制度も一因にあることはあると思いますが、基本的には適正な公費支出に関する法令等の遵守意識の緩み、すなわち教育に携わる公務員としての心構えに欠けるところがあったと考えております。  もとより、教育に携わる公務員は、その職責から強い規範性が求められていると考えております。そうした観点からも、今回の会計検査院からの指摘は大変に申しわけなく、私も当時教育長の職にあった者として管理監督の責任に不行き届きがあったことを深く反省している次第であります。報告を受けたとき、おのれの不明を恥じました。管理監督の立場にあった者として、いかになすべきかということに思い悩みました。今、私としては、今回の事実を厳粛に受けとめて、かかる不祥事が二度と起こらぬよう対策を徹底し、適正な教育行政の推進を図ることによって、教育行政に対する信頼を回復することが目下の急務であり、そのため最大限の努力を払うことが、現在の私のとるべき道であると思い定めたところであります。  信頼は、時には一瞬にして失われます。信頼を築き上げるのは、はるかに遠くかつ困難な道であります。今私は「任重くして道遠し」という言葉をかみしめております。曾子がこの言葉を口にしたとき、その任というのは君子として仁の道を行うことでありました。私は今、自分を君子になぞらえようなどとしているのではありません。ただ、この信頼を回復するという仕事がまことに重いものだと感じているということであります。道はいかにも遠いのでありますが、私といたしましては、この道を今歩まなければならないと考えているところであります。御理解を賜れば幸いに存じます。  次に、教育委員会幹部の人事について改めるべきだという御質問にお答えを申し上げます。  本県においては、校長をはじめとする教職員の配置に当たっては、適材適所を基本に、教員としての教育実績や教科領域についての専門知識、各学校の抱える課題等を総合的に勘案して、それぞれの学校などにとって最もふさわしい資質や能力を備えた者を充てるように心がけてまいりました。一般に人事においては、その時々によって条件が変わってくるのであります。異動の対象となる人材にはそれぞれ個性があり、またその資質・能力というものも変化をいたします。一方、学校などにおいては、共通普遍の課題はもちろんありますが、新たな課題を抱えることもあるのであります。そうした条件、課題を総合的に勘案しなければならないのであります。したがって、在職年数などのルール、そういうものは別として、一定の道筋を定めて人事を行うということは、実際には困難であります。  いずれにいたしましても、教育の成否は人間にあります。したがって、適切な人材の配置ということには格段の留意が必要であり、マンネリズムの印象を与えるような人事は決して好ましいものではありません。現在は教育改革を推進すべき時代であります。そのような状況を踏まえて、人事異動についてはさらに適切・的確なものとなるよう、今後とも十分配意してまいりたいと思っております。 61 ◯副議長(川島久一君)飯田教育長。    〔教育長飯田宗映君登壇〕 62 ◯教育長(飯田宗映君)教育問題についてお答えを申し上げます。  まず最初に、学級崩壊、またはその寸前といったような状況を全県的に掌握しているかどうかというお尋ねでありますが、子供たちが学級担任の注意を聞かない、授業中勝手に教室を歩き回るなど授業が成立しないといった状況が、小学校低学年あたりからあらわれるという状況が全国的に広がっております。この現象が昨今、いわゆる「学級崩壊」と呼ばれ、全国的な問題になりつつあります。本県につきましても、小学校を中心に現在数校あることを掌握しております。  それぞれの学校では、担任教員と他の教員とのチームティーチングによる、いわゆる個に応じたわかる授業などの工夫や、当該の児童生徒との個別懇談、さらには保護者との懇談などきめ細かい指導を継続してきておりまして、おおむねどの学校についても状況は改善されつつあるというふうに聞いております。  次に、高校生の子宮内膜症の実態把握に関する問題でございますが、学校では御承知のとおり、毎年年度初めに定期健康診断を行いまして、児童生徒の健康状態を把握しておりますが、この根拠となる学校保健法の施行規則の検査項目に、この子宮内膜症というのは項目にはございません。そういうことから、現在、統計的には掌握していないというのがまずは実情であります。  しかしながら、議員御指摘のいわゆる環境ホルモンと子宮内膜症との因果関係という問題については、新しい問題ではありますが、県教育委員会としても関心は持っております。しかしながら現在のところ、第1に生徒のプライバシーの確保や保護者の理解、あるいは第2に医療の専門性や検査機器の問題などから、学校での検診は困難であって、直ちに実態を把握するということは難しいというふうに考えております。  先ほど議員が申されたように、養護教諭の指導、助言によって当該の生徒が専門医のほうへ出向いて、そこで診断を受けた結果そういうことが判明してきているというふうにお聞きいたしましたが、そういうことでございますと、まさに保健室における養護教諭の存在の意味ですね、よいお仕事をしていただいたと。それから、生徒が相談に行って、かつ指示どおり従って行動したというふうなあたりが、いわば学校保健の制度が非常にうまく機能したということで、私としてはありがたく思っておりますが、願わくはすべての学校で、当面、そのようにこの問題は機能してくれたらありがたいというふうに思っております。  なお、厚生省に設置された検討会においては、現在のところ子宮内膜症への影響については有意な因果関係を示す知見はないとしながらも、さらに調査研究する必要があるという中間報告がなされていると聞いておりますので、今後とも関係の諸機関の動向に注意してまいりたいというふうに思っております。  それから次に、養護教諭の複数配置に関するお尋ねでございました。お答え申し上げます。  保健室登校の問題をはじめ、児童生徒の心のケアにおける養護教諭の役割はまことに大きいものがあるというふうに考えております。本県におきましては、国の基準を上回って4校の大規模な小中学校に複数配置をするなど、学校や地域の実情等に応じてその配置に努めてきたところであります。  養護教諭をはじめとした教職員の定数の拡充については、都道府県教育長協議会において国に働きかけており、また本県においても同様の働きかけを行ってきているところであります。さらに、養護教諭の複数配置の基準の緩和ができるだけ早く実現されるように、本県の平成11年度の政府等への重要要望の事項に、新たに養護教諭複数配置の促進を柱とした心の教育を推進するための施策を盛り込んだところでありまして、今後とも国に対して強く働きかけを行ってまいりたいというふうに思っております。  次に、心の教育相談活動支援事業の手続を簡略にすべきではないかという御提案でございますが、お答えを申し上げます。  御指摘の心の教育相談活動支援事業は、心の問題を抱える児童生徒に直接かかわる養護教諭等に対し、専門医が適時に適切なアドバイスをするということを目的に、今年度から県下4地区ごとに、開業医である精神科医おのおの1名にお願いをいたしまして開設した制度でございます。養護教諭の方々が心に係る問題があれば、この委嘱した精神科医さんのほうに連絡をとってそのアドバイスを仰ぐという制度でありますが、この申し込み手続については、当分の間、各学校は電話で県の教育委員会に申し込み、県教育委員会がその精神科医と診療日程等を調整のうえ、当該校へその該当日を連絡するというふうなことで、目下対応しております。いかにも確かに、学校から直接開業医さんのほうへ連絡がとれたほうがまさによいのでありますが、これはある意味で多数の学校から開業医さんのほうにしょっちゅう電話が舞い込むという状態になりかねないということもあり、ほかならぬ精神科医さんのほうからの要望もあって、目下、このような形で試行的に行っているということでございます。この点どうか御理解を願いたいと思います。  次は、文部省委嘱等事業の不適正会計処理について、教育長としての、しかも長い間教壇に立って訓辞を垂れてきた者としての責任と反省はどうかと、こういうお尋ねでございます。  今回の該当事業の不適正な会計処理は、まことに県民の皆さんの教育行政に対する信頼を著しく損なうものであり、まさに教育に携わってきた、そして現在も携わる者として、今回の事態を重く受けとめ、教育委員会事務局の責任者として心から申しわけなく思い、おわび申し上げたいと思います。  私も先ほどの教育委員長と同じ認識でありまして、みずからの管理監督に不行き届きがあったその責任を深く反省しております。今回の事実を厳粛に受けとめ、再発の防止対策を徹底し、県民の皆さんの信頼回復を図り、それに努めることが私のとるべき道であるというふうに考えております。努力したいと思っております。  次に、文部省の委嘱等事業の予算システムが実情に合わないという点の改革を要請していくべきではないかという御意見でありますが、今回の不適正な会計処理は、基本的には教育に携わる公務員としての心がけを欠いていたという点に大きな問題がございますが、文部省から都道府県に示達される科目別の示達額が実際の事業執行に見合ったものとなっていないなど、委嘱等事業の弾力性に欠ける予算執行制度になっていた。それが大きな背景であるというふうに思っております。  このため、既に、県教育委員会として文部省に対し、この制度が改善されるように要請を行ったところであり、また、今回この委嘱等事業で会計検査院から同様な指摘を受けた県が多数に上るということから、先般、都道府県教育長協議会から文部省に対し、当該委嘱等事業については地方公共団体が主体的に事業を選択できるように事業内容のメニュー化を図ることや、事業を実施する地方公共団体の歳入歳出予算への計上を可能とすることなど、事業実施形態の改善の要請を行ったところであります。  今後さらに、必要に応じ、都道府県教育長協議会等を通じまして、委嘱等事業の予算執行制度が改善されるように文部省に要請してまいりたいというふうに思っております。  最後に、学閥・門閥等にとらわれない人事ということで、人数をお尋ねでございました。お答えを申し上げます。  過去20年間のうち指導課長経験者は9名であり、そのうちで、御指摘の3校の校長になった者は7名、それから高校長協会長になった者をお尋ねでございましたが、これはもちろん校長間の互選によって会長になるわけですが、これは3名であります。  また次に、指導課の高等学校係とかつての産業教育係の主幹経験者は合わせて18名であり、その後、御指摘の3校の校長になった者は5名、高校長協会長になった者は2名であります。  なお、校長任用をはじめ教職員の配置については、決して学閥や門閥による人事は行っていないところであり、あくまでも私どもとしては、教育行政ないし学校を問わず、適材適所を旨として、今後とも適正かつ効果的にそういう人事配置に努めてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。 63 ◯副議長(川島久一君)上江農林水産部長。    〔農林水産部長上江崇春君登壇〕 64 ◯農林水産部長(上江崇春君)農業問題、新産業等についてのうち、まず、大豆の品種改良についての御質問にお答えをいたします。  本年産大豆につきましては、生育量は平年以上に確保されてきたものの、成熟期の台風やその後の長雨、高温という異常気象により、腐敗粒などが多発し、甚大な被害が発生したところでございます。  本県では、大粒で品質のよい品種「エンレイ」を転作の基幹作物として作付を勧めております。このエンレイは、タンパク含量が高く、生産者の努力とも相まって品質も極めてよいことから、これまで煮豆用、豆腐用として実需者からも高い評価を得てきたところでございます。  このような状況におきまして、本県に適する大豆の品種選定については、エンレイ並みの品質・収量の品種であって、気象災害を回避するため成熟期の異なる品種について、鋭意検索を行っているところでございます。しかしながら、現在のところ、タンパク含量や粒の大きさなど品質面で難点があり、エンレイを上回る品種がないのが現状でございます。  今後とも本県に適した大豆の有望品種の検索に努めますが、当面の対策といたしましては、今年度のように収穫時期が集中して一度に大きな被害を受けることがないよう、来年度の新技術対策といたしまして、播種時期を調整し、収穫期に幅を持たせることなどを基本技術に盛り込みまして、栽培農家への指導、普及を図ってまいりたいと考えているところでございます。  次は、大豆共済加入率を高める努力と、加入方法を農家単位から一筆単位加入方式に改められないかとの御質問にお答えをいたします。  大豆共済につきましては、大豆が本県の転作の基幹作物であることから、農業共済団体をはじめ、県といたしましても、これまで、第1に、PR用パンフレットなどを作成いたしまして積極的に加入促進を図ってきたこと。第2に、大豆の共済被害を未然に防止するという観点から病害虫防除に対する助成に取り組んでおり、加入農家の負担軽減に努めてきたことなどから、加入率は84%と全国的にも高い水準を維持してきているところでございます。  大豆共済は任意加入制度でありますことから、ことしの大きな災害を機に共済制度の趣旨やメリットなどの理解を深めていただきますように、今後はさらに制度の普及啓蒙活動を充実いたしまして、栽培農家の共済加入促進に努めてまいりたいと考えております。  次に、大豆共済の引き受け方式でございますが、これは災害補償法におきまして農家単位引き受け方式とされているところでございます。大豆共済に一筆単位引き受け方式が制度化されていない理由といたしましては、第1に、農家の経営安定を図ることを目的とする共済制度の趣旨から、農家単位で収穫量全体の損害補てんを行うことが合理的であること。一筆単位引き受け方式は、共済金の支払い機会が多くなる可能性がある反面、共済掛金が高くなり、農家の負担が大きくなるおそれがあることなどが挙げられます。  国におきましては、一筆単位引き受け方式が主流の稲と麦の農作物共済におきましても、農家単位引き受け方式への誘導を図っているところでございまして、大豆共済への一筆単位引き受け方式の導入は困難というふうに考えております。  いずれにいたしましても、県といたしましては、農家や関係団体にも働きかけながら、大豆共済の加入促進を今後とも図ってまいりたいというふうに考えております。  次は、通い容器を活用した流通システム導入の可能性と県の支援についての御質問にお答えをいたします。  野菜などにおいて、プラスチックコンテナや、いわゆる通い容器を活用した流通システムは、出荷経費の節減など生産コストの低減に結びつくこと、第2に、使用後の段ボール処理が不要となり省資源となること、第3に、予冷などの冷却効果が高く、鮮度保持が容易であることなどの効果が期待されているところでございます。このことから、県におきましては平成9年から10年度に、射水地域の軟弱野菜産地におきまして、通い容器を活用した流通システムの実証事業を実施しているところでございます。その結果、生産コストの低減や消費者への鮮度アピールに効果があったなど、生産者や流通業者から一定の評価を得ているところでございます。  しかしながら、大根など貯蓄性のある野菜ではコンテナの回転率が悪く、コスト低減になりにくいこと、また、契約的な販売以外、すなわち一般市場流通ではコンテナの紛失などのリスクが多いこと、さらに、出荷先が求めております定量継続出荷に対応できる産地が限られていることなどの課題も確認されたところでございます。  本県の野菜産地の育成には、こうした通い容器を利用しまして鮮度・熟度を重視した域内流通システムの確立が有効な手段の一つと考えられております。このため県といたしましては、今回の実証事業の結果を踏まえまして、市町村、農業団体と連携し、諸課題の解決を図りますとともに、生産者と流通業者との話し合いを促進いたしまして両者の合意形成を図るなど、通い容器を活用した流通システムの普及にできるところから取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次は、道下信用農協の債務超過事件に関係して、昭和51年に発覚した際の損失事件では県の監督責任が明確でなかったのではないかとの御質問にお答えをいたします。  道下信用農協の昭和51年当時に発生した問題は、多額の貸し付けを受けていた2社が経済情勢の悪化によりまして倒産したため、約15億7,800万円が回収不能となったものでございます。当時の経緯につきましては定かでない面もございますが、この問題は昭和49年5月におきます県の特別検査に基づき、大口貸し出しの担保不足や不健全債権化などを指摘いたしまして、文書により貸し付けの適正化を求めたところでございます。さらに、回収不能が明確となってからは、当時の組合長ほか役員、参事による賠償などによりまして、約8億200万円の処理がなされたところでございます。また、新組合長の就任によりまして新執行体制の確立を図りますとともに、臨時総会を開催し、組合員の増資をもとに再建9カ年計画を樹立するなど、道下信用農協の存続に対する熱意が高まってきたところでございます。このため、残された約7億7,600万円につきましては、農協中央会に道下信用農協再建整備委員会を組織いたしまして、徹底した経営管理に努め、再建が進められてきたところでございます。  このようなことにつきましては、当時県議会におきましても種々議論されているところでございまして、御理解をいただいていたものというふうに考えております。  次は、営農組織などが大豆コンバインなどの農業機械を購入する場合に、農協系統、商系がそれぞれどのような金額になっているかとの御質問にお答えをいたします。  県といたしましては、補助事業については事業の趣旨に沿って適正に運営されることを主眼といたしまして、その実施計画の審査や実施状況の把握などに努めているところでございまして、農業機械の購入先について特段の指導を行っていないところでございます。  御指摘の営農組織などが補助事業で導入いたしました大豆コンバインの購入割合につきましては、農協系統が約95%、商系が約5%となっておりますし、また、農業改良資金で導入いたしました農業機械等の購入割合につきましては、農協系統が約66%、商系が約34%となっております。  農協系統からの購入割合が比較的高い理由といたしましては、農協はそもそも農業者みずからの拠出による協同組織であり、身近に存在し、アフターサービスも得られやすいということなどが考えられるのではないかというふうに思っております。  最後は、農業機材の購入に当たって、農協系統と商系の公正な競争が行われるように県は指導すべきと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。  本県では、例えば稲作生産費調査におきまして生産費の約2割を農機具費が占めているなど、農業の低コスト化を図るうえで農機具費の低減が重要でございます。このため、農業機械の導入に当たりましては、その価格はもとより、地域の営農条件やアフターサービスなどを総合的に勘案いたしまして、農業者みずからが判断し、購入することを基本としながら、県といたしましては経営規模に合った農業機械の導入、過剰装備を排した廉価な農業機械の普及、農業機械の修理・点検による使用年数の延長などの指導を行っているところでございます。  今後とも、これらの指導とあわせまして、農業機械関係団体とも連携をいたしながら、過剰投資の抑制を図るための意識啓発や農業機械の効率的利用を促進いたしまして、農業機械の適正な導入利用が図られるように努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 65 ◯副議長(川島久一君)高原商工労働部長。    〔商工労働部長高原一郎君登壇〕 66 ◯商工労働部長(高原一郎君)まず、高岡銅器・漆器の産地イメージを全国に広めていく必要があるのではないかという御質問にお答えを申し上げます。  伝統的工芸品産業は日本各地の風土から生まれ、地域ごとの生活習慣とともにはぐくまれ、受け継がれてまいりました。本県では、高岡銅器、高岡漆器、井波彫刻、越中和紙の4品目が伝統的工芸品として、また庄川挽物木地が伝統的工芸材料といたしまして通商産業大臣の指定を受けているところでございます。しかしながら、生活の洋風化の浸透あるいはまた核家族化の進行によりまして、生活習慣が変化をし、伝統的工芸品を日常生活で使用する機会が減少するなど、伝統的工芸品産業は厳しい環境下に置かれており、市場経済のもとで市場の動向を十分把握するといった自主的な努力がより一層必要となっている一方で、需要の掘り起こしというものが大きな課題となっているわけでございます。  このような状況を踏まえまして、これまでも、各産地組合が行う後継者育成事業、需要開拓事業及び新商品開発事業などに対する補助でございますとか、あるいは販路拡大など、伝統的工芸品産業振興のため支援を行ってきておるところでございます。  御質問の産地イメージの定着化につきましては、販路の拡大に重要なものであると認識をしておりまして、PR誌の作成や全国伝統的工芸品まつり、中部の伝統的工芸品まつりなどの伝統的工芸品展示会や、あるいは東京国際家具見本市など各種の見本市、物産展等の参加に支援を行ってきているところでありまして、今後とも、産地イメージが強化されるように関係業界を支援していきたいというふうに考えております。  次に、高岡市で平成8年度から独自にマイスター制度を実施しているけれども、県としても力強く支援をすべきと考えるがどうかという御質問にお答えを申し上げます。  伝統的工芸品は、主要工程が手づくりであり、高度の伝統的技術によるものであるため、その習得には長い年月が必要でございます。また、伝統的工芸品の需要が低迷していることなどによりまして、後継者の確保・育成が難しく、伝統的工芸品関係業界の課題となっておるところでございます。  このため、国におきましては伝統工芸士制度が設けられているところでございまして、伝統工芸士は最高の技能・技術と知識を持つ人で、かつ伝統的技術・技法の向上及び継承に指導的な役割を果たし得る人ということになっております。この伝統工芸士の称号を与えることによりまして、その社会的な地位を高めるとともに、後継者の確保・育成という大きな使命を担っていただいているものというふうに理解をしておりまして、言うならば、伝統工芸士制度は伝統工芸におけるマイスター制度ともいえるものだと考えております。県内では、高岡銅器で38名、高岡漆器で20名など、5産地で117名が認定をされておりまして、高岡市継承者育成事業においても伝統工芸士の方々に多大な御尽力をいただいているところでございます。  なお、県といたしましては、現在のところ市のマイスター制度に対する支援を充実するという考え方はございませんけれども、これまでも伝統工芸高岡銅器振興協同組合、あるいは伝統工芸高岡漆器協同組合など、各産地組合が実施をしております伝統工芸士などを講師とした後継者の確保・育成、あるいはまた技術・技法の向上のための研修会、講習会に助成するなどの支援をしているところでございまして、今後とも伝統的工芸品産業の振興に当たって、各産地組合が実施をいたします事業の支援に努めていきたいというふうに考えております。  以上でございます。 67 ◯副議長(川島久一君)犬島 肇君。    〔36番犬島 肇君登壇〕 68 ◯36番(犬島 肇君)再質問いたします。  知事に、子宮内膜症の問題と環境ホルモンとの関係などをお尋ねして、加えて早期発見・治療を積極的に推進する必要があるんではないかとお尋ねをし、極めて積極的な答えを願ったんですが──なぜならば、少子化という問題にどう立ち向かうかというときに、つまり人口を増やすという問題になって出てくるわけだから、そうすると子宮内膜症というのは、お産をうんと困難にするとか、お産を遅らせるとか、初産をずっと遅くさせてしまうんだという問題などが指摘されているということから、富山県の少子化を克服していくうえでも大事な問題ではないかと。そういう点もあってお尋ねをしているわけです。この点を踏まえてほしかったと思います。これはお尋ねしておきます。  それから次に、教育委員長並びに教育長のお答えの中身について、私はこれ以上申す部分が少ないのですが、今議会が始まって、極めて異常だなと思ったり、違和感を感じたことを率直に言っておきます。  例えば代表質問の日に、ここに答弁に立った八木教育委員長及び飯田教育長が、「答弁に先立って、まず今回の不祥事をおわびします」と言うものと私は思い込んでおりました。皆さんどうでしょうか。それが全くなかった。こういう感覚ではどうなんだろうかと思いました。なぜそう思うかというと、私の頭にはやけどみたいにケロイドみたいに残っているイメージがあります。全庁調査に進んでいって、その結論が出たときに、知事以下すべての部長がここで、「答弁に先立って一言おわびいたします」ということを、全県民に向かって執拗なほど繰り返し繰り返し続けたのみならず、決算委員会の書面審査のときでも、当該課長は全部そのようにわびて言ったというイメージが私には焼きついています。それならば、特別公務員という役職は仕方がないかな、でも教育長ならば公務員だから、これは知事部局と同じような対話をするのかなと思ったら、それも脱落だ。特別公務員である教育委員長は、元教育長だった。教育の最高のポジションにいたエリートだ。だからその内面的な反省も殊に深く、「まず答弁に先立って」という発言があるかと思ったらそうではなくて、「今度は教育委員長を拝命いたしました」というところから入るんだ。この違和感、この異質な状態というものは一体何だろうと思ったということを率直に申し上げ、私もかつて教員の禄をはんだことがある教師の端くれなので、選挙に出るたんびに「わ、どっだけたっても先生ながか」と、こう言われたその「先生」というのは悪い意味の先生なんだろうと思うんですが、八木教育委員長や飯田教育長には悪い意味の先生を本当にぬぐい去っていただいて、112万県民の心の中にあなた方は生き続けているんだという立場にお立ちいただくように、これは要請をしておきます。生意気なようですけれども、あえて、「恩愛の絆を絶って」というのが仏語にありますが、申し上げた次第であります。  次に、飯田教育長の御答弁を聞いて私がびっくりしたのは、20年の間、指導課長あるいは指導課の主幹になった、要職にあった人たちの、何と9名のうち7名が、中部高校だ高岡高校だ富山高校だといういわゆる御三家の校長になっておるという事実。これは結果として人事そのものの停滞じゃありませんか。今、八木教育委員長がおっしゃったように、教育が大きく変わっていく時期です。こういうときにこそ有名な人物、逸材を一番困難なところに配置していくという思い切った人事をやらなければならないと私は思います。  かつて、八十島喜助という教育者としては非常にすぐれた人という評判の高かった人が、たしか富山県立ろう学校か盲学校の校長になられたという時代が、たしかこれは知事が教育長のときか、もしくは知事が教育長をおやめになった後かもしれませんが、そういうことがあったんですよ。 69 ◯副議長(川島久一君)制限時間です。 70 ◯36番(犬島 肇君)わかりました、もうしばらく。1回だけで終わりますから。  何を言いたいか。最後に、このままだと、いかに教育長が人事について物事を申そうにも、いろいろと年上の人たちがいて「飯田君、そういうことせんでもいいがでないがか」とか、ちゃべちゃべ横から口を出す者がおったりして、「あぁ、そうかなぁ」と言ってなきゃいけないことになるんじゃないかと思いますよ。だから、本当に今、教育の最大の山場、大事な時代に入っていますから、かかる御三家ばかりにだらだらと校長になるような人事はやめてもらいたい。これは明確に御答弁をいただくことにして、質問を終わります。 71 ◯副議長(川島久一君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 72 ◯知事(中沖 豊君)再質問にお答えいたします。  環境ホルモンなどと子宮内膜症との相関関係について、少子化を克服するという面からも極めて重要だという御指摘がありました。  これからは、御案内のように少子化・高齢化の時代を迎えるわけであります。特に21世紀になりますと高齢者が非常に増えてまいりますので、やはり元気な高齢者が満ちあふれることが大事だというふうに思いますし、少子化の問題につきましては、もうあまり数のことを言わないで、たくましい若者、子供が育っていくことが私は非常に大事だというように思うわけであります。もちろん、たくさん子供ができるということは非常に望ましいことでありますけれども、大きな傾向として少子化ということがありますので、むしろたくましいすぐれた子供を育成するということが非常に大事ではないかというふうに思います。また、そういうたくましい子供を生み育てますためには、やはり丈夫な母体が大事でありまして、そういう面からこの問題は非常に重要な問題であろうというふうに思います。県では、県立中央病院で母子医療センターなどを全国に先駆けてつくったりしておりますけれども、今御指摘の問題につきましても、今後ひとつ一生懸命に研究をしてまいりたいと思います。 73 ◯副議長(川島久一君)飯田教育長。    〔教育長飯田宗映君登壇〕 74 ◯教育長(飯田宗映君)例えば指導課長が特定の学校の校長になっておるというケースが非常に多いのはよろしくないと、こういう御意見でございますが、これは先ほど申し上げましたとおりでありまして、人事の根本というのはやはり2つの要素があると思います。第1は、その人間の側の問題ですが、その人がいかなる識見やあるいは人格、専門的な力量といったようなものをお持ちであるかということであります。もう一方の、今度はその人を任じようとする学校なりセクションというそのところの特性といいますか、これがどのような人間を必要とするセクションであるか、あるいは現在どのような状況に置かれているのか、こういったような多様な要素の相対的な関係で人事というものは考えられねばならない。その中で、それを考えるべき立場の者は最善を尽くして、その適材を適所に配置することを考える、そういうことであろうと思います。それは余りにも当たり前ではないかと、こうおっしゃるかもしれませんが、そのような最善のことをやってきた結果が、結果としてそうなっているというふうに考えるべきではないかということであります。その原因と結果の関係を逆転して考えますと、私はやはり問題の見方というものがおのずから少し間違ってくるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  それでもう1つ、今、教育改革ということに結びつけて申し上げますと、高等学校教育は、特に職業科教育もいろんな課題を今確かに持っております。これは、例えば技術や時代の進展というものをもろに影響を受け、それと関連させながら新たな育成、展開を図っていくべき学科であるということは明白であります。職業学科の学校の校長も重要な問題でございますが、私の認識するところでは、むしろ普通科が重要であるというふうに思います。いたずらに数は多く、そして子供も親も普通科へ子供を入れて、上の学校へ上げたいという漠然たる志望は強うございますが、本当に、それではその高校3年間、しっかりした目的意識を持って子供らが育っているか、あるいはその受け入れた学校が彼らを育て上げているか。これは非常に問題のあるところというふうに認識しております。私はもっと普通科の教育というものは、しっかりした識見を持って、子供らにまさに前向きの意欲を持って、生きる力を持ったそういう子供らを育てるんだという見識も気概もある、そういう人を普通科校の校長に配置すべきであるというふうに自分としては考えております。  こういったようないろんことを勘案しながら事に当たりたいと思っておりますが、もちろん人事はいろんな考え方がございますので、広く皆様方の御意見は聞かせていただきたい。私は目いっぱい思案して最善を尽くしたいと、このように思っております。  以上でございます。 75 ◯副議長(川島久一君)大上紀美雄君。    〔34番大上紀美雄君登壇〕 76 ◯34番(大上紀美雄君)午前中からの会議で大変お疲れであろうと思いますが、いましばらく、私が最後でございますから、おつき合いをいただきたいと思います。  私は、富山県における高齢社会の諸問題について御質問をいたします。  総務庁が行ったことし1月1日現在の推計人口によれば、我が国の総人口は1億2,606万人でありました。2年前に実施されました国勢調査の総人口と比較すれば、49万人の増加であります。この総人口の増加は、日本の戦後の人口史上最も低い増加率であったといわれております。  そのうち高齢者人口の状況は、ことし1月1日現在で1,993万人であり、総人口に占める割合は15.8%であります。これはおよそ6人に1人が65歳以上の人口であるということであります。昭和25年には4.9%と、20人に1人という水準にあったことから比較すれば、短期間に急速な人口高齢化が進行しているといえます。    〔副議長退席、議長着席〕
     将来における人口高齢化の進展を国立社会保障・人口問題研究所が昨年1月に公表した推計によりますと、2000年には17.2%、2025年には27.4%に達した後、2050年には32.3%と、国民の3人に1人が65歳以上になると予測しておるのであります。  ちなみに、我が国の人口は、明治4年に戸籍法が公布されましてから、その翌年明治5年には3,481万人であったということでありますが、昭和20年には7,215万人、昭和30年にはほぼ9,000万人に達して、さきの国勢調査では1億2,557万人に達し、約120年余の間におおむね3倍の人口に膨れ上がったわけであります。  ところで、我が国で今世紀から来世紀にかけて進行する本格的な人口高齢化は、経済、社会、医療、年金、福祉等さまざまな分野へ深刻な影響を及ぼすといわれております。したがって、人口高齢化問題は、それぞれの専門分野で調査研究を進め、総合的な対応策を立てなければならないといわれております。これは、かねてより我が国の人口の1%県といわれている富山県においても、人口の高齢化問題は同じであります。そこで、本県における人口高齢化対策として、医療・福祉、産業あるいは環境問題に関してお尋ねをいたします。  まず、平成12年4月1日から実施される公的介護保険制度に関連してお尋ねをいたします。  なぜ今、公的介護保険制度実施に国は踏み切ったのかということであります。ことしの3月23日に元愛知県副知事の甲斐一政さんが新聞の論壇で言っておるのでありますが、「今、日本全体でねたきり老人が約90万人、この中で特別養護老人ホームに入るのを待っている人は約5、6万人いるといわれている。ところが、特養ホームそのものが足りず、入りたくても1つの施設で大体50人待ちというのが普通らしい。表現はよくないものの、現状のままだとすれば、入所している老人が死んでくれるのを待つしかない。つまり、このような施設収容のやり方が壁に突き当たって、在宅介護を重視せざるを得なくなったというのが、2000年4月から施行される介護保険法といっていいだろう」こう言っておるわけであります。  そこで、既存の老人対象施設に対して、一般病院でも、平成12年から実施される公的介護保険制度の給付対象となる療養型病床群が最近県内でも増加しているようでありますが、その実態と整備目標についてまずお尋ねをいたします。  次に、高齢者が何らかの病気で一般病院に入院していて、環境の変化か何らかの原因で老人性痴呆症を併発して、中には院内を徘回し、転院を迫られるという相談を受けることも多くなってまいりました。老人性痴呆症を併発した患者さんを預かってくれる、そういった施設管理のできる一般病院は少なく、かといって、先ほども言ったように特養はいつもいっぱいであり、大変困ることが多いのであります。  そこで、一般精神病床の一部を老人性痴呆疾患療養病棟に転換する方針であると聞いておりますが、その実態と整備目標についてお尋ねをいたします。  次に、1992年4月より施行されました老人訪問看護ステーションについてお尋ねをいたします。  公的介護保険制度が施行されれば、在宅サービスの大きな柱になるとされております。これは、ホームヘルプサービスが在宅老人の介護を受け持つものであるのに対し、医師の指示を受けた看護婦が在宅老人に適切な医療的看護をするもので、まさに施設介護から在宅介護へ移行させようとしている国の施策の、名実ともに柱となるものと期待されております。いずれ在宅老人の家庭にはパソコンやファックスが置かれ、病院の医師と訪問看護婦との間で適切な連絡・指示が出され、いながらにして病院にいるとほぼ同じような看護が受けられる日が近いのではないかと期待されております。  そのステーションである老人訪問看護ステーションは、平成9年末までに16カ所本県では設置され、富山県高齢者保健福祉計画の目標は達成されたとなっておるのであります。しかしまだまだ、今後ますます必要性が高まってきておるのでありまして、公的介護保険制度の実施を2年後に控え、県は老人訪問看護ステーション整備について、市町村や関係団体に対する今後の指導の考え方、あるいは具体的な設置目標についてどのように考えておられるのかお尋ねをいたします。  次に、県の高齢者保健福祉計画では、各種老人施設の整備目標を平成11年までとしております。このたびの介護保険制度は、現行の施設収容のやり方が壁に突き当たって、在宅介護重視の政策に転換したものといえますが、一方で特別養護老人ホームの入所待機者がいまだに問題になっております。  本定例会の我が党の代表質問に対して知事は、特別養護老人ホームの入所待機者の多いことを深刻に受けとめ、高齢者保健福祉計画では平成11年を最終年度として2,900人分の目標を立てていたが、既にこれを達成して、平成11年度中には3,135人分となると表明されました。しかし、なお今後とも、平成12年度以降も可能な限り特別養護老人ホームの施設の増設をやっていきたいとの御答弁であったように思います。これはぜひ今後とも推進していただきたいと存じます。  ところで、これに対して平成12年4月1日から公的介護保険制度が施行されますと、これは何度か申し上げましたように、施設介護の限界から在宅介護重視の政策転換への方向を示すものとすれば、特別養護老人ホーム等への国の補助政策も大幅に縮小されるのではないかと危惧するものであります。つまり、老人施設整備の進度が相当鈍くなっていくのではないかと思うのであります。  そこで、平成12年度以降の富山県の特別養護老人ホーム等の施設整備の考え方について、この際改めてお尋ねをいたします。  次に、特別養護老人ホームへの入所資格の「ねたきり」か「老人性痴呆症」の人ではなくて、一般病院に入院している老人の患者さんの問題であります。  年をとればだれでも、若いころにどんなに健康で元気であった人でも、体のどこかが痛くなったり病んだりするものであります。そういったお年寄りが一般病院には大勢入院しておられます。そういった人の中で、家族の人から最近よくこのような相談を受けるのであります。特に公的病院に入院している方からのものが多いのでありますが、入院して2カ月もたつかたたないうちに、決して治ったから退院してもよいということではないのでありますが、「病状が安定してきたので他の病院へ転院してほしい」こう言われて、知り合いの病院もなく、途方に暮れているという話を最近よく聞きますし、また相談を受けることも多くなってきたのであります。  関係者に聞いたところ、入院患者1人に対して支払われるいわゆる診療報酬の改正によって、入院して1カ月もするとどんどんと診療報酬、つまり厚生省では入院時医学管理料というそうでありますが、その管理料が下がってきて、病院経営を圧迫するのが原因ということであります。しかし、事情のよくわからないお年寄りの入院患者やその家族にとっては、それによって公的病院に対する不信感、不安感が増幅していくおそれがあるのであります。  そこで、富山県の現状をどのように認識し、把握しておられるのか。今後このようなことが改善されていく見通しがあるのかないのか、当局の対策をお尋ねいたします。  次に、高齢化社会に伴う他の諸問題についてお尋ねをいたします。  通産省の予測では、高齢者を対象とした事業は、2010年には20兆円規模の市場になるだろうといっております。そのうち、介護・福祉機器の市場規模は1兆7,000億円、規制緩和が進めば最大6兆1,000億円に膨らむ見通しともいわれております。しかし、現状では高齢者が安心して使える機器の開発に携わる専門技術者が少なく、特に、製品の安全性を評価したり、普及に欠かせない技術の標準化に当たる研究者の不足が目立つといわれております。  通産省では、このために、昨年12月、産学官の関係者を集めて福祉工学関係学科連絡協議会を設置して、新設学科間で情報交換をしてカリキュラムづくりなどで知恵を集める仕組みをつくったといわれております。それと同時に、全国でも、高齢者が安心して使える介護・福祉機器の開発や専門技術者の育成を目指す「福祉工学科」を設置する大学が増えてきておるわけであります。今年度は新潟大学や秋田大学が学科や専門講座を新設し、99年度以降も福岡県立大学、福井大学などが計画または検討中ということであります。文部省も入学定員抑制方針の例外扱いとして、福祉系学部の定員拡大を後押しする考えのようであります。  本県は他県よりも進んでいる高齢化社会に対応して、富山県立大学に福祉工学科の設置を検討してみてはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。  また、県立高校の職業科等においても、このような人材を育成するために、職業科等のあり方について検討してみてはどうかと思うのでありますが、重ねて所見をお伺いします。  次に、本県でも、将来の介護・福祉機器の研究開発、あるいは新しい産業分野である在宅介護機器分野への企業進出を目指して、平成8年3月よりウェルフェアテクノハウス研究会が高岡市内に発足しておるわけであります。これは、在宅介護機器の研究現場としての積極的活用を図ると同時に、学識経験者や地元企業から成る研究部会を組織し、関連企業をはじめ、周辺産業の各企業の産学官による研究部会で新産業創出や新製品の開発を進めるというものであります。  研究会が発足して2年余になりますが、研究会の活動内容とその実績、特に事業目標としている地場産業の振興に具体的にどうかかわってきたのかお尋ねをいたします。  次に、先日の我が党の代表質問の中にもありましたが、本県の産業ビジョンの策定に当たり、産業構造の課題に対して知事は、情報通信分野と医療福祉分野に活路を見出したいとの御答弁がありました。  そこで、平成10年度の予算の中で、創造的中小企業創出支援事業費、また新分野進出等支援事業費、またベンチャー企業等支援事業費、合わせて3億5,400万円余の予算が計上されておりますが、そのうち介護・福祉機器や福祉住宅等の新規事業への進出に対して具体的にどのような支出がなされたのか、また今後の見通しについてお尋ねをいたします。  次に、中心市街地活性化法の施行と少子・高齢化社会の消費者との関連についてお尋ねをいたします。  中心市街地活性化法が施行され、本県では富山市と八尾町が基本計画の補助金が認可され、策定に動き始め、関係者の期待と関心を集めております。本年度だけで1兆円の事業費、150もの有利な支援制度が用意されているといわれております。  活性化法は、大規模店舗立地法、改正都市計画法とともに、「まちづくり3法」と呼ばれております。規制緩和等で、大型店を抑制してみても既存の商店街の衰退に歯どめをかけることにつながらなかったという事情が、活性化法につながったといわれております。商店街を守るという発想ではなく、市街地整備の取り組みの中で商店街の再生を図ろうとするものであります。事業のメニューを見ると多彩にわたっております。福祉施設、卸売市場、鉄道施設の整備にまで及んでおります。  ところで、富山市で認定を受けた中央通りを取り巻く中心市街地は、富山市のほぼ中心にあり、周辺人口は約4万人、そのうち、おおむね4人に1人が高齢者となっております。富山市全体の高齢者率は17%なのに対して、人口においても老若の対比で空洞化が著しい地域といえます。中心市街地から西町ユニー店が来年5月連休後には閉鎖されるなど、中心市街地住民は日常生活の、殊に毎日の食生活の買い物にさえも事欠く現実が目前に迫ってきておるわけであります。まして高齢者の人たちにとっては、車に乗ることもできず、甚だ困っておられるわけであります。  中心市街地活性化の対策としてタウンマネジメント機関、つまりTMOをつくって、地元主体で構想を組み立てていく予定と聞いておりますが、関係者の中から「若者の店だけではなくて、お年寄りも気軽に立ち寄れるお店を」という意見も出たということを聞いております。急速に進む少子・高齢化社会の消費者をこれからの新しい施策にどう結びつけていくのか、大変重要な課題であると思いますが、所見をお伺いいたします。  最後に、県民福祉条例が本年4月に全面的に施行されましたが、お年寄りにやさしい道づくりや福祉住宅など、バリアフリー化の進捗状況は現在どうなっているのか。  また、現在、県内に2,646戸ある県営住宅に入居している高齢者世帯は225世帯で、約10%弱ということであります。この方々の住居は、いわゆる高齢者対応住宅になっているのか、なっていないのか。なっていないとすれば、障害者用の住居とあわせて早急に改善すべきと思うが、現状と見通し、そして対策についてお尋ねをいたします。  またあわせて、これからの県営住宅の建てかえに当たって、他県にも見られるような高層化によるエレベーターの設置を望む声が多いのでありますが、これに対してどのように考えておられるのかお伺いをいたしまして、質問を終わります。 77 ◯議長(筱岡與次平君)中沖知事。    〔知事中沖 豊君登壇〕 78 ◯知事(中沖 豊君)大上議員の御質問にお答えいたします。  最初は富山県における高齢社会の諸問題でありますが、そのうちの、県立大学に福祉工学科を設置すべきと思うがどうか。また、高等学校の職業科等のあり方についても検討すべきと思うがどうかという御質問にお答えいたします。  御提案のありました福祉工学科は、高齢者等が安心して使える介護・福祉機器の開発や専門技術者の育成を目指すものでありますが、これにつきましては、医療・福祉と工学との境界領域にあることなどから、現在、通産省の福祉工学関係学科連絡協議会におきまして、そのあり方などが検討されている段階と聞いております。  県立大学でのこの学科の設置についての御質問でありますが、県立大学につきましては、御案内のように、平成2年に開学いたしまして9年経過したところでありますが、機械システム工学、電子情報工学及び生物工学専攻の大学院を設置するなど、昭和63年の当初の基本構想は完成を見ているというように考えております。  こうしたことから、県立大学における福祉工学科の新設という問題については、現在のところ考えておりませんけれども、急速な高齢化や障害者ニーズに対応するために、機械システム工学科や電子情報工学科におきまして、医療現場などと連携して、屋内電動車いすや電動義手、それから姿勢計測装置などの福祉用具の開発・改良の研究に取り組んでおるところであります。  今後は、このような研究成果を学生の指導にも取り入れ、福祉や介護に貢献できる技術者の育成にも努めてまいりたいと考えております。  次に、県立高等学校におきましては、福祉工学関係を学ぶ学科は特に設置しておりませんが、平成8年度に、福祉マインドを育て、福祉サービスに対応できる人材の育成を目指しまして、八尾、有磯、砺波女子の3つの高等学校におきまして、これまでの家政科を生活福祉科に改編いたしまして、福祉施設での福祉・介護機器の活用などの実習も行われております。  また、富山県高等学校教育課題研究協議会におきましては、職業に関する専門学科のあり方について検討が行われているところでありまして、今後、この協議会の提言のもとに、職業科の充実にも努めてまいりたいと考えております。  なお、来年の11月開館予定の総合福祉会館における福祉機器の展示・普及活動などとあわせまして、医療リハビリの現場や県工業技術センターなどとの連携のもとに、福祉機器の研究、人材の育成等を進めてまいりたいと考えております。  次は、中心市街地活性化と急速に進む少子・高齢化社会の消費者とをどう結びつけていくのかという御質問であります。  御承知のように、中心市街地活性化法が本年の7月に施行されたことを受けまして、本県におきましても幾つかの市町におきまして、中心市街地活性化基本計画の策定などの取り組みが行われております。  今回の中心市街地活性化策は、各市町村がまちづくりの観点から基本計画を定め、それに基づきタウンマネジメント機関などが事業計画を作成し、街路や駐車場の整備など市街地の整備改善と、空き店舗対策など商業の活性化を総合的、一体的に進めようとするものであります。  中心市街地、特に商店街は、地域のにぎわいや人の交流の核であり、まちの顔であります。こうしたことから、多くの人々にとりまして魅力あるものとすることが非常に重要なことであると考えております。特に、御指摘ありましたように、これから本格的な少子・高齢化社会を迎えることから、若者だけでなく、高齢者も気軽に街中に出て、楽しく買い物ができるようなまちづくりが必要であると考えております。  このようなことから、各市町村などにおきましては、高齢化社会を視野に入れた対策を基本計画などに取り入れることが必要であると考えております。具体的に申し上げますと、1つには、道路や店舗などにおけるバリアフリー化など、高齢者にやさしいまちづくりや店づくりを進めること。2つには、商店街では高齢者のニーズにも対応した店舗を配置するなど、多様な店舗構成を図ること。3つには、市内軌道における超低床車両や低床バスなど、高齢者が利用しやすい交通施設を導入することなどが必要ではないかと考えております。  いずれにいたしましても、中心市街地の活性化を進めるに当たりましては、急速に進む少子・高齢化社会への対応策も含めまして、市町村等が地域の実情に応じ創意工夫を凝らしながら、自主的にまちづくりに取り組むことが極めて重要であると考えております。県としましても、このような市町村等の取り組みに対しまして積極的に支援、協力してまいりたいと考えております。  以上であります。 79 ◯議長(筱岡與次平君)原厚生部長。    〔厚生部長原 徳壽君登壇〕 80 ◯厚生部長(原 徳壽君)まず、公的介護保険制度の給付対象となる療養型病床群がどれぐらい整備されているかという御質問についてお答えを申し上げます。  主として長期にわたり療養を必要とする患者が、良好な環境のもとで療養できる療養型病床群の整備につきましては、平成12年度から介護保険法が施行されることにかんがみ、要介護者のための療養型病床群の整備目標を医療計画において定めることとされたところでございます。  本県におきましては、本年の9月、医療審議会の答申に基づきまして、平成12年度当初の要介護者のための療養型病床群の整備目標として4,100床を設定いたしまして、公示したところでございます。この整備目標に対しまして、11月末現在の療養型病床群の許可病床数は4,121床であり、整備目標を若干上回っている状況でございます。  この病床の内訳といたしまして、機能訓練室や食堂、談話室の設置のほか、患者1人当たりの病床面積や廊下幅等の規定を満たしました「完全型」が2,689床、既存の病床を転換して、廊下幅等の規定を満たしておりません「転換型」が1,432床となっております。  なお、療養型病床群につきましては、要介護者ばかりではなく、例えば若年者等の慢性期の医療をも担う医療施設でございまして、療養型病床群全体の整備目標については、急性期病床あるいは慢性期病床の区分が明確化されたところで見直しを行うこととされておりまして、国におきますこれらの検討結果を待って策定していくことになると考えております。  次に、老人性痴呆疾患療養病棟について、その実態と整備目標を問うという御質問にお答えいたします。  高齢化の進展に伴いまして、痴呆性老人の増加が見込まれますことから、精神症状や問題行動が特に著しい痴呆患者に対し、短期・集中的に精神科的治療を行う老人性痴呆疾患治療病棟、また、問題行動などはおさまったものの、精神症状を有する痴呆患者に対し長期的に治療を行います老人性痴呆疾患療養病棟、この2つの種類の病棟の整備が求められております。  本県におきます老人性痴呆疾患病棟につきましては、治療病棟が4病院235床既に整備されておりますが、療養病棟はゼロでございまして、全体として老人性痴呆疾患に対応した病棟は極めて少ない状況にあると考えております。  この老人性痴呆疾患病棟の整備に当たりましては、富山県地域医療計画におきまして、既存の精神病床の枠内での整備を原則とするが、地域的バランスに配慮した整備を図ることとされております。現在、3つの病院から143床の老人性痴呆疾患療養病棟、1病院から45床の老人性痴呆疾患治療病棟の増床・新設計画が出ておりまして、県としましては、先ほど申しましたとおり、療養病棟が未整備であることや、あるいは治療病棟が地域的に偏在していることなどから、去る11月26日に開催されました医療審議会に諮りまして、医療法に基づく特例として、それぞれ増床・新設をしてよいとの答申を受けたところでございます。  なお、今後の老人性痴呆疾患療養病棟の整備目標につきましては、現在のところ国の指針が示されておりませんが、県としましては、老人性痴呆の出現率に入院率などを考慮しながら、現在行っております医療計画の見直しの中で検討してまいりたいと考えております。  次に、老人訪問看護ステーションの整備についてのお尋ねでございます。  老人訪問看護ステーションは、家庭においてねたきりの状態などにある高齢者に対しまして、かかりつけ医の指示に基づき、看護婦等が訪問し、看護サービスなどを提供するものでございます。  高齢化率の上昇に伴いまして、訪問看護ステーションが在宅サービスとして果たす役割は年々大きくなってきておりまして、開設数の増のほか、24時間連絡体制を採用しているステーションが3カ所、看護婦以外にも理学療法士を配置しているステーションが4カ所と、サービスの内容についても逐次充実してきているところでございます。  訪問看護ステーションの開設数としましては、現在までに県高齢者保健福祉計画の目標を3カ所上回る19カ所が設置されているところでございますが、平成11年度末までにはさらに10カ所程度の開設が予定されているところでございます。  平成12年度以降の整備につきましては、11年度中に見直しが行われます高齢者保健福祉計画に基づいて進めることとなりますが、今後とも、介護保険制度の導入を踏まえまして、市町村あるいは関係団体に対しましてより一層の訪問看護ステーション開設を働きかけるとともに、24時間連絡体制の整備や、理学療法士や作業療法士の配置による機能訓練の充実などを指導してまいりたいと考えております。  次に、各種老人施設の平成12年度以降の施設整備の考え方についてのお尋ねでございます。  介護保険制度におきましては、高齢者等が介護が必要となった場合でも、可能な限りその居宅で生活できるよう配慮するとしております一方、施設への入所も含めた介護サービスの選択は、高齢者等がみずからの意思で決定することを基本としております。  このため、平成12年度以降における介護サービス基盤の必要量につきましては、今年度に市町村が実施いたしました高齢者実態調査の結果や厚生省の基本指針を受けまして今後検討されることとなりますが、基本的には、施設サービスに対する県民ニーズは今後も増大するものと考えております。ただ、介護保険制度が導入されました後は、特別養護老人ホームのほか、老人保健施設や、先ほどもお答えいたしました療養型病床群などの施設が、同じく介護保険施設として位置づけられることから、今後はこれらの各施設が持つ機能や特色に留意しながら整備を進める必要があると考えております。  いずれにいたしましても、介護保険制度が導入された際に介護サービスが不足することのないよう、今後とも市町村と密接に連携しながら、在宅、施設の両面にわたるサービス基盤の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。  それから、特に公的病院で患者への退院要請があって、非常に患者さんが不信感、不安感を持っているのではないかという御質問についてお答えをいたします。  高齢化の進展や疾病構造の変化などに伴いまして、医療のほうも高度化、専門化が進んでおります。このことから、県民がよりよい医療を効率的に受けるためには、医療機関の機能を明確化して体系化を図る必要がございます。このため国や県におきましては、高度な医療が必要な患者さん、一般急性期の患者さん、長期入院が必要な患者さんなど、患者さんの症状あるいは状態に応じて適切な医療を提供するために、医療機関の機能分担や相互の連携を推進しているところでございます。  県内の公的病院につきましては、地域の中核病院として、主としていわゆる急性期の治療を担っておりまして、そのための整備が進められてきているところでございます。お尋ねの高齢者の転院につきましては、急性期を過ぎて症状がある程度安定した患者さんについて、医療機関の機能分担を図る観点から、患者や家族と十分に相談、協議したうえで、地域における長期入院に適した療養型病床群などへの転院が行われているものと考えております。  県としましては、県民に良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、医療機能の分担や連携、あるいはインフォームドコンセントに基づく医療を推進することによりまして、患者との信頼関係に基づく必要な医療が提供されるように努めますとともに、公的病院に対しましても、富山県公的病院長協議会等を通じまして、適切に対応していただくようお願いしてまいりたいと考えております。  県民福祉条例が4月に全面的に施行されたが、その後、バリアフリー化の進捗状況はどうかという御質問にお答えをいたします。  県民福祉条例は本年4月に全面的に施行されましたが、県では平成9年度に主要県単福祉のまちづくり事業を創設いたしまして、建築物、道路及び公園を対象に、既存県有施設のバリアフリー化を進めているところでございます。また、市町村所有の施設のバリアフリー化に対する補助制度や、民間施設に対する融資制度などを新設・拡充いたしまして、バリアフリー化の促進を図っているところでございます。  既存の県有施設につきましては、福祉のまちづくり事業によりまして、平成9年度からのおおむね3カ年で緊急のバリアフリー化を計画的に進めることとしておりまして、既に100カ所余りで工事完了または着手しているところでございます。  道路につきましては、道路事業や福祉のまちづくり事業によりまして、おおむね平成11年度までに、人口集中地区内の県管理道路のバリアフリー化を計画的に進めることとしております。  また住宅につきましては、基本的には条例の対象施設とはなっておりませんが、住宅金融公庫融資におきましてもバリアフリー型の割合が2割程度を占めるようになるなど、近年伸びていると聞いているところでございます。県といたしましても、高齢者等の住宅改善支援事業によりまして高齢者や障害者の住宅改善に対する助成を行っておりますが、この助成件数も近年順調に伸びてきているところでございます。  以上でございます。 81 ◯議長(筱岡與次平君)この際、申し上げます。会議時間を午後5時30分まで30分間延長いたします。  高原商工労働部長。   〔商工労働部長高原一郎君登壇〕 82 ◯商工労働部長(高原一郎君)富山ウェルフェアテクノハウス研究会の概要等についてまずお答えを申し上げます。  富山ウェルフェアテクノハウス研究会は、平成8年に開設をされましたウェルフェアテクノハウス高岡を活用いたしまして、これからの高齢社会で役立つ先端的な介護機器システムの研究開発と普及啓発を図ることを目的といたしております。  本研究会は、機械、金属、電子、住宅関連の地元企業のほか、県、高岡市及び工業技術センターや大学、病院、老人ホームなど、産学官の関係機関により組織をされておりまして、福祉機器、福祉用具の研究開発とその適用技術や安全性の研究、また在宅介護支援のための運動生理機能の研究、さらには介護機器を導入した新しい住宅環境の研究をテーマにいたしまして、介護・福祉機器に関する産学官共同研究を行ってきているところでございます。  これまでの研究成果といたしましては、歩行用のリハビリ訓練用具、あるいは健康状態の自動計測システム、さらには車いす対応のシステムキッチンなどの開発を行ってきているところでございます。開発された製品につきましては、ウェルフェアテクノハウス高岡において展示をするほか、病院や老人ホームで試験的に使用していただくなど、その実用化に向けて啓発普及に努めているところでございます。  また、これらの研究開発を通しまして、機械、金属、電子、住宅など地場産業の技術力の向上や、これを応用いたしました新製品の開発を支援してきているところでございまして、県としては今後とも本研究会を支援いたしまして、医療福祉関連分野の産業の育成あるいはまた創出といったことに努めていきたいというふうに考えております。  それから次に、介護・福祉機器あるいは福祉住宅の新規事業への進出に関する本年度の創造的中小企業創出支援事業あるいは新分野進出等支援事業等による対応状況と、その見通しはどうかという御質問がございました。  県内企業の介護・福祉機器やあるいは福祉住宅などの福祉関連分野への新たな取り組みというものは、これはまだ緒についたばかりであることから、議員御質問のような福祉関連の新規事業に対する支援は、これまでは利用実績はないという状況にございます。  しかしながら、本年度におきましては果敢な取り組みがなされておりまして、県として支援を行ったところでございます。1つには、高齢者、障害者に対する住宅や介護機器の開発・提供などによる介護支援への取り組みを行うベンチャー企業に対する初の創造法の認定、そして創業者等支援資金による融資を行いました。また2つには、富山県繊維協会の会員企業グループが行っております、要介護者やあるいは高齢者用の介護用品、さらには衣服の研究開発に対しまして助成を行ったところでございます。  この福祉関連分野というものは、今後成長が期待をされる産業の一つでありまして、県といたしましても、高齢化の進展に伴い、今後需要が増大していくものと見込んでおります。県といたしましては、今後とも、新分野進出等支援事業や各種ベンチャー支援事業などを活用いたしまして、福祉関連分野に進出する中小企業への支援に一層努力してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 83 ◯議長(筱岡與次平君)白井土木部長。    〔土木部長白井芳樹君登壇〕
    84 ◯土木部長(白井芳樹君)まず、高齢者世帯が入居している県営住宅の状況についての御質問にお答えいたします。  県営住宅に入居している世帯数は、ことしの12月1日現在で2,529世帯でありますが、そのうち65歳以上の高齢者のいる世帯数は225世帯となっております。で、この225世帯が入居している住宅のうち、床の段差がないなど高齢者に対応した住宅は31戸となっております。  県営住宅の整備に当たりましては、富山県では国の基準の改正に先駆けまして、建てかえの際には高齢者対応型の整備を行ってきておりまして、これまでに279戸建設しております。また、既存の県営住宅につきましては、1階部分に空き家が生じた際などに高齢者向けに改善を行っているところでありまして、これまでに21戸が改善済みとなっております。全体で300戸、県営住宅2,646戸のうち11%となっている状況でございます。今後とも高齢者の住みよい県営住宅となるよう努力してまいります。  次に、県営住宅の建てかえに当たって、高層化によるエレベーターの設置に関する御質問にお答えいたします。  県営住宅は、これまですべてが4階建て以下でありますので、エレベーターは設置していない状況でございます。御質問にありましたように、住宅を高層化しエレベーターを設置することは、高齢者や障害者の利便性の向上につながるものでありますが、一方で、建設コストが上昇し、またエレベーターの維持管理費──保守点検費や電気料金でありますが、この維持管理費について入居者の負担が増加するなどの問題がございます。  こうしたことから、今後県営住宅の建てかえに当たりエレベーターを設置するということにつきましては、入居者の意向を把握するとともに、建物の階数や建設コストも含めて総合的に調査研究してまいりたい、そのように考えます。  いずれにいたしましても、県営住宅の建てかえや住戸改善を進めるに当たりましては、今後とも高齢者などが住みよい住環境となるよう整備に努めてまいります。  以上でございます。 85 ◯議長(筱岡與次平君)以上で本日の一般質問、質疑を終わります。  これをもって県政一般に対する質問並びに提出案件に対する質疑を終了いたします。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           常任委員会への審査付託 86 ◯議長(筱岡與次平君)次に、ただいま議題となっております議案第125号から議案第143号まで及び報告第15号については、お手元にお配りしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。      ───────────────────── 87 ◯議長(筱岡與次平君)次にお諮りいたします。  議案調査のため、12月14日は休会といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 88 ◯議長(筱岡與次平君)御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  以上で本日の日程は終了いたしました。  次に議会の日程を申し上げます。  12月15日は予算特別委員会を、16日は議会運営委員会及び各常任委員会を開催いたします。  次回の本会議は12月17日に再開し、諸案件の審議を行います。  本日はこれをもって散会いたします。  午後5時02分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...